K-POP業界の“勢力図”が大きく変わる? 3強時代から「4強時代」に突入か
相次ぐスキャンダルで、日々騒がしい韓国芸能界。そんななか芸能人たちが所属する芸能事務所の“勢力図”にも大きな変化が起きている。
K-POP業界で長らく「3大事務所」とされてきたSMエンターテインメント、YGエンターテインメント、JYPエンターテインメントの明暗がくっきり分かれてきたのだ。
今最も支持を受けているのは、JYPエンターテインメントだろう。TWICEやGOT7、ITZYら人気アイドルグループはもちろん、“次世代CMクイーン”として最近話題のシン・イェウンなどが所属している芸能事務所だ。
JYPの評価が高まっていることには、理由がある。
JYPの“人材育成哲学”に支持
韓国芸能界では最近、V.Iやパク・ユチョンのスキャンダルの影響で、芸能人やアーティストの“人間性”や“品性”が重要視されるようになった。
そんななかJYPは以前からデビュー前の練習生にも品性教育を行っていることで知られ、例えスター性やポテンシャルが高い芸能人の卵であっても、品性やプライベートに問題があれば躊躇なく契約を解除するスタンスをとってきた。
オーディション番組『PRODUCE X 101』に出演するも、未成年飲酒、喫煙などの過去の素行問題が明らかになって降板した練習生ユン・ソビン君を契約解除したことなどもその一例だろう。
しかも、そうした品性重視のスタンスは職員にも求められているという。
例えばJYPの全職員は、女性ホステスが出てくるお店には出入り禁止らしい。JYPを率いるプロデューサーのパク・ジニョンは「(接待禁止によって)会社がつぶれても構わないので、女性ホステスが出てくる店に足を踏み入れた瞬間、クビになる覚悟をしろ、と注意している」と語ったこともあるのだ。
(参考記事:「接待は厳禁」TWICE輩出したJYPの経営・人材育成哲学に“再注目”)
一貫した品性重視のスタンスがJYPの評判を上げているわけだが、対照的に厳しい目にさらされてしまっているのがYGエンターテインメントだ。
危機のYGエンタ
もともとYGは、アーティストを何よりも大切にし尊重する事務所として知られていた。その方針は、「コンテンツのクオリティを高めるには有利に働いてきたが、私生活や振る舞いなどがますます重要になっている最近では“アキレス腱”になっている」(『スポーツソウル』)と指摘されるようになってしまった。
最近のV.Iスキャンダルを機にその管理体制を問われることになっただけではなく、G-DRAGONやT.O.Pらが過去に起こしたトラブルや事件などもぶり返され、何かと厳しい目を向けられている。
筆者はアンチBIGBANGでもないし、YGエンタがこれまで積み上げてきた功績と現在も多くの優れたアーティストたちを輩出していることには敬意と期待を持っているが、韓国メディアの中には「3大事務所」の一角であったYGの危機をささやく声が出始めており、一部では「3強から“4強の時代”に突入した」という見方も出ている。
SM、JYPと4強を成すとされているのは、CJ ENMとBig Hitエンターテインメントだ。
3強から“4強”の時代に?
まずCJ ENMは、マネージメント事業を行わない代わりに持分投資の方法でレーベルを運営しており、影響力を徐々に広げている。Jellyfishエンターテインメント、Stone Musicエンターテインメント、SWINGエンターテインメントなど、多数の事務所とレーベルを傘下に入れ、音楽業界の大物となった。
またCJ ENMは、「MAMA」(Mnet Asian Music Awards)や「KCON」といったイベントも開催している。筆者も千葉・幕張メッセで行われたKCON 2019 JAPANに足を運んだが、会場は日本の10~20代ファンで埋め尽くされ、K-POPの人気を再確認することとなった。
(参考記事:【PHOTO】大トリはTWICE。IZ*ONE、PENTAGONらが魅せたKCON 2019 JAPAN)
何よりもCJ ENMは、“韓国のASAYAN”とされるオーディション番組『プロデュース』シリーズを放送しているケーブル局「Mnet」を傘下に持つ。そこから誕生したIZ*ONEなどは日本でも高い人気を誇っており、ますますK-POP界における存在感は高まりそうだ。
BTSとともに成長したBig Hitエンタ
新たな4強と目されているBig Hitエンターテインメントは、今最も人気の高いK-POPアーティストといえるBTSが所属する事務所だ。
もともとは中堅クラスだったが、BTSの成功にともなって韓国を代表するエンターテインメント企業に成長した。今年は後輩グループTXT(TOMORROW X TOGETHER)をデビューさせるなど勢いに乗っている。
また現在、上場予定企業としても注目を集めており、上場すれば時価総額は1兆ウォン(約1000億円)から2兆ウォンを超えるともいわれている。SMやJYPを超えて、最高の時価総額を誇る可能性もありそうだとのことだ。
芸能界に流行り廃りはつきものだが、それは芸能事務所にも当てはまるのかもしれない。いずれにしてもK-POP業界の“勢力図”がどのように書き変わるのか、注目してみたい。