「意外な出会いをもたらすような、ブックフェスを開こう」。香川県丸亀市の市民交流活動センターマルタスで10月22日、県内外の約40書店が集うブックフェスティバル「BOOK WEEKEND（ブックウィークエンド）」が開かれます。多様な書店が一堂に介すイベント。普段は出合わないような本が見つかるかもしれません。

個性的な参加書店たち

「さまざまな新刊や古書を取り揃えた店が19店舗、一箱サイズのスペースに選りすぐりの古書などが並ぶ店が17店舗、それぞれ独自の観点から選んだ本を持ってきてくれます。お店の人との何気ない会話から、コミュニケーションを楽しんでもらえる場になると思います」

主催者の「BOOK遍路をつくる会」代表、篠原章人さんにイベントの概要や本にまつわる思いを取材しました。

まず、参加する書店からピックアップして見ていきましょう。香川県さぬき市からやって来る「うみの図書館」は、本を売るのではなく、貸し出す小さな図書館です。今回のイベントでも、一人５冊まで貸出期間２年の貸出を手掛けてくれます。

古民家を改修した図書館には、「海にまつわる本」と「漂流文庫」の２種類の本たちが並びます。さまざまな地域から寄贈されて流れ着いてきたのが「漂流文庫」で、思いがけない本との出合いが期待できそうです。

「Book & Coffee coyomi」は兵庫県洲本市の淡路島から参加。古本を中心とした品揃えで、今回は新刊と古本の両方が並ぶ予定です。淡路島にまつわるものを中心に、各地から取り寄せたZINE（自主出版物）を取り扱っているので、手に取ってみてはいかがでしょうか。

最後に紹介する「な夕書」は、高松市にある完全予約制の店です。本がぎっしり並ぶ店内は、不思議な雰囲気を醸し出しています。人生相談や高松の街歩きにも対応している書店ならではのユニークな会話が楽しめそうです。

会場は、マルタスの西側屋外通路。テントに書店のブースが並ぶので、気になった本を手に取りながら、お気に入りの一冊を探してみてください。読書のお供として、軽食とドリンクの店も８店舗が参加します。

BOOK遍路をつくる会とは

イベントを主催する「BOOK遍路をつくる会」は、普段お世話になっている書店に「恩返ししたい」という思いで、本好きが集まった市民グループです。2022年10月に、香川県内の町の書店を紹介するマップを作成しました。

町の書店には、さまざまな悩みや課題に向き合うための本が揃っています。そこから「心のよりどころとしての機能が、現代の書店には求められているのではないか」という気づきが芽生え、会の名称に「遍路」という言葉を採用したそうです。

マップでは、10店舗が紹介されているほか、書店という形はとっていなくても本と出合える空間も掲載されています。今回のイベントに参加する書店でもマップが配布されており、マップは町の書店とのつながりを作る際のきっかけになったとのことでした。

「本が考えを深めてくれた」

「私は仕事で必要なビジネス書を仕方なく読んでいたようなタイプでした」という篠原さんは、しばらく前までは必ずしも本好きではありませんでした。ある時、体調を壊してしまい、高松市内にある書店「ルヌガンガ」と出合います。そこで読書会に参加したところ、自身の考えを深める機会が得られ、本の存在が大きくなりました。

「店長さんにオススメの本を教えてもらったりして、自分一人では気づくことができない考え方を知ることができました。同じように他の人にとっても、ふとしたきっかけで読んだ本が人生を大きく変えるのではないかと思い、今回のイベントを企画しました」

「本を読まない人も、ぜひ遊びにきてほしいと思います。会話を楽しんだり、ここでしかできない体験を味わってください」

篠原さんは自身の体験を交えて、本の魅力を語ってくれました。読書の秋です。秋風に吹かれながら、本を物色してみると、とっておきの時間を過ごせるかもしれません。