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プレーオフトーナメント準々決勝の神戸製鋼対クボタ戦は立ち上がりの出来が試合のカギを握る?!

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
三菱重工戦では果敢な突破で攻撃の起点となった神戸製鋼の山中亮平選手(筆者撮影)

【トーナメント準々決勝に突入するトップリーグ】

 トップリーグは今週末、プレーオフトーナメント準々決勝が実施され、日本選手権を兼ねた準決勝進出チームが争われることになる。

 残念ながらリコーにチーム内クラスターが発生したため、サントリー対リコー戦は早々に中止が決定し、日本ラグビー協会は5月7日にサントリーの不戦勝を発表している。

 ただ残り3試合はいずれも好カード揃い。しかも試合が行われる3会場はいずれも緊急事態宣言の対象外であることから、有観客試合で実施されることになる。会場に集まるファンが興奮するような好ゲームを期待したいところだ。

【3試合の中で注目度が高まる神戸製鋼対クボタ戦】

 中でも注目したいのが、9日に実施される神戸製鋼対クボタ戦ではないだろうか。

 まず神戸製鋼は、シーズン前半のリーグ戦でパナソニックとともにホワイトカンファレンスで全勝を守り、プレーオフトーナメントに進出。リーグ2連覇(昨シーズンはシーズン打ち切りで優勝チームはなし)を目指し、順調にチームを仕上げてきている。

 一方のクボタは、レッドカンファレンスで2敗を喫したものの、敗れたサントリー、トヨタ自動車の2試合で互角の戦いを演じており、その実力は間違いなく上位シードチームと遜色がない。

 リーグ戦最終のトヨタ自動車戦では、後半ロスタイムで逆転されるという痛すぎる敗戦を経験したものの、プレーオフトーナメントではしっかりチームを立て直し、初戦のヤマハ発動機戦では46対12と完勝している。

 トヨタ自動車戦後にフラン・ルディケ・ヘッドコーチ(HC)が「シーズンをいいかたちで終えたいと思っています」と話しており、万全の状態で神戸製鋼に挑もうとしている。

【クボタを警戒する神戸製鋼】

 それを迎え撃つ神戸製鋼も、クボタを警戒している。プレーオフトーナメント初戦となった三菱重工戦に50対17と圧勝しながらも、試合後のオンライン会見に登場した山中亮平選手は、以下のような言葉を口にしている。

 「クボタはすごいいいチームですし、今日みたいな前半のようなラグビーをしていてはちょっと難しいところがあるので、試合の入りから自分たちのやるべきこと、それぞれの役割だったり、激しさだったり、そういうところを試合の最初から出していくというのが重要になってくると思います。

 トーナメントは1つのミスで流れが変わったりすることがあるので、そういうところを意識して試合に向けての準備をしっかりやっていければと思います」

 山中選手が話すように、三菱重工戦の前半は決して神戸製鋼本来のラグビーではなく、テンポを欠き、ミスの多い内容だった。ただ後半でしっかり修正し圧勝劇に繋げているのは、やはり神戸製鋼のチーム力の高さでもある。

 ただ山中選手が説明するように、そうしたスロースタートもクボタのような強豪チーム相手では命取りになる可能性があるため、気を引き締めているのだ。

 一昨年度シーズンの優勝チームとして他チームから研究されており、なかなか簡単には自分たちのラグビーをさせて貰えない面も否定できない。だがそんな状況でも的確に対応し、神戸製鋼のラグビーをできるかが重要になってくる。

 どうやら注目の1戦は、試合の立ち上がりがカギを握ることになりそうだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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