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名古屋スイーツ・ぴよりんの兄貴分「シャチボン」突然の販売休止。「戻ってくる」は本当か?

大竹敏之名古屋ネタライター
シャチボン旅立ちのお知らせ。JR名古屋駅構内「カフェデンマルクJR名古屋駅店」

「販売休止」まで一週間余りのタイミングにファン悲嘆

「旅立ちのお知らせ このたびシャチボンは自分を見つめ直すために大きな旅立ちを決意しました。」

突然のお知らせがX(旧ツイッター)にポストされたのは4月2日のこと。しかも、最終販売日は4月10日。販売休止までわずか一週間余りのタイミングでの告知に、「えーーーー!!!!」「エイプリルフールだと言って!!」など悲しみ、惜しむ声が数多く寄せられました。

シャチボンは名古屋のシンボル、金のしゃちほこをモチーフにしたシュークリームタイプのスイーツ。今や大人気の名古屋名物となっているぴよりんと同じくジェイアール東海フードサービスが製造販売しています。2000年にデビューし、名古屋らしい愛嬌のある商品として人気を得ながら2011年に販売休止。後継商品のぴよりんはその後大ブレイクを果たしました。一方のシャチボンは、2022年6月に11年ぶりに復活。しかし、それから2年足らずで、二度目の“休養”となってしまったのでした。

(関連記事:「ぴよりんの先輩『シャチボン』。伝説のスイーツが11年ぶりに復活した理由とは?」 2022年6月6日)

「必ず帰ってくる」は本当か? 担当者を直撃!

商品の「販売休止」は、実際には「販売終了」というケースが多いもの。先のお知らせは「必ず戻ってきます」「アイルビーバック」と続けられていますが、額面通りには受け取れないと感じる人もいたことでしょう。シャチボンはなぜ突然旅に出ることになったのか? そして本当に戻ってくるのか? 担当者を直撃しました。

シャチボンを販売するJR名古屋駅構内の「カフェデンマルクJR名古屋駅店」。ポスターからぬいぐるみまでとことんシャチボン推し。販売は2024年4月10日(水)まで
シャチボンを販売するJR名古屋駅構内の「カフェデンマルクJR名古屋駅店」。ポスターからぬいぐるみまでとことんシャチボン推し。販売は2024年4月10日(水)まで

――突然の「販売休止」で驚きました

ジェイアール東海フードサービス販売促進課・須藤友彦さん(以下「須藤」) 「さらにおいしくしたいという思いは常に持ち続けておりましたが、今回苦渋の決断をいたしました」

――販売休止の理由は?

須藤もっとおいしくしたい! が一番の理由です。原材料費が高騰している中で、いかによりよくするか、いったん休んで開発に集中したいと考えたのです」

――形が複雑なため製造に手間と時間がかかることが、前回(2011年)の休止の理由のひとつとなっていました。その課題は2022年の復活の際にクリアされていたのでしょうか?

須藤「常に探求心を持ち続けており、休止中に製造方法も含めて見直しを図りたいと思っています」

売れ行きは伸びていた! 限定品は連日完売

――決して売れ行きがイマイチだったからではない?

須藤売れ行きはむしろ伸びていました。ぴよりんと合わせてご購入される方も多く相乗効果がありました。芸能人が差し入れのために購入し、SNSでそれを見て買いに来てくださるファンの方もたくさんいらっしゃいました」

愛嬌のあるルックスについ写真を撮ってSNSに投稿したくなる。テイクアウトは594円、イートインは605円
愛嬌のあるルックスについ写真を撮ってSNSに投稿したくなる。テイクアウトは594円、イートインは605円

――販売再開の際、「SNS時代にマッチしている」とおっしゃっていましたが、狙い通りの効果はあったわけですね。コラボや時候に合わせたものなど、アレンジを加えた限定品も数多く販売していました

須藤「これまでに17種類とほぼ月イチペースで限定バージョンを出していました。販売期間中はほとんど売り切れになり、ご好評いただいていました」

NHKの大河ドラマ『どうする?家康』とのコラボで販売された「どうする?シャチボン」
NHKの大河ドラマ『どうする?家康』とのコラボで販売された「どうする?シャチボン」

――販売休止を発表した後の消費者の反応は?

須藤「Xなどでも残念がってくださる声が想像以上に多く驚きました。特に『名古屋に行ったら買いたかった!』など、まだお買い求めいただいていない方の声が多いことに、地元以外の方にもご注目いただいていたのだな、と実感しています」

――「必ず戻ってきます」という言葉に嘘はありませんか?

須藤「はい! さらにおいしくなって必ず戻ってきますので、楽しみにお待ちください!

――記事に書くと公式なコメントということになりますが大丈夫ですね?

須藤大丈夫です! なるべく早く帰って来られるよう頑張ります!!」

◆◆◆

販売休止=終売では?と疑っていた人も少なからずいたと思いますが、しっかり念を押して「必ず販売再開する」との言質を得ることができました。そう遠くない将来、シャチボンがよりおいしく、より魅力的になって私たちの前に帰って来てくれるはず。その時を心待ちにしたいと思います!

(写真撮影/すべて筆者)

名古屋ネタライター

名古屋在住のフリーライター。名古屋メシと中日ドラゴンズをこよなく愛する。最新刊は『間違いだらけの名古屋めし』。2017年発行の『なごやじまん』は、当サイトに寄稿した「なぜ週刊ポスト『名古屋ぎらい』特集は組まれたのか?」をきっかけに書籍化したもの。著書は他に『サンデージャーナルのデータで解析!名古屋・愛知』『名古屋の酒場』『名古屋の喫茶店 完全版』『名古屋めし』『名古屋メン』『名古屋の商店街』『東海の和菓子名店』等がある。コンクリート造型師、浅野祥雲の研究をライフワークとし、“日本唯一の浅野祥雲研究家”を自称。作品の修復活動も主宰する。『コンクリート魂 浅野祥雲大全』はその研究の集大成的1冊。

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