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東大が世界トップ10から初めて転落

木村正人在英国際ジャーナリスト

英高等教育情報誌「TIMES HIGHER EDUCATION(タイムズ・ハイアー・エデュケーション)」が毎年秋に公表している世界大学ランキングのもとになる「2014年世界評価ランキング」が5日夜(日本時間6日あさ)発表された。

今回は、世界各国の大学の教員1万536人(平均勤続年数18年)から回答を得たという。

日本は世界上位100校に5校が入り、アジア最高位の地位を固めたものの、2011年に「世界評価ランキング」が始まって以来初めて東京大学が世界トップ10から脱落して11位(前年9位)。

京都大学は4つランクを上げて19位(同23位)。大阪大学は50位(同51~60位)、東京工業大学は51~60位(同61~70位)とそれぞれ順位を上げている。

フィル・ベイティ編集長は「東京大学がもはや世界トップ10の一流大学ではなくなったという以外は、日本にとっては良いニュースである。おそらく、日本の大学が世界にも認知されるようになり、より多くの国際的な教員と学生に門戸を開けようという最近の努力が実り始めている」という。

これまでアジアのライバル大学がより積極的に国際化を進め、政府から投資を受けてきた。このため、日本の大学の評価が相対的に低下したことが逆バネとなって、日本政府の背中を押したと同編集長は分析している。

中国の清華大学はランクを1つ落として36位。北京大学はランクを4つ上げて41位。香港大学は36位から43位に転落、11年に91~100位からスタートした香港科技大学は51~60位まで急上昇している。

韓国は、延世大学が81~90位。韓国科学技術院は61~70位から51~60位に順位を上げた。韓国最高峰のソウル大学は41位から一気にランクを26位に上げ、アジアで最もランクが上昇した大学となった。

シンガポール国立大学は21位。南洋理工大学も91~100位に滑り込んだ。アジアではソウル大学と香港科技大学が「希望の星」と認定された。一方、オーストラリアの大学は凋落ぶりが目立つ。

米国と英国の「スーパーブランド6大学」は傑出している。首位はハーバード大学、2位はマサチューセッツ工科大学。3位のスタンフォード大学(前年6位)、4位のケンブリッジ大学、5位のオックスフォード大学、そして6位のカリフォルニア工科大学バークレー校。

カリフォルニア工科大学がランクを2つ上げて9位に浮上したため、東京大学をトップ10から押し出した格好だ。トップ10は米国と英国の大学が独占、両国を除くと最高位の大学は東京大学だった。

事実上の世界共通言語となった英語を母国語とする米国と英国の強みは圧倒的だが、自国だけではなく、世界中の「知」を集める仕組みにも注目する必要がある。

2014年世界大学評価ランキング

2014年世界評価ランキング

1位(1位)ハーバード大学 米国

2位(2位)マサチューセッツ工科大学 米国

3位(6位)スタンフォード大学 米国

4位(3位)ケンブリッジ大学 英国

5位(4位)オックスフォード大学 英国

6位(5位)カリフォルニア大学バークレー校 米国

7位(7位)プリンストン大学 米国

8位(10位)イェール大学 米国

9位(11位)カリフォルニア工科大学 米国

10位(8位)カリフォルニア大学ロサンゼルス校 米国

11位(9位)東京大学 日本

12位(13位)コロンビア大学 米国

13位(14位)ロンドン大学インペリアルカレッジ 英国

14位(14位)シカゴ大学 米国

15位(12位)ミシガン大学 米国

16位(20位)スイス連邦工科大学チューリッヒ校 スイス

17位(17位)コーネル大学 米国

18位(19位)ジョンズ・ホプキンス大学 米国

19位(23位)京都大学 日本

20位(16位)トロント大学 カナダ

21位(22位)シンガポール国立大学 シンガポール

22位(18位)ペンシルベニア大学 米国

23位(24位)イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校 米国

24位(25位)ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス 英国

25位(20位)ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン 英国

26位(41位)ソウル大学 韓国

27位(29位)ニューヨーク大学 米国

28位(30位)ウィスコンシン大学マディソン校 米国

29位(26位)カーネギーメロン大 米国

30位(31位)デューク大学 米国

31位(27位)ワシントン大学 米国

32位(40位)カリフォルニア大学サンフランシスコ校 米国

33位(31位)ブリティッシュ・コロンビア大学 カナダ

33位(31位)マギル大学 カナダ

33位(27位)テキサス大学オースティン校  米国

36位(35位)清華大学  中国

37位(37位)ノースウェスタン大学  米国

38位(38位)ジョージア工科大学 米国

39位(51-60位)ペンシルベニア大学 米国

40位(34位)カリフォルニア大学サンディエゴ校  米国

41位(45位)北京大学  中国

42位(51-60位)デルフト工科大学 オランダ

43位(36位)香港大学  香港

43位(61-70位)キングス・カレッジ・ロンドン 英国

43位(39位)メルボルン大学  オーストラリア

46位(46位)エディンバラ大学 英国

46位(44位)ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘン ドイツ

48位(50位)パデュー大学 米国

49位(51-60位)エコール・ポリテクニークスイス連邦工科大学ローザンヌ校 スイス

50位(51-60位)大阪大学 日本

51-60位(48位)カリフォルニア大学デイビス校 米国

51-60位(61-70位)香港科技大学 香港

51-60位(61-70位)カロリンスカ研究所 スウェーデン

51-60位(61-70位)韓国科学技術院 韓国

51-60位(47位)マンチェスター大学 英国

51-60位(51-60位)ミネソタ大学 米国

51-60位(50位)M.V.ロモノーソフ・モスクワ国立総合大学 ロシア連邦

51-60位(51-60位)オハイオ州立大学 米国

51-60位(51-60位)国立台湾大学 台湾

51-60位(61-70位)東京工業大学 日本

61-70位(42位)オーストラリア国立大学 オーストラリア

61-70位(51-60位)カリフォルニア大学サンタバーバラ校 米国

61-70位(42位)マサチューセッツ大学 米国

61-70位(71-80位)ミシガン州立大学 米国

61-70位(51-60位)ノースカロライナ大学チャペルヒル校 米国

61-70位(71-80位)ハイデルバーグ大学 ドイツ

61-70位(61-70位)南カリフォルニア大学 米国

61-70位(49位)シドニー大学 オーストラリア

61-70位(61-70位)ミュンヘン工科大学 ドイツ

61-70位(61-70位)東北大学 日本

71-80位(81-90位)アムステルダム大学 オランダ

71-80位(81-90位)ボストン大学 米国

71-80位(71-80位)フンボルト大学ベルリン ドイツ

71-80位 インディアナ大学 米国

71-80位(71-80位)ルーベン・カトリック大学 ベルギー

71-80位(51-60位)中東工科大学 トルコ

71-80位(71-80位)パリソンボンヌ大学 フランス

71-80位(71-80位)ピッツバーグ大学 米国

71-80位(91-100位)テキサスアグリカルチャ&メカニクス大学米国

71-80位(81-90位)ワシントン大学 セントルイス 米国

81-90位(81-90位)ブラウン大学 米国

81-90位(81-90位)香港中文大学 香港

81-90位(91-100位)ベルリン自由大学 ドイツ

81-90位(61-70位)ライデン大学 オランダ

81-90位(91-100位)メリーランド大学カレッジパーク校 米国

81-90位 メイヨーメディカルスクール 米国

81-90位(71-80位)クイーンズランド大学 オーストラリア

81-90位(61-70位)サン・パウロ大学 ブラジル

81-90位(81-90位)ユトレヒト大学 オランダ

81-90位 延世大学 韓国

91-100位 アリゾナ大学 米国

91-100位(81-90位)フロリダ大学 米国

91-100位 ロンドン・ビジネス・スクール 英国

91-100位 ロンドン・スクール・オブ・ハイギエーヌ・アンド・トロピカル・メディスン 英国

91-100位(71-80位)南洋理工大学 シンガポール

91-100位(81-90位)ニューサウスウェールズ大学 オーストラリア

91-100位(81-90位)ピエール・エ・マリー・キュリー フランス

91-100位(81-90位)ラトガース大学ニュージャージー州 米国

91-100位 アーヘン工科大学 ドイツ

91-100位 イスラエル工科大学 イスラエル

※()内は前年ランク

トップ100に入った大学数

米国 46校

英国  10校

ドイツ 6校

日本 5校

オーストラリア 5校

オランダ 4校

カナダ 3校

韓国 3校

香港 3校

スイス 2校

シンガポール 2校

中国 2校

フランス 2校

台湾など1校

在英国際ジャーナリスト

在ロンドン国際ジャーナリスト(元産経新聞ロンドン支局長)。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。masakimu50@gmail.com

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