スマホ世界シェアでアップルが1位に。なにが起きたのか?
米調査会社IDCが発表した2023年のスマホ世界シェアでは、これまでのサムスンと入れ替わる形でアップルが1位となり、話題になっています。
サムスンではなくアップルが1位に
日本では折りたたみ機などハイエンドのイメージが強いサムスンですが、海外では安価なモデルを多く展開。出荷台数シェアでは長年1位を維持してきました。
2023年についても、第1四半期から第3四半期(1月から9月)までは、例年通りサムスンが1位でした。
しかし第4四半期(10月から12月)、アップルは昨年比11.6%増と堅調だったのに対し、サムスンは10.9%減となり、通年でシェアの逆転を許しています。
もともとホリデーシーズンに強いアップルが第4四半期に1位になることは想定の範囲内とはいえ、それ以上にサムスンの不調が目立っている印象を受けます。
また、出荷台数ベースのシェアでは数が出る安価な製品を展開するメーカーが有利になると考えられるものの、中・高価格帯が中心のアップルが1位になるというのも特筆すべき点といえます。
両社の差は小さく、通年の出荷台数はアップルが2億3500万台、サムスンが2億2700万台とその差は1000万台未満で、別の調査では順位が入れ替わってもおかしくない状況です。
ただ、ここ数年の間に両社の差が縮まっていたことはたしかです。IDCの調査では、2019年のサムスンの出荷台数は2億9580万台で、アップルの1億9100万台より50%ほど多かったものの、2020年以降はその差が20%前後に縮まっていました。
この間、世界のスマホ市場は縮小傾向にあり、2021年の13億5980万台から2023年には11億6600万台に減っています。アップルの出荷台数も頭打ちではあるものの、サムスンほど大きく減る事態にはなっておらず、着実に売れ続けています。
Androidスマホに限っていえば、サムスンは3位のシャオミ(Xiaomi)に出荷台数で8000万台の差をつけており、当面は追い付かれるような状況にはありません。
しかし2023年は新興国に展開するトランシオン(Transsion)が躍進し、世界4位のOPPOに迫る勢いを見せています。こうした新興メーカーがサムスンのシェアを奪っている可能性はありそうです。
スマホの差別化「AI」が重要に
サムスンは1月18日(日本時間)に「Galaxy S24」シリーズを発表。AIを活用した翻訳や夜景撮影、文字起こしなどの機能をアピールしています。
こうした機能の一部は将来的にAndroidやグーグルのサービスに取り込まれ、どのメーカーのAndroidスマホでも似たような使い勝手になる可能性はあるものの、他社に先んじて搭載する動きも進むでしょう。
今後も世界のスマホ市場では安くて品質の良い製品が次々と出てくることが予想される中で、AIの活用による差別化がますます重要になりそうです。