日本のインフルエンザ流行が「東南アジア」化?
季節はずれのインフルエンザ流行が10か月以上も続いています。まだ冬になっていないのに、沖縄県でとうとう「警報」が発出されました。日本の感染症の流行はこれまで冬に起こるのが常識でしたが、まるで東南アジアのように前倒しで流行期に入っています。
沖縄県で「警報」発出
定点医療機関あたりのインフルエンザの感染者数は、1人超で流行期入り、10人超で注意報、30人超で警報、と定義されています。沖縄県が、今シーズンで全国初の「警報」発出になってしまいました(図1)。
現在、昨シーズンから10か月連続でインフルエンザの流行期が続いています(図2)。1999年以降、初めてのことで、現場としても戸惑いを感じています。
学級閉鎖数は昨シーズンのピークに迫っており、全国で1,857と報告されています(図3)。
多い年では、定点医療機関あたり50~60人というのがインフルエンザの恒例でしたから、定点医療機関当たり10人台だった昨シーズンの波は、ウイルス側としては不完全燃焼だったかもしれません。
そのせいで、免疫がない人たちに早期に感染しているのではないかという説があります。
まるで東南アジアのような流行
世界的に同じようなことが起こっているわけではなく、現在は東南アジアに偏ってインフルエンザの流行期に入っています(図4)。
熱帯・亜熱帯では通常雨期(5~10月)にインフルエンザの流行があります。これはこの時期に雨が降り、人が密集して屋内に集まるからではないかと考えられています。
東南アジアは、北半球と南半球の間に位置する国も多く、たとえばシンガポールでは年間に2回(北半球型、南半球型)の流行ピークが存在することがあります。
日本で起こっている一足早い流行は、コロナ禍で免疫が十分でないため感染が拡大しているという要因もあるでしょうが、日本が将来的に描く新しい流行曲線を見ている可能性もあります。
実際に、東南アジアに分布する菌やウイルスが徐々に日本国内に広がっている現象が観察されています。
まとめ
足元の最悪のシナリオは、現在の流行が「まだ始まったばかり」で、今シーズンが歴史的なインフルエンザの流行になるという流れです。
すでにインフルエンザワクチンの接種が開始されていますので、重症化リスクが高い方は早めの接種を検討ください。
(参考)
(1) WHO. Flunet. (URL:https://www.who.int/tools/flunet)