群雄割拠の戦国時代に天下統一を果たし、関白の地位にまで昇りつめる大出世を遂げた豊臣秀吉は、名古屋市中村区の出身（諸説あり）。郷土の英雄である秀吉が覇業を成し遂げるまでの歩みを共にできる「太閤秀吉功路」（全長約３キロメートル、徒歩で約５０分）は、秀吉の活躍に胸を躍らせながらウォーキングできる楽しいルートだ。

　ルート上にはモニュメントが設置されており、歴史上の一場面が描かれたレリーフが見られる。説明板には場面の説明だけでなくQRコードが添えられ、スマホのカメラでコードを読み取ると、レリーフの絵が動き出し歴史的なワンシーンをアニメーションで楽しめる。

　名古屋駅の太閤通口に設置された案内看板を発見したら、秀吉の大出世人生を共に歩む道のりのスタート。まずは駅西銀座商店街を通り、第１基のモニュメントを目指そう。

　第１基のモニュメントは「日吉丸（秀吉）、尾張国愛知郡中村で誕生」。説明板によると、以下のように書かれている。「天文６（１５３７）年、秀吉はここ中村で生まれた。父は農民とも足軽ともいわれ、母「なか」は貧しい中で４人の子を育てた。２番目の子であった秀吉。この地からその大出世は始まった」。

　駅西銀座商店街には７基のモニュメントが設置され、途中には「太閤秀吉功路」の旗印がたなびく。

　「則武本通３」の交差点を左折。この地点の直前に、われわれがモニュメントで人生を追っている秀吉は、長良川のほとりの墨俣（すのまた）に一夜城を建て、織田信長の美濃地方制圧の大きな足がかりをつくる大手柄を立てている。

　さらに７基のモニュメントを通過し、地下鉄桜通線の「太閤通」駅に到着。第１４基のモニュメントは「閉門中に部下をねぎらい、一気に勝利」。説明板にはこのようにある。「上杉謙信を討つべく天正５（１５７７）年に加賀へ向かった秀吉は、総大将柴田勝家と意見が合わず、戦線を離脱する。信長は怒ったが、秀吉は宴会を開いて兵を休ませ、松永久秀の謀反を制した。信長の怒りはこれで収まった」。比叡山を焼き払うなど怒りを買ったら手のつけられないあの信長様を激怒させておいて、別の手柄を得ることでたやすく信長様の怒りを鎮めるとは、さすがはわれらの秀吉だ。「太閤通３」の交差点を右折する。

　太閤通りをしばらく行くと、地下鉄東山線の「中村公園」駅にたどり着く。巨大な「大鳥居」があり、中村公園内にある「豊國神社」に続く参道の入口となっている。この地点ではモニュメントも最後の第３０基に達し、われらが秀吉は日本統一を果たして天下人となり、慶長３（１５９８）年３月に京都・醍醐寺で盛大な花見会を開催した後、８月に６２年の人生に幕を下ろす。

　参道を歩くと、加藤清正や福島正則、蜂須賀正勝といった腹心の武将たちを紹介するパネルが設けられている。秀吉と出会わなかったらおそらくは土着の地侍として一生を終えたはずの彼らが、長年の間、秀吉に付き従って共に苦難を乗り越えていくうちに、秀吉の出世に伴い勢力を拡大して大名にまでなる姿は、天下人秀吉を強く信じ固く支え協力を惜しまなかった結果に違いない。そして彼らの存在なくしては、秀吉は覇業を成し遂げられなかっただろう。

　パネルを順に追っていくと、やがて豊國神社に達する。豊國神社は明治１８（１８８５）年に創建され、豊臣秀吉を神として祀る。神社の隣地には、豊臣秀吉の生誕地の碑が建つ。太閤秀吉功路のゴールだ。人生大出世夢街道とも名付けられた功路は、「出世、挑戦、成功したい人を日本一応援するロード」となっている。

公式サイト：http://lifetime-dream-road.jp/