『マインクラフト』が女性キャラクターの配布を開始。その理由はゲームにおけるジェンダー問題の解決
子供の間で大人気となっているゲーム『マインクラフト』が、4月30日のアップデートで女性キャラクターの“Alex(アレックス)”の無料配布を開始しました。
New skins! Achievements! Music!
これまでいなかったのに、なぜ今ごろになって女性キャラクターが追加されたのか? その理由は、ゲームにおけるジェンダー問題の解決です。
12歳の少女、ゲーム内の男女差別を訴える
きっかけとなったのは、3月にワシントン・ポストに掲載されたひとつの記事だと言われています。
I’m a 12-year-old girl. Why don’t the characters in my apps look like me? - The Washington Post
上記の批判を受け、『Temple Run 2』の開発元は当初アンロックキャラクターだった女性キャラを無料で解放しました。今回のマインクラフトのアップデートも、これを受けてのものと思われます。
ゲーム文化を議論する「#Gamergate」論争
このようなゲームにおけるジェンダー問題は、海外では2014年8月頃から「Gamergate」論争として注目を集めていました。
Access Accepted第440回:北米ゲーム業界を揺るがす“ゲーマーゲート”問題 - 4Gamer.net
ゲーマーの良心がゲームを救う―アメリカで起こった「#GamerGate」ハッシュタグとモラル向上への議論 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト
GamerGate論争のきっかけは、インディーズゲームの女性開発者ゾーイ・クイン(Zoey Quinn)さんの元恋人が、クインさんが自分のゲームを取り上げて貰うためにゲームメディア『Kotaku』のジャーナリストと浮気したという嘘をネットの掲示板に書き込んだことが始まりです。
調査を行ったKotakuはこれを否定する声明を発表しますが、一部のゲームユーザーがクインさんのSNSやホームページを乗っ取ったり、脅迫を行ったりしました。また、ゲームメディアと開発者の癒着を追求する声も上がり出します。
さらに、8月末にはフェミニスト運動家のアニータ・サーキージアン(Anita Sarkeesian)氏が、「女性がビデオゲームの中でどのように描かれているか」を取り上げた動画をきっかけにして、性的ハラスメントや殺害予告を受ける事態にもなりました。
こうしたことから社会的な問題に発展し、『Twitter』ではこのことを議論するハッシュタグ「#GamerGate」が生まれました。ゲームにおけるジェンダー問題は、海外では今も議論され続けています。
日本のゲームは男女平等か?
では、私たち日本のゲームはどうなのでしょうか? じつは、ゲームの男女平等についてはブログ『狐の王国』のKoshianさんが、2014年に発売されたニンテンドー3DSのゲームタイトル100本から主人公の性別について調査してくれています。
調査によると、主人公の性別は
となったそうです。
やや男性が多いと言えますが、一番多いのは選択可。次が「そもそも性別なんてない」です。日本ではドラクエ3(1988年発売)あたりからすでに主人公の性別が選べるようになっており、欧米に比べると早くゲームのジェンダー問題について考えていたと言えます(もちろん、GamerGateでは日本のゲームについてのジェンダー批判もあります。いわゆる“乳揺れ”とか)
前述のマインクラフトもじつは2012年に「ゲームはジェンダーレスである」と発表されています(マインクラフトの世界では村人は全てハゲの老師であり、老師同士が愛し合って子供が生まれる)。
The Word of Notch - Gender in Minecraft
とは言え、「スティーブ」はやはり見た目がオッサンなので、今回のような対応が取られたのでしょう。
いちゲーマーとしては主人公の性別は(ゲームの設定に合わせて作られているため)気にしたことがなかったのですが、こうした議論をきっかけに性別を問う必要がないゲームでのジェンダー問題が解決されるのは良いことです。
日本のゲーマーも、これを機にゲームのジェンダー問題について考えてみてはいかがでしょうか?