ウクライナ軍、ロシア軍の黒海艦隊司令部を攻撃:商用ドローン「Skyeye5000mm」使用か
2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生用ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。
両軍の攻撃ドローンによる地上への攻撃は多く行われているが、2022年8月20日にはセバストポリ市にあるロシア軍の黒海艦隊司令部がウクライナ軍のドローンで攻撃された。攻撃された様子の動画も公開されている。
そして攻撃された映像からロシア軍の黒海艦隊司令部を攻撃したドローンはスロベニア製の商用ドローン「Skyeye5000mm」と多くのOSINT(Open Source Intelligence:オープンソースインテリジェンス)専門家は分析している。いわゆる"神風ドローン"のように標的に突っ込んでいって爆破したのか、爆弾を投下したのかは不明だが、標的に突っ込んでいき爆発したという見方が多い。「Skyeye5000mm」は1機につき100万円程度で購入できる。
▼ウクライナ軍のドローンによるロシア軍への黒海艦隊司令部への攻撃
民生品の商用ドローンも攻撃ドローンに
攻撃ドローンは「Kamikaze drone(神風ドローン)」、「Suicide drone(自爆型ドローン)」、「Kamikaze strike(神風ストライク)」とも呼ばれており、標的を認識すると標的にドローンが突っ込んでいき、標的を爆破し殺傷力もある。日本人にとってはこのような攻撃型ドローンの名前に「神風」が使用されるのに嫌悪感を覚える人もいるだろうが「神風ドローン(Kamikaze Drone)」は欧米や中東では一般名詞としてメディアでも軍事企業でも一般的によく使われている。今回のウクライナ紛争で「神風ドローン」は一般名詞となり定着している。
ウクライナ語では「Дрони-камікадзе」(神風ドローン)と表記されるが、ウクライナ紛争を報じる地元のニュースで耳にしたり目にしたりしない日はないくらいだ。
多くの攻撃ドローンが欧米からもウクライナ軍に提供されているし、ウクライナで開発されたものもある。米国バイデン政権は2022年3月に、米国エアロバイロンメント社が開発している攻撃ドローン「スイッチブレード」を提供し、すでにウクライナ軍によって利用されているが、これも神風ドローンのタイプだ。またポーランド製の「WARMATE」も神風ドローンだ。ロシア軍も「KUB-BLA」や「ZALA KYB」といった神風ドローンでウクライナ軍に攻撃を行っている。
これらは設計当初から軍事ドローンとして標的に突っ込んでいくために開発、製造されている。だが民生品の商用ドローンでも爆弾を搭載して標的を検知したら、標的に突っ込んでいくように操縦すれば、容易に攻撃ドローンになりうる。