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イスラエルによる攻撃拡大の危機?レバノンとヒズブッラー(ヒズボラ) #専門家のまとめ

髙岡豊中東の専門家(こぶた総合研究所代表)
(写真:ロイター/アフロ)

ガザ地区をはじめとするパレスチナへの攻撃が一向に止まない中、イスラエル政府の要人からレバノンへの攻撃本格化についての発言・脅迫が目立つようになりました。レバノンという国や、戦闘の主役であるヒズブッラー(ヒズボラ)について知っておきましょう。

ココがポイント

各国はレバノンについての渡航情報を発表し、自国民に退避や渡航の再考を促しています。

・『中東かわら版 2024年 No.39 レバノン:イスラエルによる侵攻を懸念した渡航情報が相次ぐ』(中東調査会)

そもそも、紛争の舞台となっているレバノンとはどういう国でしょうか?なぜレバノンの国家や政府ではなく、ヒズブッラーが紛争の主役なのでしょうか?

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▼ヒズブッラー(ヒズボラ)とは、対イスラエル武装抵抗運動であるとともに、政党、社会・教育・福祉分野での活動でレバノンに広がる運動です。

ヒズブッラー(ヒズボラ)って何?(Yahoo!ニュース エキスパート 髙岡 豊)

▼パレスチナでの紛争が激化すると、ヒズブッラーもパレスチナ支援としてイスラエルと交戦するようになりましたが、その方針は大規模交戦を避けようとするものでした。

レバノン:ヒズブッラー(ヒズボラ)は「アクサーの大洪水」攻勢にどう臨むか(Yahoo!ニュース エキスパート 髙岡 豊)

▼イスラエルとヒズブッラーとの交戦は、隣国シリアのゴラン高原にも広がりつつあります。

・『中東かわら版 2024年 No.42 レバノン・シリア:ゴラン高原に戦火が拡大』(中東調査会)

▼ゴラン高原とはシリアの領土で、1967年の第三次中東戦争以来イスラエルが占領しています。

ゴラン高原って何?(Yahoo!ニュース エキスパート 髙岡 豊)

エキスパートの補足・見解

現在の中東の紛争は、これまでに諸当事者間に確立してきた「ルール」や、過去の事例から得た経験から逸脱して侵攻する局面も多いため、予想が困難です。また、紛争当事者は自らを正当化し、敵を徹底的に貶めるための広報合戦を繰り広げており、一見第三者に見える諸国や機関も実はこの戦いの当事者となっていることもあります。だからこそ、基本的な事実について予習・復習が一層大切になります。

中東の専門家(こぶた総合研究所代表)

新潟県出身。早稲田大学教育学部 卒(1998年)、上智大学で博士号(地域研究)取得(2011年)。著書に『現代シリアの部族と政治・社会 : ユーフラテス河沿岸地域・ジャジーラ地域の部族の政治・社会的役割分析』三元社、『「イスラーム国」がわかる45のキーワード』明石書店、『「テロとの戦い」との闘い あるいはイスラーム過激派の変貌』東京外国語大学出版会、『シリア紛争と民兵』晃洋書房など。

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