『進撃の巨人』がパ・リーグとコラボするというので、「獣の巨人」の仰天「野球」シーンを検証してみた!
こんにちは、空想科学研究所の柳田理科雄です。
マンガやアニメの世界を、空想科学の視点で楽しく考察しています。
最近「おっ」と思ったのが、パ・リーグ6球団と『進撃の巨人』のコラボ!
一見あまり接点のなさそうな組み合わせだが、いやいや、実は関係大アリである。
『進撃の巨人』には、野球が重要な意味を持つシーンが登場するからだ。
注目のキャラは、コミックス第8巻で初登場した「獣の巨人」。
巨人はそれまで「知性を持たない」と思われていたのに、獣の巨人はいきなり言葉を話した。
立体機動装置を手に取って「しっかし面白いこと考えるなー」と感想まで述べた。
この獣の巨人が、コミックス第20巻でやった行為が衝撃的だった。
岩石を手のひらサイズに割って握りつぶし、離れた調査兵団に向かって散弾銃のように投げたのだ!
無数の石がすごいスピードで飛んでいき、人にも建物にも被害が続出……!
投げる際、獣の巨人は「まぁ…初球は様子見て」「目指すは 完全試合(パーフェクト)だ」と言っていたから、明らかに野球の経験者だ。
その正体は、物語における超重要人物ジーク・イェーガー。
獣の巨人の投擲能力は、ジークが子どもの頃から培った野球センスがあったからこそ、だった。
などと書き始めると、物語について熱く語ってしまいそうなので、ここでは投擲に集中して考察したい。
これが、とっても興味深いのだ。
◆獣の巨人の投擲とは?
ミケ分隊長の目測によれば、獣の巨人の身長は17m以上。巨人が石を投げた調査兵団までの距離は、筆者の見立てでは500mほどだった。
無数の石はほぼ水平に飛んでいたが、地球上で投げられた物体は、必ず山なりの「放物線」の軌道を描くから、ここでは最高点の高さ(リリース点からの高度)を10mと仮定しよう。
これらの材料から、この巨人がどれだけのスピードで投げたかが求められる。
最大高度10mの放物線運動の滞空時間は2.856秒。
この間に水平に500m進んだとしたら、水平速度は秒速175.1m。
実際にはわずかに斜め上に投げたはずで、高度10mに達することから計算すると、獣の巨人は「斜め上4.57度の角度で、秒速175.6mで投げた」ということになる。
それすなわち、時速632km。新幹線の2倍も速い!
身長17mとは人間のほぼ10倍だが、人間も10倍になれば、石をこんなスピードで投げられるのだろうか?
投げる物体の重さが体重に比例するとすれば、投げる速度は、10の平方根=3.162倍になる。
すると「身長170cmで、時速150kmの速球を投げられる投手」が身長17mになったら、時速150km×3.162=時速474kmで投げられることになる。
が、獣の巨人は時速632kmだから、1.3倍も速い!
◆アッと驚く計算結果!
そして『進撃の巨人』がすごいのはここから!
いまのはマンガの石の飛び方からの推測だが、今度は巨人のサイズ感から計算してみよう。
獣の巨人は、腕が異様に長い。マンガのコマで測ると、肩から指先まで12.5mもある。
筆者の体を基準に考えると、身長170cmの人の同じ部位は71cmのはずで、10倍に巨大化したら7.1m。獣の巨人の腕は、その1.761倍も長いということだ。
その場合、投げる速度は1.761倍の平方根で1.327倍になる。
ここから導かれる結論は「身長17m、腕の長さ12.5mのヒト」が石を投げる速度は、時速474km×1.327=時速630km!
なんとなんと、マンガの描写から算出した「時速632km」とほぼ同じ!
いや~、やはり『進撃の巨人』は科学的にもスバラシイ!
これには「距離500m」や「最大高度10m」など、筆者が勝手に加えた仮定がいくつも入っているので、単なる偶然の一致かもなんだけど、いや、でも、筆者はもう大興奮してしまった。
こういったことから考えると、パ・リーグ6球団と『進撃の巨人』のコラボは「待ってました!」でしかない。
なお、コラボグッズにもジークは投手としてしっかり登場しており、因縁の相手リヴァイはバットを左右の手に持った二刀流で対峙している。
楽しすぎる。