2015年のMLBを振り返る(2)サイクルヒット:ベルトレーは史上最多、ケンプは球団初
2015年のメジャーリーグでは、4人がサイクルヒットを達成した。これは2010年以来の人数だ。2012年も同じく4度だったが、この年はアーロン・ヒルが2度成し遂げた。21世紀の15年間で、5人以上の年は5度あり、2009年は8人いたことからすれば、2015年はそう多かったわけではない。だが、サイクルヒットそのものが珍しい記録であることに変わりはなく、それぞれに特筆すべき点が存在した。
他の3人は初のサイクルヒットながら、エイドリアン・ベルトレー(テキサス・レンジャーズ)は違った。2008年と2012年にも成し遂げており、2015年の達成によって、ジョン・ライリー(1883、1883、1890年)、ボブ・ミューゼル(1921、1922、1928年)、ベーブ・ハーマン(1931、1931、1933年)が持つ最多記録に並んだ。
サイクルヒット3度の4人中、すべてを同じ球場でやってのけたのはベルトレーだけだ。2008年はレンジャーズではなく、シアトル・マリナーズの選手として達成。ベルトレーはこの球場で6本の三塁打を放ち、その半数をサイクルヒットに結びつけている。
マット・ケンプ(サンディエゴ・パドレス)は球団史に深く名前を刻み込んだ。それまで、パドレスでサイクルヒットを成し遂げた選手は一人もいなかった。マイアミ・マーリンズは現在もそうだが、パドレスが初のサイクルヒットまで7444試合もかかったのに対し、マーリンズはまだ3658試合に過ぎない。ちなみに、パドレスは30球団で唯一、ノーヒッターを達成したことがない。こちらは、2012年にヨハン・サンタナがニューヨーク・メッツ初のノーヒッターを演じたことで、パドレスだけが取り残された。
ベルトレーとケンプに比べると、ブロック・ホルト(ボストン・レッドソックス)とシンス・チュー(レンジャーズ)のサイクルヒットに、そこまで際立つ点はない。とはいえ、レッドソックスの選手によるサイクルヒットは1996年のジョン・バレンティン以来19年ぶり。チューは韓国人メジャーリーガーのみならず、アジア出身としても初の達成者となった。
なお、メジャーリーグで500試合以上に出場している日本人野手6人のうち、イチロー(マーリンズ)は11試合でサイクルヒットにリーチをかけて打席を迎えた。松井秀喜は8試合、松井稼頭央と福留孝介は2試合、田口壮と青木宣親は皆無だ。松井秀喜はそこにポストシーズンの2試合、松井稼頭央は1試合をそれぞれ含んでいる。
「2015年のMLBを振り返る」