AppleWATCH 218万円 価値の秘密
KNNポール神田です!
AppleWATCH EDITION 38mm 18Kローズゴールドケースとローズグレイモダンバックルの価格は218万円と発表された。予想の価格よりは安かったが、高額になる予想は当たった。
http://store.apple.com/jp/buy-watch/apple-watch-edition
しかし、AppleWATCHを語る上において、デジタルの機能部分と、ファッションでの外観部分を分けて考える必要がある。
AppleWATCHの実質の「中身」の価値は38mm3万7000円、42mmで4万3000円
2015年4月24日発売(4月10日予約)となるAppleWATCHの「中身」の種類は1種類、サイズは2種類「38mm」4万2800円(349ドル)「42mm」4万8800円(399ドル)しかない。
そしてブレスレットの価格が、5,800円(スポーツバンド)とすると、実質の「中身」の金額、38mmは3万7000円、42mmは4万3000円となる。
http://store.apple.com/jp/watch/watch-accessories
しかし、それに素材ケースの違いと、ブレスレットの違いでここまで変化する。
18Kローズゴールド Apple Watch Edition38mmの価格218万円から、38mmの本体価格3万7,000円をひくと、214万3,000円となる。つまりこれが素材ケースとブレスレットの価値となる。218万円に対して、中身の価値はたったの1.7%しかないのだ、逆に外見にこそ98.3%の価値があると考えるべきだ。
AppleWATCHのブレスレットはROLEXよりも高価!
ここで、一番価値が世界的に安定している高級時計のROLEXのブレスレットの価格と比較してみると…
AppleEditionカテゴリーであればまったく遜色がない、ケースとブレスレットの価格帯となっている。
そして、Appleの場合は、iPhoneケースなどのアクセサリー市場もとてつもなく大きい。スマホアクセサリー市場は2013年で1,637億円もある。
サードパーティーがAppleWATCH用の2種類の38mmと42mm用のスライドスイッチベルトをたくさん投入してくることも安易に想像ができる。
AppleWATCHのブレスレット市場にサードパーティーが参入すると…
機械部品を一切使用していないAppleWATCHであれば、高級機械式時計では使用されなかったマグネット素材のブレスレットなども登場してくることだろう。また、スライドでカンタンに付け替えができるという意味でもAppleWATCHは、すでに「腕以外」にも使用できる「デバイス」ということも想像がつく。
カバンにさりげなくつけたり、ぶらさげたり、ペットにつけたり、いろんなシーンにAppleWATCHのブレスレット・アダプタ商品が登場するだけでオケージョンは大きく変化する。
AppleWATCHの価値は「中身」よりも「ケース」と「ブレスレット」にある
テクノロジー業界的には、AppleWATCHの価値は「機能」で語られるが、ファッション業界、いや高級時計業界的に考えてみると、中身は別にどうでも良いのである。機械式時計を愛する人は、正確で精緻な時を刻む機能を愛してはいるが、それが、太陽電池やクオーツや、ましてやGPSやインターネットで補正される時刻ではない。体内で発生する動的エネルギーを機械やバネやゼンマイが反応し、時という歯車に置き換え、コチコチと表示する生命体としての価値を見出しているのだ。大げさに言えば機械時計は、自分の生命エネルギーに呼応してくれるコンパニオンといってもいいほどだ。
そして、宝飾品的な価値だ。Appleが今回投入した特許までとった錬金技術をどう機械式時計を愛する人たちが評価するかが気になる。
2年置きに進化するAppleWATCHの技術など、どうでもいいこと
テクノロジー界では、2年も前の製品を使うなんてありえない。プラダの高級なガラケーを使っている人はもういない。そう、テクノロジーとファションブランドは相性が非常に悪い。それは、進化して陳腐化するサイクルが最長2年だからだ。どちらかというとルイ・ヴィトンの新作のサイクルに似ているのかもしれない。元サッカー選手の中田選手の愛用していたグラフィティのヴィトンのキーポルはもう恥ずかしくて使えないのと同じことだ。
しかし、重要なのは高級機械式時計の世界だ。高級機械式時計の世界では、3〜5年に一度のオーバーホール(OH)という儀式が要求される。ゼンマイの油や摩耗した部品のメンテナンスが必要なのだ。さらにその費用もピンキリである。日本ロレックスでは基本技術料として4〜6万円かかる。パテックフィリップとかだとその倍の料金。複雑時計になればなるほどOHの料金もアップする。
そう機械式時計は本体以上に維持費がかかるのだ。最近ではOHといっても、ETA社製と呼ばれるムーブメント(駆動部分)メーカーの部品ごとごっそり入れ替えてしまうというOHも増えてきた。
そこから発想するならばAppleWATCHもETAと同様に、OSをアップデートするように中身をごっそりとOHする時期を3年とすれば、テクノロジーの陳腐化をキャッチアップすることができるのだ。現在のAppleWATCHの駆動時間が18時間と言われているが、3年後には1週間は平気になっていることだろう。その中身が5万円以内でごっそりと入れ替えられるのであれば、OHと一緒の概念である。
むしろ、AppleWATCHのケースにオイスターケース並の価値があるかだ
ロレックスが発明した大発明に「オイスターケース」という機能がある。ロレックスは新規参入時計メーカーだったが、牡蠣の構造での防水機能をもったオイスターケース、他にも自動巻きの「パーペチュアル」、日付を瞬時に変える「デイトジャスト」という機能と精度とイノベーションでその地位を高めていった。もちろん、ドーバー海峡横断やエヴェレストや洞窟探検などの過酷な現場での信頼性という話題性を添えて。
Appleが、AppleWATCHを2015年というこの年に、この価格バラエティで登場させたということは、相当の覚悟があるかと思う。実質の中身の価値は4万円前後。OHでこの価値は進化する。変わらないのはケースとベルトだ。ベルトの交換は安易であるが、重要なのはケースの素材だ。惜しむらくは、ロレックスの防水、防塵のオイスターケースに至らなかったところだろうか?しかしだ、超高級時計になればなるほど、防水である必要性もないことも事実だ。
もしかするとAppleの1995初代ヴィンテージのAppleWATCH EDITIONが空前の価値を生み出すかもしれない。AppleWATCHに200万も払う人を笑う記事もあるが、意外に賢者の選択になるのかもしれない。
AppleWATCHにOHという概念が有ることを前提の話だが…。