激戦必至の男子400mハードル。注目種目は男子100mだけじゃない!
男子400mハードルは男子100mに次ぐ激戦種目
陸上競技では各種目で最大3人がオリンピックに出場できる。
日本代表を勝ち取るには、有効期間内に参加標準記録を突破し、日本選手権で上位3位までに入ることが必要だ(もしくは、ワールドランクにより出場資格を得られるケースもある)。
男子100mは、9秒台の記録を持つ4人を含む5人が参加標準を破っており、6月25日の日本選手権で優勝した多田修平(住友電工)、3位の山縣亮太(セイコー)が東京オリンピックに即内定を決めた(選考要項では日本選手権の順位が優先されるため、3人目は、標準記録突破者で最上位の小池祐貴(住友電工)が有力)。
つまりは、9秒台の記録を持ちながらも、個人種目でオリンピックに出場できない選手が出てきた、という事態が起こったわけだ。
日本選手権が開幕した時点で、4人以上が参加標準記録を破っていた種目(ロード種目を除く)は、男子100mの他にもう1つあった。
それが男子400mハードル、男子100mに次ぐ激戦種目だ。
トラック1周400mの間に高さ91.4のハードルを10台越えるという過酷な種目だが、これまでオリンピックのメダルこそないものの、世界選手権で為末大が2度の銅メダルを獲得するなど、日本勢が得意としてきた種目でもある。
安部、黒川、山内、豊田の4人が五輪参加標準記録を突破している
今シーズンが始まった時点で、五輪参加標準記録(48秒90)を切っていたのは、世界選手権に4度出場している安部孝駿(ヤマダホールディングス)のみだった。
だが、5月9日に東京オリンピックのテストイベントとして開催されたREADY STEADY TOKYOで、一挙に黒川和樹(法政大)、山内大夢(早大)、豊田将樹(富士通)の3人が標準記録を突破。一気に激戦の様相を呈してきた。
そして、25日には日本選手権の予選が行われた。4選手の結果は次の通り。
山内大夢…第1組1着49秒52
豊田将樹…第1組2着49秒94
安部孝駿…第3組1着49秒59
黒川和樹…第4組1着49秒73
と、それぞれ順当に予選通過を果たした。
4人のうち予選のタイムでトップだった山内は、予選の走りに手応えを口にしつつも、「ハードルの部分で浮いたり、8台目に入るときに、若干ブレーキがかかってしまった」と修正点も見出していた。「もう一度48秒台と優勝を狙いたい」と決勝への意気込みを口にした。
2連覇中で過去3度の優勝を誇る安部は、今季は不振だったが、「テストイベントが終わってからは、(痛めた)アキレス腱の治療に専念した」と試合には出ずに日本選手権に備えてきた。そして、「メンタルとコンディションを整えてきた」と、初のオリンピック出場へ調子を上げてきた。
今季絶好調の黒川は「追う身から追われる身になり、緊張がやばかった」と話すが、「自分が一番強いって思い込んで、前半から自分のレースをしていけば勝てると思う」と頂点に向けて抱負を口にする。
カーブのきつい1レーンだった豊田は「レーン運がなかった」と、予選では山内の後塵を拝したが、きっちりと2着で決勝進出を決めた。「(4人の)力はトントンだと思うので、最後は気持ちの勝負になる。勝ちに行くというより、負けないように、しっかりと代表を勝ち取れるように、がむしゃらに走りたい」と意気込む。
26日17時35分からの決勝は、
4レーンに豊田、5レーンに安部、6レーンに山内、7レーンに黒川と、4選手が並んだレーンで走ることになる。
おそらくは、前半型の安部、黒川が前半から飛ばし、後半が持ち味の山内と豊田が追う展開になるだろう。さらに、ロンドン五輪代表の岸本鷹幸(富士通)や昨年2位の山本竜大(日大)、今季好調の川越広弥(JAWS)もおり、激戦は必至だ。
号砲からフィニッシュの瞬間まで49秒間、目が離せないレースになりそうだ。