包丁で料理、ぞうきん絞り…子供達の家事経験の実情を探る
刃物利用の調理経験「何度もある」は半数
日々の生活を続けるには欠かせないさまざまな家事。子供のうちに経験を重ねてコツを学び取るべきだが、リスクの観点で避けさせる教育方針もあるという。現状の子供達の経験実態を、国立青少年教育振興機構が2016年5月に発表した「青少年の体験活動等に関する実態調査」報告書(2015年2月から3月にかけて各学校(小学校は1年から6年まで各100校ずつ、中学校は2年生対象に150校、高等学校は2年生対象に150校)への調査票発送・返信による回収方式で実施。有効回答数は学校数が851、子供の回収数が18031件、保護者が15854件)から探る。
自炊をする、そこまでいかなくとも料理を手伝うようになると、ナイフや包丁で野菜を切ったり果物の皮をむくことは必要不可欠になる。子供のうちはまだ不器用な場合もあり、刃物を使わせるのは危ないとする意見があるが、大人と共に料理を実演させてその危なさを教えることこそが大切との意見も多い。また学校で調理実習などにより、利用する機会もあるだろう。今調査の限りでは、刃物を使った料理の経験は大よそ5割の子供が有しており、ほとんど無い子供は1割前後でしかなかった。
経験者に関して減少するような動きは確認できない。
これを直近の2014年度分に付き、回答者となる子供の学年別で見た結果が次のグラフ。
最近の動向では無くこれまでの経験則を尋ねていることから、当然高学年の方が高い値を示すことになる。またこのような動きを示していることから、少なくともこの数年間に限れば、子供達の間における料理における刃物離れ的なものは起きていないことが分かる。高校2年生では2/3近くが、ナイフや包丁による調理経験を多数有している。
タオルやぞうきんしぼり「経験なし」はごくわずか
包丁などによる調理と比べれば、多くの子供が体験していることは容易に想像できるぞうきんしぼり。学校における掃除行為で大よそ経験はあるはずで、実際その通りの結果が出ている。
2012年度以降伸びる動きもあるが、大よそ9割が多分に何度も経験済みで、1割前後は何度かしたことがあると答えている。ほとんど無いとの回答は数%でしかない。
学年別で見ても変化が無く、幼い時からぞうきんやタオルを絞ることは日常的に行っているようすがうかがえる。
さまざまな理由でできない、しない事案もあるだろうが、概してぞうきんしぼりなどはほとんどの子供が経験済みで「やり方を知らない」とのケースは稀であることが確認できる。
包丁を使って料理をしたり、タオルやぞうきんしぼりは、家庭内での手伝いにおけるファーストステップ的な行動でもある。包丁周りは刃物に関するリスクもあるため、ある程度成長してからの方が良く、保護者の監視下での教えるのが好ましいが、タオルやぞうきんを絞っての掃除は、早いうちから教え込むことをお勧めしたい。
その際、保護者自身が楽しそうに掃除をする様子を見せれば、子供も興味関心を抱き、積極的に教えを乞うことになるだろう。
■関連記事: