お年寄りの「一人ぼっち」状態の実情をさぐる(2024年公開版)
高齢化で問題視されている事柄の一つに「高齢者の一人ぼっちな状態」、いわゆる孤独化が挙げられる。会社も退職し、子供も家を出て、社会的活動もおっくうなものとなると、一人でいる時間が長くなる。他人とのコミュニケーションの機会が少なくなれば、性格的にも偏屈化するのは目に見えており、また何かトラブルが生じた時に対応が遅れる可能性もある(孤独死問題がよい例)。今回は総務省統計局の「令和3年社会生活基本調査」(※)の結果を用いて、高齢者の孤独状態の実情を確認する。
次に示すのは単身世帯、そして高齢者夫婦世帯(夫婦のみの世帯のうち、夫が65歳以上、妻が60歳以上の世帯)における、「一人でいた時間」の平均値。週全体平均なので平日5日分と土曜・日曜を合わせた上で7で除算している。また高齢者夫婦世帯における60~64歳の男性の値は、条件に合致しないので空欄となっている。
単身世帯と高齢者夫婦世帯とでは一人でいる時間に大きな差があり、当然単身世帯の方が長い結果が出ている。しかも単身世帯では年上となるに連れてますます時間が延びる傾向がある(一部イレギュラーが生じているが)。再就職などで職場に足を運んでいれば他の就労者と共にいる時間もあるが、完全に職から離れてしまえばその機会も無い。歳が上になるに従い、職に就いている人も少なくなるため、当然一人でいる時間は長くなる。70歳以上の単身世帯はおおよそ、1日19時間強(睡眠時間含む)も一人でいる計算になる。
これが高齢者夫婦世帯になると、一人でいる時間は12時間台から13時間台にとどまる形となる。しかも年を重ねても増えることはなく、むしろ減る傾向にある。
心身の衰えとともに外出する気概も減ってしまうのだろう。また、年とともに睡眠時間が延びていくのも、夫婦一緒にいる時間が延びる理由ではある。
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※令和3年社会生活基本調査
国勢調査の調査区のうち、総務大臣の指定する約7600調査区に対して行われたもので、指定調査区から選定した約9万1000世帯に居住する10歳以上の世帯員約19万人を対象としている。ただし外国の外交団やその家族、外国の軍人やその関係者、自衛隊の営舎内や艦船内の居住者、刑務所などに収容されている人、社会福祉施設や病院、療養所に入所・入院している人は対象外。2021年10月20日現在の実情について回答してもらっているが、生活時間については2021年10月16日から10月24日までの9日間のうち、調査区ごとに指定した連続する2日間についての調査となる。調査方法は調査員による調査世帯への調査票配布と、調査員への提出あるいはインターネットでの回答による回収方式。
調査は5年おきに実施されており、過去の調査もほぼ同様の様式で行われている。
(注)本文中のグラフや図表は特記事項のない限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。
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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。
(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。