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「ゴースト・オブ・ツシマ」アニメ化 世界戦略に自前IPの育成 業界の課題に挑む姿勢も #専門家のまとめ

河村鳴紘サブカル専門ライター
「Ghost of Tsushima: Legends/冥人奇譚」の公式サイト

 世界出荷数1300万本を誇るゲーム「Ghost of Tsushima(ゴースト・オブ・ツシマ)」のモード「Legends/冥人奇譚」をアニメ化し、2027年に公開することが発表されました。原作ゲームは、ソニーのゲーム事業を手掛けるソニー・インタラクティブエンタテインメントのゲーム開発子会社サッカーパンチプロダクションズで、ソニーの傘下であるクランチロールとアニプレックスの共同製作、音楽はソニー・ミュージック。ほぼすべてをグループで固めた布陣。ソニーの世界戦略の一環ですが、巧妙な手です。

ココがポイント

an anime series based on Ghost of Tsushima: Legends

Ghost of Tsushima: Legends/冥人奇譚

ゲームの映像化に近年、力を入れる方向性になったのですが、積極的なのがソニーです。
出典:河村鳴紘 2023/1/30(月)

ソニーグループは(中略)アニメ事業の強化を打ち出した。稼ぎ頭のゲームや音楽、映画に続く(中略)事業の収益源に育てる狙い。
出典:共同通信 2024/5/23(木)

エキスパートの補足・見解

 まず「ゴースト・オブ・ツシマ」は、米国のゲーム開発会社が手掛けた作品で、何かとうるさい日本のゲーマーから見てもほぼ違和感はなく、衝撃をもって受け止められました。そして同作は、既に映画化が発表済みです。

 そして今回のアニメは、ストーリーは関係なく、補足的なモードを選択しているのがポイント。主人公ですら自由裁量が可能で、クリエーターがアイデア、演出を存分に盛り込める余地が大きいわけです。配信はクランチロールなので、人口の大きい欧米がターゲットになりますから、戦略から見ても優れています。

 今のアニメ化は、人気マンガ原作への偏重が著しく、しかも原作の順守を以前より強く求められる傾向にあり、トレンドです。その点の懸念の声も少なくありません。今回のアニメ化は、今のアニメ業界の課題を理解した上での挑戦になるわけで、自社IPの強化にもなりえます。

 今回のようなソニーの自社の人気ゲームのアニメ化であれば、一定の自由を確保しつつ、ファンの人気をある程度“担保”できます。アニメが成功したら、そちらをゲームに生かすという考えもあるでしょう。さまざまなリスクを軽減した巧みな手法といえそうです。

サブカル専門ライター

ゲームやアニメ、マンガなどのサブカルを中心に約20年メディアで取材。兜倶楽部の決算会見に出席し、各イベントにも足を運び、クリエーターや経営者へのインタビューをこなしつつ、中古ゲーム訴訟や残虐ゲーム問題、果ては企業倒産なども……。2019年6月からフリー、ヤフーオーサーとして活動。2020年5月にヤフーニュース個人の記事を顕彰するMVAを受賞。マンガ大賞選考員。不定期でラジオ出演も。

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