「ゴースト・オブ・ツシマ」アニメ化 世界戦略に自前IPの育成 業界の課題に挑む姿勢も #専門家のまとめ
世界出荷数1300万本を誇るゲーム「Ghost of Tsushima(ゴースト・オブ・ツシマ)」のモード「Legends/冥人奇譚」をアニメ化し、2027年に公開することが発表されました。原作ゲームは、ソニーのゲーム事業を手掛けるソニー・インタラクティブエンタテインメントのゲーム開発子会社サッカーパンチプロダクションズで、ソニーの傘下であるクランチロールとアニプレックスの共同製作、音楽はソニー・ミュージック。ほぼすべてをグループで固めた布陣。ソニーの世界戦略の一環ですが、巧妙な手です。
ココがポイント
an anime series based on Ghost of Tsushima: Legends
Ghost of Tsushima: Legends/冥人奇譚
エキスパートの補足・見解
まず「ゴースト・オブ・ツシマ」は、米国のゲーム開発会社が手掛けた作品で、何かとうるさい日本のゲーマーから見てもほぼ違和感はなく、衝撃をもって受け止められました。そして同作は、既に映画化が発表済みです。
そして今回のアニメは、ストーリーは関係なく、補足的なモードを選択しているのがポイント。主人公ですら自由裁量が可能で、クリエーターがアイデア、演出を存分に盛り込める余地が大きいわけです。配信はクランチロールなので、人口の大きい欧米がターゲットになりますから、戦略から見ても優れています。
今のアニメ化は、人気マンガ原作への偏重が著しく、しかも原作の順守を以前より強く求められる傾向にあり、トレンドです。その点の懸念の声も少なくありません。今回のアニメ化は、今のアニメ業界の課題を理解した上での挑戦になるわけで、自社IPの強化にもなりえます。
今回のようなソニーの自社の人気ゲームのアニメ化であれば、一定の自由を確保しつつ、ファンの人気をある程度“担保”できます。アニメが成功したら、そちらをゲームに生かすという考えもあるでしょう。さまざまなリスクを軽減した巧みな手法といえそうです。