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大谷翔平元同僚が3Aで二刀流に挑戦中!フレッチャーがプロ初先発登板でナックルボールを武器に6奪三振

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
3Aでプロ初先発登板を果たしたデビッド・フレッチャー選手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【フレッチャー選手が投手としてプロ初先発】

 エンジェルス時代に大谷翔平選手と最も仲が良かった同僚として日本でも知られ、米メディアによって水原一平元通訳と同じ違法ブックメーカーを使ってスポーツ賭博をしていたことが報じられたことで、現在MLBから調査を受けているデビッド・フレッチャー選手が現地時間の5月29日、所属先のブレーブス傘下3Aで投手としてプロ初先発に臨んだ。

 オリオールズ傘下3Aチームを相手に5回を投げ3安打(1本塁打)2失点を喫したものの、MLB公式サイトの2024年版若手有望選手ランキングで堂々の1位に輝いたジャクソン・ホリデー選手を含め6奪三振を記録している。

 米メディアによると、この日投じた64球中52球がナックルボールだったようで、ナックルボーラーとしての才能を開花させているようだ。

【現在のフレッチャー選手は完全な二刀流状態に】

 前述したように、昨シーズンまでフレッチャー選手は先発どころか投手経験すら一度も無かった。

 ところが今シーズンは開幕から現在のチームに所属し、5月8日に自身初の野手登板を経験し、1回を投げ1安打無失点の好投を演じている。

 その後も同15日(1イニング)、同19日(1.1イニング)、同23日(2.2イニング)と、登板を重ねながら投球イニングを伸ばしていき、今回の先発登板に臨んでいた。

 現在も同時並行で野手としても出場を続けており、間違いなく現在のフレッチャー選手は大谷選手同様に二刀流として活躍している状態だ。

【本格的な投手転向への布石なのか?】

 MLBで野手登板は決して珍しいことではないが、リリーフ投手さえも基本的に登板スケジュールを決めながら起用しているMiLB(マイナーリーグの略)では、野手登板はかなり珍しいケースだといっていいだろう。

 しかもこれだけ定期的に登板を繰り返し、イニングを伸ばしながら先発までこなしたことを考えると、チームの方針もしくは本人の意思で、本格的に投手に挑戦しているように思えてならない。

 ただし今後も現在のように二刀流を続けていくのは、かなり厳しい状況にある。ここまで野手として58試合に出場し、打率.248に止まるほか、OPSに至っては.600に低迷しており、エンジェルス時代から続いている打撃不振が解消できていないからだ。

 今後野手としてMLBに戻りそこで定着するのは相当に困難な道のりであり、将来を見据えた結果、現在はナックルボーラーとして投手に転向する布石を歩んでいるのかもしれない。

【MLBの調査は証拠集めで難航中との報道も】

 現時点で米メディアからフレッチャー選手の投手転向を匂わせる報道は出ていないし、チームの公式サイトを見ても、フレッチャー選手は内野手登録のままになっている。

 果たして今後フレッチャー選手がどのような起用をされていくのか、かなり気になるところだ。

 ちなみに米メディアによれば、フレッチャー選手に関するMLBの調査は証拠集めで難航しており、順調に進んでいないようだ。調査が終了するまでMLBとしても処分を決めることはできないので、それまでフレッチャー選手は現状のままプレーを続けることができることになる。

 また報道されているように、フレッチャー選手が違法ブックメーカーを利用してスポーツ賭博をしていたとしても、野球に賭けていないことが証明されれば、MLBの処分は罰金だけになるという見方も出ている。

 現状を見ていると、このままフレッチャー選手が先発投手として試合に投げ続けることになっても何ら驚きはないし、将来ナックルボーラーとしてMLBで復活するのも面白いストーリーになりそうだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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