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低調に終わったベネズエラ戦で大迫と南野にシュートが少なかった理由【ベネズエラ戦出場選手採点&寸評】

中山淳サッカージャーナリスト/フットボールライフ・ゼロ発行人
(写真:松尾/アフロスポーツ)

全体が間延びしたことで露呈した問題

 森保監督が試合前日会見で「ウルグアイ戦のメンバーをベースに戦う」と宣言した通り、中盤から前線を固定して臨んだベネズエラとの親善試合は、試合終盤に追いつかれて1-1のドローで終わった。

 ウルグアイ戦からの変更点は守備陣の3人。GKに初キャップのシュミット・ダニエルが入り、怪我の長友に代わって左サイドバックに佐々木、吉田とセンターバックを組んだのは進境著しい冨安だった。

 まず日本の全体的なパフォーマンスが低調だったため、ドローという結果は妥当なものだったと言えるだろう。1トップの大迫がシュート0本、南野が1本、さらに堂安と中島がそれぞれ決定機でミスしたことを考えれば、当然ながら勝ちきるのは難しくなる。

 もっとも、インパクトの強かったウルグアイ戦のようなサッカーできなかった理由は別にあった。特に目立っていたのが、選手間の距離の問題だ。10月の2試合に比べ、終始全体をコンパクトに保てなかったことで、攻守両面で弊害が出てしまった。

 日頃からそこを強く意識している森保監督にとっては、反省点の多い試合になったことは間違いない。

 守備面の弊害としては、ボールを奪われた後の即時回収ができなかったことが挙げられる。選手間の距離が遠いため、ロストしたボールは組織的な守備ができていたベネズエラにほとんどのケースで奪われてしまい、その結果、日本の最終ラインが下がってしまい、全体が間延びしてしまうという悪循環に陥った。

 全体が間延びしてしまうと、当然ながら厚みのある攻撃ができなくなってしまう。GKやDFラインから前線を狙ったロングフィード、あるいは中島や堂安のドリブル突破など、この試合における日本のチャンスの多くが単発の攻撃になってしまった原因はそこにある。

 同時に、周りとの距離が遠くなったことにより、前線中央の大迫と南野が下がってボールを収めた後、再びボールを受けてシュートを狙うというシーンもほとんど作れずに終わってしまった。2人のシュート数が極端に少なかった理由だ。

 この試合のベネズエラは、4-3-3の布陣で全体のコンパクトさをキープし、日本のセンターバック2枚、そしてダブルボランチに的確な圧力をかけてきた。特にインサイドハーフが柴崎と遠藤に効果的なプレスをかけてきたため、2人からの効果的な縦パスは9月の2試合と比べて激減してしまった。

 前回のウルグアイ戦は様々な要素が重なり合って好試合となったが、まだ間延びした現象を試合中に修正する術を待ち合わせていないことが露呈した格好だ。おそらく次のキルギス戦はこの試合のベンチメンバーが中心となるはずなので、アジアカップに向けた課題の修正は、グループリーグ3試合の中で改善を図ることになるだろう。

 いずれにしても、スタジアムに向かうバスが渋滞に巻き込まれ、試合直前に到着したことが最大のニュースとなったのが、このベネズエラ戦だったと言える。

※以下、出場選手の採点と寸評(採点は10点満点で、平均点は6.0点)

【GK】シュミット・ダニエル(GK)=6.0点

代表初キャップでありながら及第点のパフォーマンスを見せた。前半44分に自らのロングキックでチャンスの起点となるなど、アジアカップのメンバー入りに前進した。

【右SB】酒井宏樹=6.0点

49キャップ目にして初ゴールを記録。しかし試合終盤に不用意なファールを犯してPKを与え、失点の原因となった。ゴールでプラス0.5、PKにつながったファールでマイナス0.5。

【右CB】冨安健洋=6.0点

10月のウルグアイ戦では三浦がスタメンだったが、この試合ではスタメンで吉田とコンビを組んだ。前半12分の場面で失点を防ぐなど、スタメン奪取に大きく前進した。

【左CB】吉田麻也=6.0点

守備面では安定したパフォーマンスを見せ、攻撃面では前半30分に絶妙のフィードでチャンスの起点となった。少しずつではあるが、キャプテンとしての風格も出てきた。

【左SB】佐々木翔=5.0点

前半12分に不用意なヘディングでピンチを招いた。それ以外にもあらゆる面で長友とのレベル差は否めず課題は山積。ひと皮剥けるためには、時にリスクを犯すプレーも必要。

【右ボランチ】遠藤航=5.5点

10月のウルグアイ戦と比べると、縦パスが減少してバックパスが目立った。セフティを選択するだけでなく、最終ラインに落ちるなど相手のプレスを回避する動きも求められる。

【左ボランチ】柴崎岳=5.0点

10月のウルグアイ戦に続いて低調なパフォーマンスに終始。無理な縦パスをインターセプトされてピンチを招くなど、所属クラブで出場機会を失っている悪影響が再び露呈した。

【右ウイング】堂安律(77分途中交代)=5.5点

前半26分の決定機でのシュートミスは痛恨。全体的には質の高いプレーを見せたものの、少ないチャンスを決め切れるかどうかが重要なポジションゆえ、合格点とは言えない。

【トップ下】南野拓実(77分途中交代)=5.5点

森保ジャパンでの連続得点記録がストップ。過去3試合と比べて躍動感がなく、雑なプレーが多かった。その一方で、安定感のある献身的なディフェンスは継続させた。

【左ウイング】中島翔哉(68分途中交代)=5.5点

セットプレーから酒井が決めた先制ゴールをアシスト。ただ、ドリブルで相手守備陣を混乱させた一方、決定機でシュートをミスするなど決定力の部分で物足りなさを感じさせた。

【CF】大迫勇也(68分途中交代)=5.5点

相変わらずボールを収めるプレーは一級品。森保ジャパンの生命線であることを改めて証明したが、シュートは0本。ストライカーとして相手に与える脅威の面で不満が残った。

【FW】北川航也(68分途中出場)=5.0点

試合終盤の好機をミスで逃すなど、クオリティの面では課題が多い。キルギス戦でのパフォーマンス次第では、アジアカップのメンバー入りは難しいかもしれない。

【MF】原口元気(68分途中出場)=5.5点

中島の控えに甘んじているものの、攻守両面における献身的なプレーは健在。この試合では攻撃面でも持ち味であるドリブル突破を何度か披露することもできた。

【FW】杉本健勇(77分途中出場)=5.0点

故障により辞退となった鈴木優磨の代わりに9月以来の招集。しかしこの試合ではそのチャンス生かせず、キルギス戦でのパフォーマンスが注目される。

【MF】伊東純也(77分途中出場)=5.0点

試合終盤に途中出場。特筆すべきプレーを見せることはできなかった。

サッカージャーナリスト/フットボールライフ・ゼロ発行人

1970年生まれ、山梨県甲府市出身。明治学院大学国際学部卒業後、「ワールドサッカーグラフィック」誌編集部に入り、編集長を経て2005年に独立。紙・WEB媒体に寄稿する他、CS放送のサッカー番組に出演する。雑誌、書籍、WEBなどを制作する有限会社アルマンド代表。同社が発行する「フットボールライフ・ゼロ」の編集発行人でもある。

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