北朝鮮 閲兵式を行ったが、米韓が厳戒した「軍事パレード」ではなかった!
北朝鮮は予想されたように建国記念日の今朝、閲兵式を行った。しかし、米韓が警戒していた軍主導の新型兵器をお披露目する軍事パレードではなく、党主導の民兵によるパレードだった。
金正恩政権が2012年に発足してから閲兵式は今回も含め10回実施されているが、陸海空の正規部隊が動員されず、労農赤衛隊など予備役や警察が主体となった非軍事パレードは建国65周年の2013年9月9日以来2度目である。
この時も労農赤衛隊、赤い青年近衛隊が中心となりパレードが行われたが、今回と異なるのは、人民武力相(現国防相)の指示の下、労農赤衛軍司令官が閲兵式を執り行っていたことだ。当時もミサイルなどの兵器は登場しなかったが、それでも放射砲は出していた。
今回は党が主体となり、労働党組織担当の趙甬元(チョ・ヨンウォン)政治局常務委員の指揮系列の下、李日煥(リ・イルファン)党政治局員兼書記(党勤労団体部長)が閲兵式を統括していた。今回も軽装備のほかに122mm多連装ロケットや対戦ミサイルなど在来式兵器は登場していたが、戦略ミサイルや潜水艦弾道ミサイル(SLBM)などは登場しなかった。むしろ、新型コロナウイルス防疫を担当する非常防疫縦隊やオートバイ・トラクターなどが登場するなど北朝鮮が現在置かれている苦境を反映したパレードとなっている。
今朝の閲兵式では最高指導者の金正恩総書記は演説をせず、勤労団体担当の李日煥党書記が代行していたが、建国65周年の時も金総書記は姿を現したものの演説はせず、政治局常務委員の一人である朴奉柱(パク・ボンジュ)総理が行っていた。
金総書記が閲兵式で演説したのは2012年4月15日の金日成主席生誕100周年、2015年10月10日の労働党創建70周年、2018年2月8日の朝鮮人民軍健軍70周年、2020年10月10日の労働党創建75周年の軍事パレードの時の4回しかない。
朝鮮戦争勝利60周年(2013年7月27日)、建国65周年(2013年9月9日)、金日成主席生誕105周年(2017年4月15日)、建国70周年(2018年9月9日)、労働党第8回記念軍事パレード(2021年1月14日)の時はいずれも演説をしなかった。
また、今回も前回(労働党第8回記念軍事パレード)同様に生中継されなかったが、北朝鮮が生中継したのは2017年までで、2018年2月の朝鮮人民軍健軍70周年軍事パレードからはすべて録画中継となっている。