台風25号は台風24号より海面水温の低い海域を通っている
台風24号と台風25号
台風25号が、沖縄県・久米島付近を通って東シナ海に入り、北上中です。台風25号は、今後進路を東よりに変え、日本海に進む見込みです(図1)。
台風25号は、日本列島に記録的な風を吹かせた台風24号と比べると、海面水温が低い(水蒸気量が少ない)海域を通っています。
沖縄に接近するまでは、台風24号とほぼ同じコースを通っています。
台風が通過した海域は、海面がかき混ぜられ、下層の冷たい海水が表層まであがってくるため、海面水温が低くなりますので、台風25号は、台風24号によって海面水温が低くなった海域を通って沖縄に接近しています。
図2は、少し前の台風25号の進路予報を重ねたものです。図では、沖縄の南海上と西日本の南海上に、海面水温が27度以下の海域が細長く広がっています。これが、台風24号の通過によって生じた、海面水温の低下のなごりです。
台風のエネルギー源は、多量の水蒸気が水に変わる時に発生する熱です。多量の水蒸気が台風の中心付近の眼を取り巻く雲の壁のところに集まり、そこで上昇して冷やされ、水蒸気が水に変わり、熱を出しています。台風は、このときに発生する熱がエネルギー源ですので、海面水温が高いほど発達します。
台風25号は、台風24号によって海面水温が低くなった海域を沖縄に向かって進むにつれ、猛烈に発達していたものが強い台風に衰えています。
また、台風24号は、西日本の南岸という海面水温の高い海域を北東進したため、あまり衰えることなく紀伊半島の和歌山県田辺市付近に上陸したのですが、台風25号は東シナ海を北上し、海面水温が低い海域に入る予報です。
太平洋高気圧が台風14号の接近時と比べると若干強くなり、少し大回りした放物線を描きながら日本に接近した分、衰えての西日本接近です。
日本海で温帯低気圧に?
台風25号は、日本海に入ったあと、北から南下する寒気の影響で、日本海から北日本の東海上で温帯低気圧にかわる予想です。
このため、記録的な暴風ではなく、広い範囲の強風と台風周辺の強雨に注意が必要な台風です。
台風の風が弱まったとしても、多量の暖かくて湿った空気を日本付近に持ち込んでいますので大雨の可能性があります。
また、温帯低気圧に変わったとしても、北から南下する寒気の影響で、低気圧として発達して強い風が吹く可能性もあります。
台風25号が通過中の沖縄地方、これから接近する九州では厳重な警戒が必要ですが、台風が日本海に入ったあと接近する北日本でも台風に対する警戒が必要です。
タイトル画像、図2の出典:ウェザーマップ提供。
図1の出典:気象庁ホームページ。