戦略的キャリアの作り方、知っていますか?
暑中見舞い
毎年、冷夏になるとテレビのニュース番組のキャスターたちが伝える度に、猛暑になるのは、何かのお約束事なのでしょうか。
暑い日が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?
私は夏を満喫するようなイベントは特にないまま、休日は普段通り近所の公園を散歩したり、読書したりして過ごさせていただいております。
facebookのタイムラインを見るにつけリア充な生活に憧れつつも、こうした何でもない日々の過ごし方が自分らしい、なんて言い訳をしつつ日々元気に過ごしております。
そんな中でも、非常にありがたい事にキャリア相談のご依頼を多数いただいております。
今回は、そうしたキャリアに悩む方々のご相談の中でいつも感じている事について、一度しっかりと書いてみようと思います。
こちらの記事にもまとめていますが、キャリア戦略についてのお話になります。
これまでのキャリア戦略
これまでの日本におけるキャリア戦略は、高度経済成長という奇跡的なマクロ環境を背景に、大手有名企業にさえ入社すれば、ある程度は継続的な年収アップやポジションアップがセットとして見込め、保証されていました。
そのため、自分でキャリア戦略を主体的に考える必要はそもそもなかったのかもしれません。
大手企業に入社する事での安定成長が約束されたキャリア神話が崩れ、誰にとっても鉄板なキャリアというのがなくなってきた昨今、転職というキャリア選択の際に明確な方針なく失敗してしまう方は意外と多いものです。
私は、保守的な性格なのか、こうした失敗をできる限り減らしたくてしょうがない性分です。
世の中のすべての人が幸せになれば良いのに、と結構本気で考えており、今回も少しでもキャリアに悩む皆様のヒントになればと筆をとりました。
戦略的キャリアとは?
先行き見えない経済環境の中、どのようなキャリアを築いていくべきか。
優秀なビジネスパーソンである皆さん、誰もが悩まれている課題と思います。
そこで重要となるのが、戦略的キャリアなる考え方です。
では、戦略的キャリアとは何か?
言葉は仰々しいですが、大した複雑な話ではありません。
一言で言えば、長期的未来から逆算し、短期で損して長期的に得を回収するキャリア選択の仕方の事です。
自分が長期的になりたいキャリア像を明確化し、そのため必要となるであろうスキルセットをしっかりと時間をかけて積み上げていく手法です。
キャリアに限った話ではありませんが、長期戦略・方針がないと、短期的な合理性のみを重視し意思決定を重ねてしまい、気がつけば長期で投資を続けてきたプレイヤーと大きな差がついてしまうのです。
短期的なキャリア選択の功罪
例えば、キャリアにおいての短期的な選択というのは、とにかく有名人気企業に入社する事を目的とする選択です。
高度経済成長期のキャリア構築の際にはテッパンであった大手有名企業に入るという就職活動の名残で、転職や中途入社でも、有名会社に入る事を目的とする人は多いです。
異業界の事はよくわからないし、有名で大きな会社に入れば何かと良いのではないか?というのは気持ちはわかります。
実際わかりやすいですよね。
こうした会社に入る事自体が悪いとは思いません。
ただ、こうした会社の数は限られていますから、実際に入社できる人は、ごく一部の人です。
つまり、現時点で既に、過去から多くの努力や研鑽を積み上げてきた選ばれる経験やキャリアを持った人達のみなのです。
また、企業に入る事自体が目的となり、職種スキル・経験というキャリアにおいて最も重要な部分がおざなりにされてしまうのです。
新卒の就職活動においては別としても、中途採用市場で評価を受けるビジネスパーソンのキャリアにおいては、学歴と同様にどの会社にいたかはそこまで重要視されません。
どういった業界で、どういった職種経験を積んできたかの方が重要なのです。
キャリアの買い手視点
これはキャリアの買い手の視点に立てば、簡単にわかる事です。
キャリア戦略を考える上では、前提として、転職市場での買い手の視点について理解・把握をしておくと良いと思います。
買い手の視点に立って自身のキャリアを考えていくべきです。
ビジネスでも顧客に自社の製品を売り込む際には、顧客市場の事をしっかりとリサーチし、彼らの需要に沿って、商品開発・マーケティング・営業を行いますよね。
転職市場でも同様に、求人企業を顧客と想定した際に、彼らの需要にフォーカスする事が非常に重要な事なのです。
- 求人企業が採用したい人はどういった経験やスキルを持った人なのか?
- なぜ今回このポジションを採用しようとしているのか?彼らの採用の目的や背景は?
- どういった競争相手と相対比較されているのか?
例えばですが、上記のような点を意識しておくべきです。
上記視点に沿った上で、果たして自分の経験・スキルは、応募を検討している競争相手と比較して、採用される合理性があるのか否か、一度考えてみても良いでしょう。
Aさんのキャリア選択(ケーススタディ)
ここからは、少し話をイメージしやすいようにケースを交えてお話してみましょう。
インターネットメディア業界で企画職にチャレンジしたいというAさんという方がいたとします。
しかしAさんは、建築資材業界の法人営業の3年間の実務経験しかありません。
そこで、上記のキャリアを未経験で経験するのはほぼ無理に等しいです。
自分だけが特別扱いされる程、甘い話ではありません。
この世の中に、メディアの企画職経験者が存在しないのであれば、可能性があるかもしれませんが、競争相手として一定数経験者は存在し、求人企業としては彼らを採用した方が合理的でしょう。
そうすると、Aさんの取れる選択肢としては、以下の2点の選択肢をとる事になります。
- 知り合いの小規模な会社で給与をもらわず見習いとして、業界・職種経験を積ませてもらう
- 次のステップでそれを叶える事は難しいという現状認識に持ち、その次のステップでチャレンジできる経験・スキルを学べる業界・職種を検討する
1つめの選択肢はかなりストイックですので、ドMな方以外は、現実的には2つめの選択肢を選ぶべきです。
やりたい事の一歩前に駒を進める
メディア企業の企画職=ディレクターやマーケティング職種と定義したとして、こうした職種の人たちの業務を外部から支援する会社の営業職を狙うべきです。
今回のケースの場合は、例えばインターネット広告代理店やSEOのコンサルティング会社の営業職でしょうか。
ここで実務経験を積めば、数年後に念願であるメディア企業のディレクターやマーケティング職種にステップアップできる可能性がグンと高まります。
実際、こういった求人であれば、Aさんは、業界経験はなくとも、職種経験として法人営業経験を持っていますので、営業経験・スキルを評価される可能性があります。
ただ、概して、こうした会社はAさんは聞いた事もない会社であったり、当初想定していたメディア運営会社ではなく、ピンとこず、魅力を感じられないのです。
現実的には、たまたま転職エージェントに勧められるがままに受けていた大手システム会社の法人営業に内定をもらい、内定時の給与・待遇の良さや、格好良さ、面接官の人柄が良かったので〜等の当初のキャリア方針とは関係のない理由をつけて、最終的にそちらを選択してしまう人が非常に多いです。
そうして、Aさんはいつまで経っても、メディアの企画の仕事に就く事はなく、年齢を積み重ねていき、そもそもチャレンジする機会もなくなってしまうのです。
人生に正解はないがキャリアには一定の正解がある
しつこいようですが、ここで待遇の良い大手システム会社に入社する事自体が悪いわけでは決してありません。
そうした会社でシステム営業の経験を積んだのであれば、それはそれで次のステップが開けていくでしょう。
人生はボトムアップ的、偶発的な機会との出会いや積み上げによって形成されていくものという考えは、私も支持しています。
こうした議論になると、人生の選択とキャリアの選択を同じレイヤーとして混同してしまい、議論がかみ合わなくなってしまう事が多いです。
人生や生き方の価値観は、多様で自由であり、第三者が文句をつける事ではありません。
しかし、キャリアについては、買い手である企業の合理性が市場のルールを作っているため、一定の法則があります。
能動的にキャリアを形成したい場合や、具体的に近づきたいキャリアビジョンがある場合は、何かを犠牲にしてでも、戦略的にキャリアを選ぶべき機会が存在するという話です。
今回のAさんのようなケースでは「結局Aさんはメディアの企画職の仕事をそこまでやりたかったわけではなかったというだけでしょう」といったご感想を持たれたかもしれません。
実は、本当にその通りで、根も葉もない話になってしまいますが、本当にやりたいのかという想いの強さが、今回のような人生の選択に大きく影響を与えているのが実態です。
キャリアは意思ある選択で決まる
転職サポートの現場で日頃多くの転職者の方の人生の節目となる意思決定を目の当たりにしていますが、実はキャリアの違いや差は、能力の差よりも意思決定や選択の違い・差です。
プロ野球選手のイチローさんは幼少期からプロ野球選手になると決めて、早くから素振りを開始しそれを延々と継続してきたために、今ありたい姿を実現できているわけです。
子供の頃から、他の子供と比べて、犠牲にしてきたものもたくさんあるでしょう。
皆さんも、何かをやりたいと考える際には、その華やかな姿だけでなく、必ずその裏側にある泥臭い部分や犠牲にしているものを想定して、それでも本当にやりたい事なのか否か、を事前に検討しておくと後悔のない選択をしやすくなるでしょう。
あなたが、他の人が当たり前に手にしているものを犠牲にしてでも、選択したいコトは何ですか?
機会があれば、是非そっと私に私信でシェアいただければ幸いです。