コロナ禍の受験会場で役立つ防寒・防災グッズ。カイロ活用術。制服では寒い場合も。
2021年1月16日(土)・17日(日)は大学入学共通テストの第1日程の試験日です。この1月17日は1995年に阪神淡路大震災が起きた日でもあるので、毎年、「災害対策と受験生の寒さ対策についても一言を」という取材を受けてきました。
コロナ禍の今年は、換気をした室内で寒くなることが考えられ、いつもと異なる寒さ対策が必要になります。そこで、毎年受験生におすすめしているグッズに加えて、今年特に必要となるものをお伝えします。
道路の凍結が心配な地域では、靴用アタッチメントを
札幌では駅の売店でも販売されているのが、この雪道・凍結道用アタッチメントです。
凍結した道を通る際には装着し、受験会場では、外すことができます。
凍結道で滑って手首を痛めたばかりに解答できなかったとなれば泣くに泣けません。
いつも持っている靴に装着ができ、サイズもフリーなので、成長期でサイズが変わっても安心です。
とりはずしてカバンに入れておける大きさなので、収納にも困りません。
雪が降らない地域の方の雪対策グッズとしても、お勧めしているものです。一度購入すれば、今後の災害対策にずっと役立ちます。
凍結した道で地震にあい、割れたガラスの落下から逃げるという状況を想像してみてください。このグッズを普段から使っていれば、地震と道路凍結が重なった時も生存可能性をあげることができます。受験を機に持っておいてほしいグッズです。
「雪 アタッチメント」で検索をかけると、1000円前後で販売されています。
カイロを100%使いこなす技
受験の持ち物として必ず掲載されているのが携帯カイロです。
ここでは、使い方の上級編をお伝えします。
カイロを肌の近くに貼ると、いざ暑くなった時、試験会場で取り外したり、移動させたりするのが困難になる場合があります。ついつい試験が終わるまで暑いままガマンしているなんてことも。試験対策としては、カイロは、ポケットの中か、外しやすい場所につけておきます。
たかがカイロの位置なんてと思うかもしれません。しかし、アウトドアでは、体温調整の微調整こそが重要なのです。カイロの熱で汗をかいてしまうということは、気化熱によって体温を急速に下げるという行為を体が実行していることになります。そして、体温を下げすぎると、今度は寒く感じてきてしまうので、体力を余計に使ってしまうのです。試験問題に体のすべての機能を全集中したい時に、余計な体力を使いたくありません。カイロを使う場合には、あくまで微調整可能な使用を心得てください。
また、USB接続の充電式カイロですと温度を調節できるものがあり、携帯の充電もできるものがあります。休憩で外に出た時には、温度をあげ、室内では温度を下げることができるのも魅力です。
足元対策がコロナ禍では必要。制服では寒い場合も。
新型コロナ禍の寒さ対策。換気した時に必要なのは3つの風対策。いつもの膝かけだけでは寒い理由でも書きましたが、換気のため窓を開けていると、冷たい空気が風として入ってきます。その時、暖かい空気は膨張して体積が大きいぶん、密度が小さいので、上に行きます。逆に冷たい空気は、下に行きます。そのため、足元が寒くなります。足元の防寒対策になるレッグウォーマー等のグッズがあると安心です。
学校の制服によっては、足元が寒くなるので、今年の試験会場はなおさら、制服ではないほうがいいかもしれません。残念なことに、「制服着用時に防寒着は不可」という理不尽な校則のため、生徒たちが防寒のスキルを得る機会を失なっている場合があります。
当日暖かくても、あると安心なダウン ただ雨と雪の日は注意
室内が日陰で北向き、しかも換気しているというコロナ禍の試験会場では、当日ぽかぽかの陽気であっても室内は寒いということもありえます。そんな時には、気軽にはおれる服を一着プラスして持っていけると安心です。
ダウンは軽く、コンパクトに収納できるので、プラスする一着としてアウトドアでもよく使われています。
ところで、ダウンは羽が空気を蓄えることにより、自然界最強の動かない空気層を作り出すものです。雨に濡れたり、湿った雪で濡れるとダウンは羽をしぼめてしまい断熱層を維持できません。雨や雪の時は、アウターではなく、インナーや中間着として着るようにして絶対に濡らさないようにしてください。
また、ダウンは人よりも高い体温の鳥類が、その高い体温で羽を温めて膨らませるものなので、運動不足で体温が低めになっている人は、効率よくダウンの羽が膨らまないかもしれません。その時は、ダウンのポケットにカイロを入れて、羽を膨らませれば、暖かさを維持します。
風があれば防風 雨・雪では防水透湿素材など
雨や雪が降った場合の防寒対策は、透湿防水素材レインウエア を使いこなして災害対策~赤ちゃんにはファスナー合わせ技もで記事を書いているので参考にしてください。濡れると気化熱で体温が下がります。蒸れても同じです。透湿防水素材(防水透湿素材ともいいます)は、濡れないことと蒸れないことを両立した素材ですが、同時に風も防ぐことができます。そのため、窓際の席で風が入ってきて寒いという場合、防風の服としても寒さ対策ができます。透湿防水素材を持っていない場合でも、受験の日に風が強ければ、風を防ぐ服を着ていくようにしてください。窓を開ければ、当然風が吹き込みます。風の強い日に、重ね着しても、その服が風を通す素材であれば、空気が動いてしまい断熱層が作れません。風の日には、防風が重要になります。
断熱マットは外での休憩・食事や冷える椅子対策に役立つ
コロナ禍で室内が寒い場合、服装の対策とともに、椅子から冷気を遮ることができる断熱マットを敷くと寒さ対策と同時にクッション性もよくなるのでおすすめです。
金額も500円前後から販売されており、重さが30〜40g前後なので、リュックの背当てがわりに入れておいても重さをほとんど感じません。
断熱マットは、熱伝導率が低い素材でできているため、たとえ雪の上に敷いて座っても寒さを感じなくてすむものです。試験会場となる椅子は、板だけの場合や、腰の部分が空洞になっていたりして、座り心地がよくなかったり、座るだけで冷えてくるものがあります。
昨年までは暖房も効いていましたし、人が多ければ室内の温度はあがります。今年は、室内も冷えていて、椅子も冷たいままの可能性が高そうです。断熱マットは、災害時、どこでも座る場所に変えられるグッズなので、これも受験を機に持っていてほしい防災グッズです。
また、大学入学共通テスト会場では、新型コロナウイルス感染症対策で食堂は開放されていません。そのため自席で食事がとれるようになっています。
この時、外で食事をとっていい会場であれば、断熱マットがあれば、どこでも寒さを感じず座ることができ、密になっているベンチ等を避けることもできます。
断熱マットより重たくなりますが、折り畳める椅子も、密を避け落ち着ける場所に座ることができます。
防寒は試験のための戦略でもある
以上、受験と防寒についてお伝えしてきました。
当然、普段から防寒の知恵を得ている人は災害時の寒さにも対応できます。
ところで、受験生のコメントで多く見かけるのが、「受験当日、親が服装について忠告してくれるのが、ありがたくもうっとうしかった」というものです。気持ちはわかります。当日言われても、「そんな気分じゃない」と言いたくなりますよね。
でも、数日前の今だから、考えてみてほしいのです。今から新しいことを覚えて1点獲得できるか否かは、運まかせになります。それに比べて、試験中に、寒さを感じたばかりにトイレに行かざるをえなくなり、数分ロスがでることにより1問失うロスを考えるなら、防寒対策で1問マイナスを防げるなんて、確実性の高い試験戦略と言えるのではないでしょうか。
コロナ禍では、例年以上に寒さ対策は重要ですが、その事に気づいていない人もいるかもしれません。親に言われなくても、その戦略の重要性を知り、当日の天候や道路状況を読み解き、ベストの大勢で試験に臨んでいただければと思います。
受験生の皆様がコロナ禍であっても最大限、力が発揮できますよう願っております。