高度な地球外文明の活動!?ダイソン球に覆われた可能性のある恒星を新発見
どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。
今回は「最新研究でダイソン球の候補天体を発見」というテーマで動画をお送りします。
スウェーデンのウプサラ大学などの国際研究チームは2024年5月、ダイソン球を探索するプロジェクトにて、7個のダイソン球候補天体を発見したと発表しました。
本動画ではダイソン球という概念をおさらいし、その後新発見について解説していきます。
●カルダシェフスケールと地球文明
1964年、ソ連の天文学者、ニコライ・S・カルダシェフは、宇宙文明の発展度をそのエネルギー消費量で分類する方法を提唱しました。
この分類は一般に「カルダシェフ・スケール」と呼ばれています。
カルダシェフ・スケールには利用可能なエネルギーの規模によりタイプ1~タイプ3までの区分があります。
タイプ1文明では、その惑星で利用可能なすべてのエネルギーを使用および制御できます。
具体的には核融合発電を使い、惑星内にある資源をクリーンに有効活用したり、惑星に降り注ぐ恒星の光のエネルギーを全て利用できたり、台風などの気象現象も完全にコントロールできると考えられています。
ちなみに平均電力消費量の数値から計算すると、現在の人類の文明のタイプは約0.7となります。
人類はタイプ1文明にすら遠く及んでいません。
○タイプ2文明とダイソン球
恒星系の規模でエネルギーを使用および制御できるタイプ2文明になると、「ダイソン球」を構築する可能性があります。
ダイソン球は映像のように巨大な恒星全体、もしくはその一部を覆う超巨大な仮説上の人工物です。
例えば私たちは地球でも太陽光発電を行っていますが、太陽の放出する全エネルギーのうち、地球に届くのはわずか20億分の1に過ぎません。
恒星の放つ全エネルギーを利用できるのは夢のような話ですが、ダイソン球はそれを実現してくれます。
ちなみにタイプ3文明は、銀河全体のエネルギーをコントロールできるそうです。
例えば銀河中心の超大質量のブラックホールを制御したり、超新星爆発やγ線バーストの発生を予測し、エネルギーを回収できるとされています。
○有名なダイソン球候補天体
ダイソン球に覆われている可能性があるとして有名な既知の候補天体に、地球からはくちょう座の方向に1480光年程離れた位置にある「KIC 8462852」、通称「タビーの星」という恒星が挙げられます。
タビーの星は、非常に不規則な減光をすることでよく知られています。
恒星の中には規則的な減光を繰り返すものがあります。
これは恒星の前を惑星や塵が横切るなどで起こり、逆に規則的な減光を観測することで系外惑星の存在や公転周期を導く「トランジット法」という観測手法もあったりします。
ですがタビーの星については減光の周期も度合いも不規則でさらに長期にわたって続く上、なんと最大22%も暗くなることが確認されています。
主星の光を22%も暗くできるほど巨大な惑星は考えられません。
現時点では、不均一な円盤構造が何らかの原因で恒星の周囲に存在しており、それが恒星の光を遮っている説が有力ですが、現在も完全な説明はありません。
このような不可解な減光をすることから、タビーの星は「宇宙人が設置したダイソン球に包まれている」恒星の特に有力な候補として、未だに有名です。
●最新の研究と成果
ダイソン球に覆われた恒星がどこかに存在していた場合、それはこれまでに人類が得た、過去の膨大な観測データの中に痕跡が隠されていると考えられています。
よってダイソン球を探る研究では、新たに天体を探りに行くのではなく、過去のデータから奇妙な特徴をもった候補天体を掘り出そうとします。
スウェーデンのウプサラ大学などの国際研究チームは、ダイソン球を探索する方法を開発し、2024年5月には、恒星全体ではなく一部を覆う「部分的なダイソン球」を探索した最新の成果を発表しました。
研究チームは、仮にダイソン球が存在するなら、熱放射により、ダイソン球の面積や表面温度に応じて特有の赤外線を放つはずだと考えました。
よって研究チームは、理論で容易に説明できない過剰な赤外線が検出される恒星を見つけ出そうとしました。
空の広範囲から到来する可視光および赤外線を調査し、それらの発生源となる星々の性質を一度に理解できる、ガイア、2MASS、WISEといった観測プロジェクトで得られた500万個以上の天体を、独自の方法で分析しました。
分析の結果500万個の星々のうち、最終的に低質量の恒星の分類である赤色矮星7個だけが、部分的なダイソン球に覆われている可能性がある候補天体として残りました。
これらの候補天体は全て地球から900光年以内にあり、予想よりも60倍も強力な赤外線を放射しているとのことです。
当然、これらの候補天体はダイソン球に覆われていると確定しておらず、むしろその可能性は非常に低いという点に注意です。
赤外線過剰の原因が巨大人工物であると結論付けるのは容易ではなく、まずは今回否定し切れていない、残された自然的な説明可能性を全て排除する必要があります。
まだ否定されていない自然的な説明として、まず何らかの原因で、赤外線を放射する「暖かく巨大な円盤状構造」が恒星周囲に存在する可能性が挙げられます。
しかし、どの候補天体も誕生して長い年月が経っており、現在でも暖かい円盤構造が維持されている理由はよくわかっていません。
また候補天体が、背後にある他の赤外線放射天体と地球から見て偶然重なっている可能性も考えられます。
とはいえ少なくとも現時点において、ダイソン球のような魅力的な物体が存在する可能性のある有力天体として、ジェイムズウェッブ宇宙望遠鏡などによる詳細な追加観測をする価値があると言えるでしょう。