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「鍵は球場とフォーク」佐々木朗希、次回登板のポイントと幻の2試合連続完全試合を上原浩治が分析

上原浩治元メジャーリーガー
完全試合の再戦となる24日のオリックス戦は京セラドーム大阪で行われる(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

 偉業達成後も快投が止まらない。ロッテの佐々木朗希投手が完全試合を達成した10日に続き、17日も8回まで1人の走者も許さなかった。14奪三振の見事な投球で、日本でもメジャーでも誰もなしえたことがない2試合連続の完全試合が目前だったが、9回はマウンドに立たなかった。8回まで102球。試合展開も0対0で延長も覚悟しなければならない展開だったということも背景にあったかもしれない。

 投手交代に関する賛否はそれぞれに持論があるだろう。私自身の考えはツイッターにも記している通り、監督と本人が話し合って、両者が納得していればそれでいいのではないか、ということである。

 あと1イニングくらいと思う読者もいるかもしれないが、アウト3つを取ることは簡単ではない。中継ぎや抑えの投手が1イニングを抑えるために、どれだけブルペンで調整しているかをみれば、わかる。

 投手交代の肯定派の声には、まだ20歳の投手の肩や肘への負担に配慮するということが挙がる。前回登板から続く完全試合ペースで重圧もあっただろうし、球数も首脳陣が目途にしているという100球を越えていたのも事実だ。佐々木投手の将来も見据えた交代ということだろう。

 一つ言えることがあるとすれば、「未来」のことは誰にもわからないということだ。投げないことで肩や肘の負担を軽減するというのも一理あれば、投げるスタミナをつけるために投げるという判断も一理あるはずだ。野球に正解はない。降板したことで選手寿命が延びるか、けがを守れるかも誰もわからない。決して続投させたほうがいいと言っているわけではない。「未来」が見えないから、何でもそうだが野球もまた難しいのだと思う。

 佐々木投手と同様、7回まで「0」を並べた日本ハムの上沢直之投手も素晴らしい投球だった。ロッテの本拠地で、しかも相手の佐々木投手には前人未到の記録がかかっていた。そんな中で自分の投球に徹した。上沢投手のことは、春季キャンプのときに新庄剛志監督にも「日本を代表する投手ですよ」と話していた。無駄のないフォームで、直球と変化球の腕の振りの違いがわからない。まさに理想的な投球フォームだ。息詰まる投手戦は互いに乗ってきて、相乗効果をもたらす。延長10回で1-0。これほどの投手戦はそうはみられない。

 佐々木投手はローテーション通り次の日曜日(24日)に再びマウンドに立つことになりそうだ。敵地でのオリックス戦。10、17日はいずれも本拠地のZOZOマリンスタジアムでボールの変化が大きいとされる。佐々木投手もフォークなどを球場の利点をうまく使って投げていたように見えた。敵地のドームは無風。鍵はフォークの精度ではないか、とみている。結果ははたして。

元メジャーリーガー

1975年4月3日生まれ。大阪府出身。98年、ドラフト1位で読売ジャイアンツに入団。1年目に20勝4敗で最多勝、最優秀防御率、最多奪三振、最高勝率の投手4冠、新人王と沢村賞も受賞。06年にはWBC日本代表に選ばれ初代王者に貢献。08年にボルチモア・オリオールズでメジャー挑戦。ボストン・レッドソックス時代の13年にはクローザーとしてワールドシリーズ制覇、リーグチャンピオンシップMVP。18年、10年ぶりに日本球界に復帰するも翌19年5月に現役引退。YouTube「上原浩治の雑談魂」https://www.youtube.com/channel/UCGynN2H7DcNjpN7Qng4dZmg

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