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マニー・パッキャオがWBCフィリピン代表入りするという情報の信憑性は?

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
WBCフィリピン代表入りとの噂が流れたマニー・パッキャオ氏(写真:Shutterstock/アフロ)

【WBC予選大会が来月12日に開幕】

 4年に一度開催される野球の世界一を決める国際イベント『WBC』第5回大会の開催を来年に控え、本大会出場を目指す12ヶ国が米国アリゾナ州で予選大会を戦う。

 前大会3位の侍ジャパンなど16ヶ国の代表チームがすでに本大会出場を決めており、今回の予選大会で12ヶ国が残り4つの出場枠を争うことになる。ちなみに過去に本大会にも出場経験のある南アフリカ、ブラジル、パナマ、スペインも、この予選大会に回っている。

 12ヶ国は6ヶ国ずつ2つのプールに分かれ、それぞれのプールを勝ち上がった上位2チームが本大会出場権を獲得する。

【ティーボウがフィリピン代表入りを表明】

 予選大会を間近に控える中、すでに日本でもすでに報じられているように、元NFL選手で、現在メッツ傘下のマイナー組織に所属しているティム・ティーボウ選手が、フィリピン代表として予選大会に参戦することを表明している。

 ティーボウ選手は大学時代にハイズマン賞(大学フットボールの年間最優秀選手に与えられる賞)を獲得し、デンバー・ブロンコスからドラフト1巡目指名を受けNFL入りした有望QBだった人物だ。

 しかしプロでの世界では大成できず、5シーズンで4チームを渡り歩き、公式戦出場はわずか35試合に留まり、2015年シーズン最後にNFLから撤退している。

 一時はESPNで大学フットボールの解説者を務めたこともあったが、一念発起でMLB挑戦を決断、自らMLBチームを集めてトライアウトを実施し、2016年9月にメッツとマイナー契約を結ぶことに成功している。

 昨シーズンは3Aまで昇格し、今シーズンは招待選手としてメジャーのキャンプに参加している異色の32歳で、現在も多くのメディアから注目を集めている。

 ティーボウ選手は純粋な米国人なのだが、両親がキリスト教のミッションでフィリピンに派遣されていた際に同地で生まれていることから、フィリピン代表としての出場資格を与えられたというわけだ。今回の予選大会に華を添える存在になることだろう。

【米メディアがパッキャオ氏の参加も示唆】

 さらにここに来て、大物アスリートの予選大会参戦が噂されているという。

 ユーチューブ上で配信されているCBSスポーツの『Nothing Personal with David Samson』という番組で、番組ホストのデビッド・サムソン氏が、「あくまでオフレコ情報ながらフィリピン代表としてマニー・パッキャオ氏が参戦するという情報を聞いている」と発言しているのだ。

 パッキャオ氏といえば、ボクシングで史上2人目の6階級制覇を果たした、フィリピンの英雄だ。そんな彼がWBC予選大会で畑違いの野球をするこということだけで、とんでもないニュースになるだろう。

【ほとんど野球経験の無かったパッキャオ】

 ただこの情報はかなり信憑性に欠けているといわざるを得ない。改めてパッキャオ氏の野球経歴を調べてみたところ、ほぼ素人に近いからだ。

 彼はこれまでドジャース、ジャイアンツ、パドレスなどで始球式を務めるなど、それなりにMLBとの接点を持っているのは間違いない。

 だがジャイアンツを訪問した際に、試合前に打撃練習に参加している動画を発見したのだが、左打席に立ったパッキャオ氏は左右の手を逆にしてバットを握ってしまい、その場でジャイアンツ選手からバットの握り方から教えてもらうような状態だったのだ。

 ただ自分が発見した動画は2014年に撮影されたものであり、残念ながら最近のパッキャオ氏の野球レベルは確認できていない。それでもあれから約5年が経過しただけで、WBCの予選大会で国を代表してプレーできるレベルに到達しているとは考えにくい。しかも年齢もすでに42歳に達している。

 もしこの情報が真実ならば、とんでもないスクープだ。予選大会開幕前に各国代表の出場選手が発表されるので、まずはその発表を待つしかない。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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