イスラエルとシンガポール、大学間でのサイバーセキュリティ連携:Cybertech Tokyo2017
イスラエル発のサイバーセキュリティ国際会議 「Cybertech Tokyo 2017」が2017年11月30日に東京で開催された。イスラエルや日本の企業など20社以上が出展、35人以上が登壇して講演を行った。1日のみの開催だったが国内外から約2,000人が来場した。
ナンヤン工科大学とベングリオン大学での連携
シンガポールのナンヤン工科大学(Nanyang Technological University:NTU)から同大学のサイバーセキュリティ・リサーチセンターのExecutive Directorを務めるThambipillai Srikanthan教授とイスラエルのベングリオン大学のDan Blumberg教授が登壇し、サイバーセキュリティに関する大学の役割について語った。CybertechのAmir Rapaport氏がモデレータを務めた。シンガポールのナンヤン工科大学とイスラエルのベングリオン大学は2017年2月からサイバーセキュリティ分野における研究開発や人材育成などの連携を行っている。
ナンヤン工科大学のThambipillai Srikanthan教授は、サイバーセキュリティ分野における大学の果たす役割について「企業と連携していくことが重要。企業が大学に投資することで企業が収益を上げていくことができるようにする必要がある。また全世界のアカデミア分野(研究所や大学など)と協力していく必要がある。そして適切な教育を行って人材育成をしていく必要がある」と訴えた。
ベングリオン大学のDan Blumberg教授は「大学の果たす役割は3つある。1つは社会貢献、2つ目は基礎研究、3つ目は文化的インパクトを社会にもたらすこと。『応用研究』という言葉は使わないで、社会に役立つ研究を目指している。そのためサイバーセキュリティの研究が社会に役立つこと、人材育成が社会にインパクトを与えることを目指している。イスラエルでは多くの企業が大学と協力している。企業との協力は大学にとっても研究開発のモチベーションになる。3年で約2,000人がサイバーセキュリティ関連の仕事に就いている」とイスラエルの現状を説明していた。
2人とも大学におけるサイバーセキュリティ分野での人材育成と企業との連携の重要性を訴求していた。サイバー攻撃は自然災害と異なり、攻撃者(人間)が、目的に応じて攻撃を仕掛けてくるものであり、防衛するのも人間だ。
日本の大学や研究機関への期待や優位性について、ナンヤン工科大学のThambipillai Srikanthan教授は「サイバーセキュリティの分野においても全世界のアカデミック界での協力は重要」と述べ、ベングリオン大学のDan Blumberg教授は「日本はイスラエルにとって地球の裏側。文化が多様で新しいアイディアが出てくる可能性がある」と述べていた。