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【バスケットU18日本代表】国際大会の経験を糧に、ビッグマンとして飛躍が期待される渡邉伶音

青木崇Basketball Writer
チームを牽引することに意欲満々の渡邉 (C)Takashi Aoki

 9月2日にヨルダンのアンマンで開幕するFIBA U18アジアカップは、来年のU19ワールドカップの予選であり、ベスト4進出で出場権を獲得できる。パリ五輪に出場したジェイコブス晶(ハワイ大)らを擁した日本が、ハンガリーで開催された昨年のU19ワールドカップで史上初のベスト8進出を果たしたのは、記憶に新しい。

 今回のU18アジアカップ、日本はカタール、カザフスタン、中国とグループリーグで対戦。1位で通過すれば準々決勝進出でワールドカップ出場まであと1勝に迫ることができるが、2勝1敗か1勝2敗の場合は準々決勝進出決定戦に臨まなければならない。グループ2位の場合は、準々決勝進出決定戦に勝ったとしても、ワールドカップ出場権がかかった一戦がアジア・オセアニアで最強と言われるオーストラリアになるのが確実だ。

 日本を率いるアレハンドロ・マルティネスコーチは、「このチームの中にはキープレーヤーという人間はいないと考えている。最後に選考された12人全員がキープレーヤーになれるように、そういったいいチームを作ることを目指している」と語る。しかし、渡邉伶音はU17とU19のワールドカップに出場し、春にアルバート・シュバイツァー・トーナメント、7月にU22代表としてウィリアム・ジョーンズ・カップでプレーするなど、メンバーの中では国際大会の経験が非常に豊富。また、昨年のU19代表と違い、200cmを超える選手が同時に2人プレーできるメンバー構成ではないため、204cmの渡邉がチームにとって非常に重要な選手なのも明らか。そのことは渡邉自身も認識している。

「国際大会の経験が自分はすごくありますが、今までは下の学年で出ることが多かったです。自分が上の学年になって出る大会は今回が初めてですけど、リーダーシップとか、声がけの部分は大事だと思います。あとはチームで求められるプレーというのを遂行し続けることが、やはり代表チームでは大事だと思うので、そこは意識して頑張りたいです」

直前合宿での練習では積極的に声を出すなど、リーダーシップを発揮していた渡邉 (C)Takashi Aoki
直前合宿での練習では積極的に声を出すなど、リーダーシップを発揮していた渡邉 (C)Takashi Aoki

 グループ内で最も強敵と見られる中国には、207cmを超える選手が4人以上になる可能性大。グループ戦以降に対戦するチームも、オーストラリアを筆頭に身長とスキルの高さ、フィジカルの強さを持ったビッグマンがいる。フロントラインの身長が低い日本にとっては、渡邉のパフォーマンスがチームの命運を左右すると言っていいだろう。

「アンダー世代であっても、代表は他の国と比べるとアンダーサイズになってしまう。それでも、基本自分はこのチームだったら5番(センター)ポジションで、しっかり(スクリーンの後に)ダイブし続けたり、リバウンドをアグレッシブに行き続けるというのが、このアンダー18というチームでの自分の役割であり、コーチからもすごく言われています。5アウトになる場面ももちろんあると思うので、そこはしっかりやっていきたいです。チームのことを考えながら、セルフィッシュ(独りよがり)にならないように貢献していきたいと思います」

 こう語る渡邉は福岡大附属大濠高に入学して以降、ポストプレー、トップからのドライブ、スクリーン後アウトサイドに動いての3Pショットなど、着実にオフェンスのレベルを上げてきた。今回のU18アジアカップではジェイコブス、高校の先輩でこの秋にNBAグローバルアカデミーからNCAAディビジョン1のシアトル大に進学する川島悠翔のように、チームを牽引する存在になることへの期待度が高まる。

「日本の高校カテゴリーで3Pを打てるのは武器になるんですけど、普通に今のバスケを見たら、大きい選手が3Pを打つのは当たり前です。今の自分はそれを武器とは思っていないし、もっとしっかり決められるようにしなければいけない。今はフィジカルのところを課題にしています」

 パリ五輪で強豪国とハードに戦い続けた日本代表を映像で見て、世界で戦える選手になりたいという思いをより強くした渡邉。U18アジアカップは、チームとしてU19ワールドカップ出場権獲得という大きな目標達成に目指すだけでなく、自身が思い描く選手像を実現するための第一歩にするつもりだ。

Basketball Writer

群馬県前橋市出身。月刊バスケットボール、HOOPの編集者を務めた後、98年10月からライターとしてアメリカ・ミシガン州を拠点に12年間、NBA、WNBA、NCAA、FIBAワールドカップといった国際大会など様々なバスケットボール・イベントを取材。2011年から地元に戻り、高校生やトップリーグといった国内、NIKE ALL ASIA CAMPといったアジアでの取材機会を増やすなど、幅広く活動している。

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