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【英会話】how he will do って言ったら、首を振られた なんで?

英語雑学エッセイスト 徳田孝一郎英語・英会話研修スクール「英語・直観力」代表

 20年ほど仕事で英語を話していますが、英語ってホントに丁寧に表現しないと伝わらない言語だな と感じることがあります。イメージから英語を作っていても、まぁ、これぐらいで伝わるかと思って手間を省くと、きょとんとされる。自分の怠け者ぶりを指摘されたようで反省です。

 そんな私の失敗英語や、今も私の周りで起こっている失敗英語を多少脚色も加えて、ご披露したいと思います。今回は、読むと省いちゃいけないところが判るお得なエッセイです。

彼がどうやるか判るんだよ

 今年の夏はスポーツ三昧でして、6月中旬からはドイツのEURO2024、下旬からは北米の2024 Copa América、7月は国際運動会(大人の事情で大会名を出せないんです)と愉しませていただきました。EUROだ、Copaだと書いているのでお気づきかと思いますが、スポーツと言ってもほとんどがfootball でスペインvsクロアチアだの、オランダvsイングランドだの、ウルグアイvsブラジルだのを堪能しました。いやぁ~面白かった。
 ただ運動会の方はfootball も観ましたけど、日本代表がらみの試合だけ。まぁ、football はWorld Cup がありますから。で、なにをよく観たかというと柔道です。日本のお家芸ということもありますけど、わたし、小学校のころ柔道をやらされてたんです。
 やっていたではなく、やらされていたというのは理由がありまして、子どものころ私ぜんぜん外で遊ばない子どもだったんですね。小学校から帰って来ては寝るまで本を読んでる。友達が遊びに行こうぜと呼びに来ても、読んでる本があるから行かな~いとバッサリ言っちゃう子どもでした。なんで、親が心配して道場に放り込んだ。なので、やらされてたというわけ。
 ただ、やってみるとまあまあ面白くて、面白ければ強くなる。小5の最後までやってましたが、最後の方は中学生と乱取りしてました。
 そういうこともあるんで、柔道を観たんですが、昔取った杵柄とはよく言ったものでして、試合を観ていると選手の動きというか体勢で、どうしようとしているか判るんです。技が出る前に、大外、とか、背負い、なんて呟いちゃう。
 運動会中に、English man で友人のRichとパブで一緒に柔道観戦したんですが、わたしの呟きにRichはぎょっとして、なんだいそれ? って訊(き)かれる。なんだか意味不明の呟きですからね、不気味に思うのは判る。
 あっ、しまったいつも通り無意識に呟いちゃったなと思って、すぐにこう言い訳しました。

I can predict how he will do. (彼がどうやるか判るんだよ)

 それを聞いたRich、きょとんとした後すぐさま首を振る。そんなことできるわけないだろ? という意味じゃありませんよ。私の英語が変なんです。

 みなさん、わたしがちょっと手間を省いて言ってしまったこの英語、どこがおかしいか気づかれるでしょうか?

 問題は、how にあります。how というのは、どういう方法で、どの程度、と訳される単語です。今回はどの程度 は考えにくいですから、how he will do はどういう方法で彼がするだろうか と解釈されるわけですが、これって文として成立してないんです。なぜって、彼がいったい何をするのかが判らないですから。それを、まぁ、伝わるだろうと思って言っちゃった。目的語を省かないで話すという英語の原則は重々承知してたんですが、ちょっと怠けちゃいました。反省です。

 と、こんな感じで、Native English Speakerたちとの英語やカルチャーギャップのお話をご披露したいと思っております。お気に召しましたら是非ともごひいき(フォロー)くださいますようお願い申し上げます。

 おっと、わたしがどういうべきだったかを書いていませんでした。how を活かして、彼がどうやって相手選手を倒すか という風にしてもいんですが、もっと簡単な方法があります。それは、how の部分に目的語を使っちゃうこと。

I can predict what he will do.

 彼がなにをしようとしているかが判るんだよ と直訳ではなりますが、どういう方法で倒そうとしているか というニュアンスは充分伝わります。
 how を使って、あれ、目的語が足りないな と思ったときに使える手です。活用してください。

イラスト 大橋啓子

英語・英会話研修スクール「英語・直観力」代表

英語嫌いだったが、仕事で必要に迫られ英文法をマスターし、学芸大附属・ICU高校・早稲田高等学院・慶応高校・渋谷幕張・早稲田大学・慶応大学など有名高校・大学に多くの生徒を合格させる。その実績を買われ、英会話習得カリキュラムを作成するために英会話スクールに転職。担当した1600名の受講生のVERSANTのスコアの平均伸長点は5.3を超え、3か月の最高伸長点は21を記録する。この時期に英文法をネタにした小説「英語の国の兵衛門」も上梓。その後Vice-presidentに就任し、受講生の英会話力向上に尽力し、業績を伸ばす。現在は独立し、英語・英会話研修スクール「英語・直観力」を経営している。

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