夏のボーナスが大幅に減る!株価暴落の次に家計を襲う「新型肺炎」の影響
新型コロナウイルスはアジアから欧州に波及し、24日から世界の株式市場が大荒れになっています。
東証株価指数などの株価や消費者態度指数などは景気動向指数のうち、実体経済よりも先行します。
3日午後に出た2月の消費者態度指数も新型肺炎の影響もあって5ヶ月ぶりに低下しました。内閣府はここ数ヶ月の指数の動きを踏まえて、消費者心理の判断を「足踏みがみられる」に下方修正をしました。下方修正をしたのは1年ぶりです。
2月の消費者態度指数、前月比0.7ポイント低下 基調判断を下方修正
また、「一致指数」とは現状景気の動きを把握するために、景気の動きや反応を示す指数です。有効求人倍率(求職者1人あたり何件の求人があるかを示す)などがあります。
1月の有効求人倍率(季節調整値)は前月から0.08ポイント下がり、1.49倍で、企業の新規求人数が前年同月に比べ16%減りました。雇用の先行指標となる新規求人は主要産業全てで減り、特に落ち込みが大きいのは製造業で26.1%減、宿泊・飲食サービス業も20.6%減でした。有効求人倍率の低下は新型肺炎の影響で2月も続く可能性が大きいです。
<夏の賞与はどうなる?>
今回の経済的混乱はリーマン・ショックや東日本大震災を上回るかもしれないとも言われています。過去に2008年9月にアメリカの投資銀行のリーマン・ブラザーズが経営破綻をしたことが引き金となって世界規模の金融危機が発生したリーマン・ショック。また、2011年3月に起きた東日本大震災があります。これらの危機の後には日本人のボーナスを始めとした給料が大幅に減りました。
例えば、2008年の平均給与は429.6万円(うち賞与は64.6万円)だったのが、2009年の平均給与は405.9万円(うち賞与は56.1万円)と全体で5.5%マイナスに。賞与の落ち込みが非常に大きいことが分かります。また、2011年2012年も震災の影響で前年比0.7%と0.2%の落ち込みとなっています。
民間企業で働く会社員やパート従業員が1年間に得た平均給与は国税庁の民間給与実態統計調査で分かります。
また、夏のボーナスに関しては、2009年が前年比マイナス15.6%、2012年が前年比マイナス2.79%と大幅に減額になっているのが分かります。
筆者もリーマン・ショック時に米系投資銀行をリストラされましたが、その時期は同業種での求人があまりありませんでした。そのために、猛勉強をしてファイナンシャル・プランナーの最上位資格を取得して独立をしました。
特に非正規雇用や歩合制のフリーランスへの影響は非常に大きいでしょう。イベントや営業の中止からセミナー収益や広告収入なども激減しそうです。株価は先行して動きますが、夏のボーナスやフリーランスの売り上げなど家計への影響は後からズッシリとやって来るのです。
##政府による各国の景気対策は
新型肺炎に対する各国・地域の予算を見ても、日本153億円、米国2700億円、シンガポール5000億円、台湾2200億円と、人口から考えるとシンガポールの予算が異常に高いのが分かります。
シンガポールでは日本の消費税に似た物品・サービス税の引き上げ計画に関しても21年は実施しない予定です。観光など新型肺炎の打撃を受ける業界の税優遇などの景気対策も同時に発表し、経済の原則を全力で防ごうとしています。
これに対して、昨年10月に消費増税をした日本経済は新型肺炎前に既に大打撃を受けています。2月17日には日本の2019年10-12月期のGDP(国内総生産)が前の3カ月と比べて実質マイナス1.6%、年率に換算してマイナス6.3%となりました。
消費増税で痛んでいる経済に対して新型肺炎が襲い、まさに泣きっ面に蜂と言えます。日本政府もシンガポール政府を見習い、景気刺激策を打ち出さないと経営難に陥る企業も増え、多くの労働者も失業するかもしれません。
家計ができる対策としては、半年分の生活費を普通預金など換金しやすい方法で確保しておくことです。このウィルスの影響は予想以上に長引き可能性もあるからです。収入はできる限り大切に使い、無駄遣いをしないことが大切です。また、夏のボーナス払いは控えるようにしたいものです。業績に左右されやすい賞与は固定給と比べると変動を受けやすいからです。