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未婚男女オタク趣味別幸福度の違いを比較「恋愛や年収だけじゃない幸福のカタチ」

荒川和久独身研究家/コラムニスト/マーケティングディレクター
(写真:アフロ)

未婚の幸福度は低いが…

既婚者に比べて未婚者の幸福度は低い。同じ未婚でも女性に比べて男性の幸福度は低い。年代別で言えば、若者より中年の幸福度は低い。

まとめると、40-50代の未婚男性の幸福度がもっとも低いということになる。

年代別未既婚男女の幸福度のグラフは以下の過去記事を参照されたい。

参照→なぜ男性は不幸なのか。なぜ40~50代は不幸なのか。なぜ未婚の中年男性は不幸なのか

とはいえ、「中年の未婚男性ならば全員不幸」というものではない。

何かしらのオタク趣味を持つ未婚男女の幸福度は、全体の幸福度よりも断然に高く、しかも、「現在恋人がいる」「年収500万円以上」など、恋愛や経済状況に恵まれている属性と遜色ないレベルで幸福度が高い。

オタク趣味のある人あるいは推しのいる人とは幸福なのである。

参照→不幸度の高い中年未婚男性~恋愛よりも高年収よりも幸福感を得られること

未婚男女のオタク趣味別幸福度

では、具体的に詳細なオタク趣味別に幸福度の違いがあるのかを見てみたい。

対象は、20-50代未婚男女で、幸福度は実割合ではなく、男女別に全体の幸福度との平均差分で表している。

結果は以下の通りである。

(C)ソロ経済・文化研究所 荒川和久
(C)ソロ経済・文化研究所 荒川和久

女性に関しては、「フィギュア・プラモデル」「オンラインゲーム」「パソコン」などで全体より幸福度の低いオタク趣味もあるが、男性の場合は、凸凹はあれどすべてのオタク趣味で全体幸福度を上回る。逆に言えば、こうした何かしらのオタク趣味を持たない未婚男性の幸福度は全体平均より低いということである。

男性で、特に幸福度が突出しているオタク趣味が「コスプレ」である。工夫を凝らしてコスプレを作る喜びもあるだろうが、何よりそれを身に付けて、人前に出て、評価を受けるという点が大きいのだろう。ある意味では、自分自身を「映え」させているようなものだ。「コスプレ」は当然女性でも幸福度は高い。

余談だが、自撮りをする回数が多い人ほど幸福度は高い傾向がある。

写真:アフロ

その他、男性で幸福度が大きいのは「筋トレなどの個人スポーツ(ランニングなども含む)」である。これも「コスプレ」同様、自分自身を「映え」させるものであり、同時に達成感なども得られる。また、「野球・サッカーなどのチームスポーツ」にいそしむ群も幸福度は高い。

男性の場合、身体を動かす系の趣味があると幸福度は高まるようだ。

一方、女性はどうか。

全体的に、男性の方が女性より高いが、その中でも女性の幸福度差分が高いのは「プロレス観戦・応援」「野球・サッカーチームの応援」など応援系に集中している。

女性の場合は、自分で身体を動かして得られる達成感よりも、頑張る誰かを応援・支援することでの充実感が幸福度に結び付くようだ。

男性が多い印象のある「鉄道オタク」だが、幸福度の高さでいうと女性の「鉄道オタク」の方が幸福度が高い。これはむしろ女性が少ないがゆえに「オタサーの姫」として扱われる場合もあるからかもしれない。

外に出るきっかけが重要

いずれの趣味でも、自分がオタクと自認するほどハマっているものだから、どれも楽しいものだと思うが、それでもその種類によって幸福度の違いがあることは興味深い。

全体的に言えば、「アニメ」「マンガ」「読書」「パソコン」などインドアで楽しむオタク趣味よりも、外に出て、あるいは同じ趣味仲間と交流をする機会のあるものの方が幸福度は高いようだ。

つまり、本当は趣味そのものはきっかけであり、外に出て、誰かと会って、会話をし、共に喜びを分かち合うという場があることが、幸福度を高める上で重要なのだろう。

写真:アフロ

ちなみに、自らを「仕事オタク」と自認する人も少なからずいるのだが、当然彼らは「仕事が好き」でそう思っているはずだが、幸福度は男女とも案外高くない。むしろ、女性の場合は全体より低くなる。

「仕事が好き」であることは悪い事ではないが、できれば仕事以外で、外に出て、声を出して楽しむ趣味があれば、もっと人生は楽しくなるのだろう。

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独身研究家/コラムニスト/マーケティングディレクター

広告会社において、数多くの企業のマーケティング戦略立案やクリエイティブ実務を担当した後、「ソロ経済・文化研究所」を立ち上げ独立。ソロ社会論および非婚化する独身生活者研究の第一人者としてメディアに多数出演。著書に『「居場所がない」人たち』『知らないとヤバい ソロ社会マーケティングの本質』『結婚滅亡』『ソロエコノミーの襲来』『超ソロ社会』『結婚しない男たち』『「一人で生きる」が当たり前になる社会』などがある。

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