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NPBに朗報?! 今季からダイヤモンドバックスが採用する人工芝が受ける高い評価

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
今シーズンから人工芝になったチェース・フィールド(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【天然芝主流のMLBで人工芝に切り替えたダイヤモンドバックス】

 2019年シーズンが開幕するに当たり、個人的に注目していたことの1つに、ダイヤモンドバックスの本拠地球場、チェース・フィールドがあった。

 1998年にチームが誕生した当初、MLB初の開閉式の天然芝ドーム球場として注目を集めたが、その後多くのチームがダイヤモンドバックスに追随し、同様の球場建設に乗りだした。

 以来チェース・フィールドは昨シーズンまでずっと天然芝を使用し続けていたのだが、今シーズンから人工芝に切り替えることになったのだ。天然芝が主流のMLBの中で時代に逆行するような行為に思えるが、チームが決断を下すに至った背景について、昨年11月に本欄でも記事にしているので、詳細はそちらを参照して欲しい。

 ダイヤモンドバックスが採用予定の人工芝は、すでにNFL14チームでも使用されているもので、コンタクトスポーツのアメリカンフットボールでも受け入れられている人工芝の実力の程がずっと気になっていたのだ。

【MLB関係者から届いた好感触な反応】

 シーズン開幕早々のことだった。チェース・フィールドに遠征にいった、あるチーム関係者に確認させてもらったところ、「まあまあ柔らかだったですね。タンパ(レイズの本拠地ドーム球場)よりよかった感じです」との感想が届いた。

 それ以降もチェース・フィールドを訪れるMLB関係者にコンタクトをとり続けたが、皆一様に好感触の反応が返ってきた。

 そして最近になってあるチームのメディカルスタッフから、以下のような話を聞かせてもらうことができた。

 「タンパの遠征では試合後に選手から腰の張りや疲労を訴える選手がいましたが、チェース・フィールドではそうした訴えはありませんでしたね」

 改めてチェース・フィールドの人工芝が、天然芝に近い感触であることを確認することができた。

【人工芝は体調管理やパフォーマンスに悪影響】

 前述のメディカルスタッフが証言するように、チェース・フィールド以外で人工芝を使用しているトロピカーナ・フィールドとブルージェイズの本拠地球場、ロジャー・センターでプレーし、疲労や腰の張りを訴える選手は少なくない。レイズ、ブルージェイズに所属する選手たちの中から、人工芝の改善を訴える声が挙がることもしばしばだ。

 人工芝の下はコンクリートなので、土の上に敷かれる天然芝と比較すれば、身体への負担は計り知れないほど大きい。また芝の上に倒れた際の衝撃もどうしても人工芝の方が大きくなるので、必然的に選手のパフォーマンスも天然芝よりも下がってしまう。

 ところがチェース・フィールドの人工芝の上では、普段天然芝でプレーしている選手たちでも、あまり負担を感じずにプレーできているようなのだ。

【人工芝球場が多いNPBには朗報?】

 これはMLBよりも、むしろNPBにとって朗報ではないだろうか。

 NPBは今もドーム球場が主流で、屋外球場でも人工芝を使用している球場が多い。その分プレーで生じる選手の身体への負担は、どうしてもMLBより大きくなってしまうし、人工芝では思い切ったプレーも制限されてしまう。

 もしNPBでもチェース・フィールドと同様の人工芝が採用されるようになれば、選手のプレー環境は大幅に改善されることになるだろう。間違いなくNPBに大きな利益をもたらすはずだ。

 ぜひ人工芝球場を本拠地にしているNPBチームには、現地に赴きチェース・フィールドの人工芝の実態調査をしてほしいところだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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