部下に総スカンを食らう上司の話し方レベルとは? 「話し方のレベル4段階」徹底解説
■話し方のレベル4段階とは?
最近「私はコミュ障です」と言う人がいる。上司の立場になっても、そんなことを平気で言う人がいる。
何をもって「コミュ障」と呼ぶのか分からない。だが、「話し方がうまい/話し方がうまくない」を気にする人は多い。だから「話し方」をうまくしようとする人が後を絶たない。話し方がうまいだけで自信がつくと考えるからだろう。
そこで今回は、話し方のレベル4段階について解説しよう。
コミュ障なのか、コミュ障でないのか。話し方がうまいのか、うまくないのか。このような二択ではなく、レベル1~4まで4段階で自己分析してみよう。そうすることで、自分の話し方のレベルがどれほどなのかを何となくでも認識できるようになる。
話し方のレベル4段階とは次の通りだ。
(1)素人レベル
(2)基本レベル
(3)応用レベル
(4)プロレベル
それでは、一つ一つ解説していこう。
(1)素人レベル
まずは「素人レベル」である。
この段階の人は、話すことに対して特別なスキルや意識を持っていない。普段の会話と同じように話すだけだ。当然、相手に伝えたいことがうまく伝わらないことが多い(才能がある人は別だ)。相手をその気にさせ、行動を変えることもできない。この段階の人は、話が長くなったり、途中から話が「あさっての方向」へズレてしまうことが多い。
「結局何を言いたいのか、よく分からない」
ほとんどの聞き手は、このような感想を持つだろう。
(2)基本レベル
次に「基本を身につけたレベル」である。
この段階の人は、話す際にお決まりの型を意識する。PREP法、SDS法、ピラミッドストラクチャー等、基本的な構成にしたがい話す、なので、構成や要点は伝わりやすいだろう。
ただ、その話し方をする機会が乏しいため、まだ不慣れだ。練習も足りない。頭で分かっている状態なので、声のトーンや表情を使って相手に興味を持たせるほどのレベルには達していない。
「何を言いたいのかは、分かるんだけど……」
「なんか型にはまった話し方だな」
多くの聞き手は、このような感想を持つだろう。まだ自然さや柔軟さに欠けるからだ。
(3)応用レベル
次に、「応用を身につけたレベル」である。
この段階の人は、環境や機会に恵まれているか、自分で相当練習した経験がある。だから話の構成だけでなく、相手の反応を見ながら柔軟に話を進めることができる。相手が興味を持っているかどうかを観察(キャリブレーション)し、その場に応じて話の内容やトーンを調整することができる。
例え話や具体的な事例も巧みに扱える。「ヒーローズジャーニー」などを使ってストーリーで話す力も持ち合わせている。
「あの人、話がうまいね」
多くの聞き手は、このような感想を持つだろう。講演やセミナーの講師としては、一流の仲間入りができることだろう。
(4)プロレベル
最後に、「プロフェッショナルなレベル」である。
この段階の人は、聞き手に「話がうまい」「話し方のプロだ」という印象を与えない。初めて会ったのに、聞き手はまるで親友が話しているかのように心を開いて耳を傾けることができる。それほどのレベルである。
話の構成、相手の反応、感情を込めた話し方、すべての要素を高度に組み合わせながら、相手に合わせることができる。
まるで役者のようだ。アメリカ大統領のように威厳のあるような演説もできれば、言葉を覚えたばかりの3歳児のような、拙い話し方もできる。
もちろん天才でない限り、このレベルに達するビジネスパーソンは存在しない。特殊な才能と専門トレーニングを受ける環境がなければ、絶対に到達しない。
■誰でも「応用レベル」に達することができる理由
話がヘタなのと、緊張して話ができなくなってしまう現象と、同じように受け止めている人がいる。
「コミュ障です」
とよく自分で言ってしまう人は、おそらく頭が整理されていないのだと私は思う。話がヘタなのではない。単に自信がないだけだ。
私はスノーボードをやったことがない。だから当然、「スノーボードに自信があるか?」と聞かれたら、当然「自信がない」と答える。もちろんやったこともないし、教えられたこともないので、スノーボードがヘタかどうかは分からない。
したがって、どんな人でも知識さえ身につければ「素人レベル」を脱することはできる。「基本レベル」はもちろんのこと、練習を繰り返せば「応用レベル」に到達することは可能だ。
どんな仕事においても、できるようになるまで勉強し、訓練を受けるのが普通だ。私はシステムエンジニアだったので、まずはプログラミングについて学び、トレーニングを受け、最低限の仕事ができるようになった。
さらに経験を積んで、プログラミングのみならず、システム設計から運用テストまでできるようになり、10年近くを経てプロジェクトのマネジメントまで任せてもらえるようになった。
「話し方」も同じである。
なんとなく話しているだけであれば、上達するはずがない。基本知識もなくプログラミングしているのと同じ。素人が作ったプログラムが動作することはない。「素人レベル」では話は通じないし、相手をその気にさせ、動かすこともできない。
部下から総スカンを食らうような上司は、まさに「素人レベル」の話し方なのだ。勉強もせず、訓練もせず、ただ年齢を重ねただけの人だ。正しい知識習得をしないまま、ひたすらプログラミングをし続けるプログラマーのようだ。
プログラマーの世界では、次のような格言がある。
「プログラムは思った通りには動かない。書いた通りに動く」
なぜ部下が動かないんだ? と疑う前に、自分の話し方のレベルを正しく認識しよう。
<参考記事>