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正当な取材であれば不正アクセス禁止法違反でも犯罪にならないようです

篠原修司ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門

朝日新聞と共同通信の記者がパソコン遠隔操作事件の取材のため、真犯人を名乗る人物が送ったメールサーバーに不正にアクセスした件で、東京地方検察庁は起訴猶予との判断を下したそうです。

無断アクセスの記者を起訴猶予 NHKニュース(2013年8月23日)

東京地検は起訴猶予処分にした理由について

記者たちの行為は違法だが、事案の性質や内容に加え、いずれも反省していることを総合的に判断した

出典:無断アクセスの記者を起訴猶予 NHKニュース

と話していますが、両社のコメントを読むかぎり全然反省してないんですけど?

朝日新聞社の森北喜久馬社会部長は、「犯行声明メールが本物なのか確かめるための正当な取材の一環だと考えている」というコメントを出しました。また、共同通信社の石亀昌郎社会部長は「形の上では法に触れる可能性があるとしても真相に迫るための取材であることは明らかで、捜査当局に説明し理解を得られた結果と考えている」というコメントを出しました。

出典:無断アクセスの記者を起訴猶予 NHKニュース

「すみません」の「す」の字もありません。どちらも「正当な取材だった」と言い張っているだけで反省している様子は見えませんし、なにより取材だったら罪を犯してもいいんですか?

この理論でいけば取材のためなら他人の家に無断で侵入しても罪にはなりませんし、ああ、だから1991年の雲仙普賢岳の火砕流報道では民家に無断で侵入したりコンセントの電気を勝手に使用したりしたんですね、報道のために。20年経っても全然進歩してません。

報道関係者が避難勧告区域の中に勝手に入り込み取材を続けたため報道関係者に傭車され独断で避難できなかったタクシー運転手、報道関係者が民家に無断で侵入し、コンセントの電気を無断で使用する等したため、これを警戒すべく一旦後方に下がりながらも再度進出せざるを得なくなった消防団員、警察官が、それぞれ巻き込まれる形で殉職した。

出典:雲仙岳 - Wikipedia

「ごめんですめば警察はいらない」とは言われますが、マスコミ様にかぎってはごめんしなくても警察はいらないようです。

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ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門

1983年生まれ。福岡県在住。2007年よりフリーランスのライターとして活動中。スマホ、ネットの話題や炎上などが専門。ファクトチェック団体『インファクト』編集員としてデマの検証も行っています。最近はYouTubeでの活動も。執筆や取材の依頼は digimaganet@gmail.com まで

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