「オヤジ政治」をぶっ壊せ!日本の女性国会議員はこんなに少ない 世界165位 衆院1割 参院2割
イスラム諸国よりも男尊女卑がはびこる日本の国会
[ロンドン発]3月8日は国際女性デー。1月1日時点の下院における女性議員の割合では、日本の衆議院は463人中47人(10.2%)と世界193カ国中165番目であることが列国議会同盟(IPU)の調べで分かりました。
今や日本は、西洋から「男尊女卑」と批判されているアフガニスタンやイラク、モロッコ、パキスタン、サウジアラビア、リビアといったイスラム諸国の後塵を拝する有様です。
二院制を採っている国で上院における女性議員の割合は、日本の参議院で241人中50人(20.7%)と43位でした。
女性議員比率、世界平均は24.3%
世界193カ国の議会における女性議員は4万6182人中1万1210人で割合は平均で24.3%です。
このうち下院の女性議員は3万9181人中9522人(24.3%)、上院は7001人中1688人(24.1%)でした。地域別の女性議員の割合は次の通りです。
北欧 42.5%
米州 30.7%
欧州(北欧を除く) 27.4%
サブサハラアフリカ 23.7%
アジア 19.6%
太平洋 18.4%
中東・北アフリカ 18.1%
北欧の女性議員はどうして多いのでしょう。1879年、ノルウェーの劇作家ヘンリック・イプセンによって書かれた戯曲『人形の家』にこんな場面が出てきます。
弁護士ヘルメルに「人形」のように愛されていた妻ノラは夫に隠してきた借金がバレてしまいます。そのことをきっかけに付属物として扱われてきた人生に気づき、夫に向かってこう言います。
「もし私が自分自身と外の世界を知りたいのなら自分の足で立たなければなりません。だから私はあなたと一緒にいることはできないのです」
「私たちの家庭は子供の遊び部屋以外の何物でもなかったわ。私はあなたの人形妻だった。実家でパパの人形っ子だったようにね。今は子供たちが私の人形なのよ」(筆者仮訳)
家の鍵を置き、夫と子供を残して出ていったノラの言葉は、妻であり母であることと、社会参加して1人の人間として生きていく女性の葛藤を見事に描き出しています。
こうしたフェミニズムの文化と伝統が「男女格差(ジェンダーギャップ)のない社会」を実現する推進力になっているのは間違いありません。
また、北欧の人口規模はそれほど大きくなく、この10年間で2500万人から2700万人に増えた程度です。
2030年には3000万人になると予想されていますが、社会の持続性が最重要課題で、女性の社会参加は必要不可欠です。
日本の女性就業率は急上昇
日本の生産年齢人口における女性の就業率は男女雇用機会均等法が施行された1986年は53.1%でしたが、2017年には67.4%まで伸びています。出産・子育て期に当たる25~44歳では74.3%にまで高まっています。
少子高齢化が深刻化する中、女性の就業率はもっと男性に近づいてくるはずです。日本がジェンダーギャップの解消に本腰を入れて取り組まなければならない外的要因はどんどん強まっています。
心の中身は変わらず
しかし心の中身や社会の仕組みは相次ぐセクハラ事件を見れば分かるように封建時代から余り変わっていないようです。
現在、安倍政権の閣僚19人のうち女性は片山さつき地方創生相1人だけ。安倍晋三首相が「女性活躍」を掲げ、16年には女性活躍推進法が施行されたものの、女性の政治参加はまったく進んでいません。
世界経済フォーラム(WEF)の18年版男女格差報告書から政治参加の項目を世界一のアイスランドと比べてみましょう。
・政治参加 125位0.081(アイスランド1位0.223)
・国会議員の男女比 130位0.112(同20位0.284)
・閣僚の男女比 89位0.188(同10位0.667)
・国家元首の在任年数の男女比 71位0(同2位0.718)
「オヤジ政治」を破壊せよ
拘束時間が長く、選挙区と国会を行ったり来たりする国会議員の仕事は女性にはタフ過ぎるのでしょうか。しかし、政界が男尊女卑、年功序列の「オヤジ社会」であり続ける限り、ジェンダーギャップは永遠に解消されないでしょう。
政党ごとの衆議院における女性議員の割合は次の通りです。
自民 281(女性議員22)7.8%
立憲 68(15)22%
国民 39(2)5.1%
公明 29(4)13.8%
共産 12(3)25%
維新 11(1)9%
社保 6(0)0%
社民 2(0)0%
希望 2(0)0%
未来 2(0)0%
無所属9(0)0%
スウェーデンでは女性議員の割合が減少したことから、1994年の総選挙では多数の政党が男女交互の候補者名簿を作成しました。昨年の総選挙では188人の男性議員、161人の女性議員が当選しました。平均年齢は45歳です。
日本の政党には「働く女性」「生んで育てる女性」の声を拾い上げる努力と工夫が求められています。男女交互とまでは言わないまでも男性2人に女性1人ぐらいの割合で候補者名簿を作成してはどうでしょう。
それと同時に日本の女性にも夫ヘルメルのもとを去ったノラと同じ勇気が求められているのは言うまでもありません。
(おわり)