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日本代表対アメリカ代表戦近づく…ワールドカップ取材日記6【ラグビー雑記帳】

向風見也ラグビーライター
7日の練習後、リーチキャプテンが取材に応じる(写真:ロイター/アフロ)

ラグビーワールドカップのイングランド大会が9月18日~10月31日まであり、ニュージーランド代表が2大会連続3回目の優勝を果たした。日本代表は予選プール敗退も、国内史上初の1大会複数勝となる3勝を挙げ、話題をさらった。

以下、日本テレビのラグビーワールドカップ2015特設サイトでの取材日記を抜粋(6)。

【10月7日】

午前中は日本代表のリーチ マイケル主将が、宿泊先で写真撮影をしていたらようです。この日は27歳の誕生日。ケーキを前に短い談話を残しました。もっとも僕は、その取材機会には伺えませんでした。原稿の締め切りの波に、飲まれそうでした。

夕刻頃、ウォリックスクールへ出向きます。日本代表が長時間の取材機会を設ける、とのこと。

待ち時間は、皆で控室のテレビにくぎ付けです。南アフリカ代表対アメリカ代表。場所はロンドン・オリンピックパークでした。日本代表が参加する予選プールBでの勝ち点争いにも影響を及ぼす一戦です。

64―0。日本代表が下した南アフリカ代表が1位通過を確定させました。かたやアメリカ代表は11日の日本代表戦を見据えてか主力組を温存しているようでした。

取材機会。試合結果を伝え聞いた立川選手は、こう語りました。

「向こうも最後。勝ちに来ると思いますし。ジャパンも(準々決勝進出の可否は)周りの結果次第というところはありますけど、自分たちのやることに集中したい」

誕生日のリーチ選手も、椅子に座って取材に応じます。協会サイドの要望としては、談話は「日本時間の10日朝5時に解禁」とのこと。

「勝って帰るのと負けて帰るのは違う。日本のラグビーの盛り上がりを作るチャンスだから。負けたら、いまの2勝はたまたまだから、となる」

10日の前日練習の折は、ニューカッスルで・セントジェームズパークでスコットランド代表対サモア代表戦があります。アメリカ代表戦に向けたチームマネージメントについて、リーチ主将は頭を悩ませているようでした。

【10月8日】

日本代表はこの日を「ノンメディアデー」としていました。大会が規定した「取材を受けなくてもいい日」を、ここに設定したのですね。

僕は終日、近くのカフェで原稿執筆など。加えて、予選プール終了前後の生活についても考えるようになります。

まず、10日はトゥイッケナムスタジアムで取材だからロンドン泊、11日は日本代表対アメリカ代表戦のあるグロスターで1泊。さらに翌日、ロンドンに戻り、長期滞在…という運びです。ホテルは一切、決めていません。

出国前にウォリックのホテルを探し出した旅行サイトをチェック。10日分は難なく予約します。ただ、11日の宿は予約困難だと判明します。グロスターのような地方都市にはそもそもホテルが少なく、そこもほとんど予約で埋まっているのです。

申し訳ないな、と思いつつ、南アフリカ代表戦後に食事した全国紙の記者の方へラインを送ります。「グロスターのホテル、取りましたか? エクストラベッド、おかせていただけますか」。ほどなくして「OK」の返事。

最後は12日以降の滞在先。同じ場所へずっと泊まるわけですから、キッチン付きが望ましい。と、考えると、どこも極端に宿泊料金が高い。中心から外れたエリアでも、1泊平均2万円弱といったところでしょうか。…この日は、保留としました。

【10月9日】

日本代表は、アメリカ代表戦メンバーの発表会見を開きました。今季初先発の藤田慶和選手については、「直感です」とエディー・ジョーンズヘッドコーチ。公式の会見が終われば複数選手による囲み取材が始まります。

すっかり「時の人」となった五郎丸歩副将が大勢のメディアに囲まれているのを見て、木津武士選手が言います。

「暇なんで、何でも聞いてください」

実はこの人、リーチ マイケル主将の東海大学時代の同級生です。「アイツがこう(視野が狭く)なっていたら、話しかけたり」。7日の誕生日に食事へ誘おうとすると、「きょうは家族と一緒」と断られたようです。よしもとクリエイティブエージェンシー所属。生きているだけで笑いをもたらす豪放磊落な人です。

で、五郎丸副将。テレビ取材を終えた後のペン記者取材では、一言による返事が多い印象でした。

――チームの雰囲気は。

「いいんじゃないですか」

問答を通し、こんなことも話していました。

「ラグビーにヒーローは存在しない。皆、1人ひとり仕事を全うしている。自分は100パーセントのプレーをするだけで、結果に対しての評価は周りがしてもらうのであって、そこに関してはコメントをしないです」

ホテルへ戻り、いくつかの原稿執筆。ボスの「直感」で先発が決まった藤田選手の談話などをまとめます。なおこの日、寄稿先のひとつから「アメリカ代表戦後、五郎丸副将の話で」とリクエストされました。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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