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ありそうでなかった127年間で初めての記録! アストロズ投手が2試合連続で14奪三振を達成

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
2日のブルワーズ戦で14奪三振の好投を演じたゲリット・コール投手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【127年間で初の出来事】

 現在奪三振数でMLBトップを走る、アストロズのゲリット・コール投手が2日のブルワーズ戦に先発し、勝敗はつかなかったものの6回を投げ3安打1失点14奪三振の好投を演じた。実はこれが、とんでもない記録を生み出していた。

 前日に同僚のジャスティン・バーランダー投手が、ブルージェイズ戦で自身3度目のノーヒットノーランを達成するとともに、14奪三振を記録していた。2試合連続で同じチームの投手が14奪三振以上を記録したのは、マウンドの距離が現在のかたちになった1893年以来初めてのことらしい。

 この127年間で初の快挙を、MLBの記録情報を扱う『MLB Stats』も以下のようなツイートを投稿している。

【奪三振数でMLBの1位&2位コンビ】

 コール投手とバーランダー投手はチームメイトでありながら、奪三振タイトルを争う強力なライバル同士でもある。

 この日の14奪三振を加え、今シーズンの奪三振数を266に伸ばしたコール投手に対し、バーランダー投手は9差の257で追走。まったく予断を許さない状況だ。

 残り試合を考えると、ローテーション通りにいけば両投手ともあと4試合に登板することになり、2人ともにシーズン300奪三振の大台に乗せる可能性も十分になる。

 今回の記録達成は、これだけの強力コンビが揃ったからこそ達成された快挙といえる。

【過去にも存在した絶対的なコンビ】

 確かにコール投手とバーランダー投手は強力コンビではあるが、過去にも彼らに匹敵するようなコンビは存在していた。それだけに今回の記録は、逆に今まで達成されていなかったことに不思議さを感じてしまう部分もある。

 その代表的なコンビが、ダイヤモンドバックスに所属していたランディ・ジョンソン投手とカート・シリング投手だ。ジョンソン投手は奪三振タイトルを9回獲得し、通算奪三振数でノーラン・ライアン投手に次ぐ4875を記録しているMLB屈指の奪三振マシーンだ。

 一方のシリング投手はジョンソン投手にやや劣るとはいえ、奪三振タイトルを2回獲得し、通算奪三振数でも3116で15位にランクする強者だ。この2人が、2000年シーズン途中にシリング投手がダイヤモンドバックスにトレードされ、2004年にレッドソックスに移籍するまでの3年半の間、コンビを組んでいたのだ。

【2002年は2人同時に年間300奪三振を達成】

 そして2001、2002年には、現在のコール投手とバーランダー投手のように、2人が激しく奪三振タイトルを争うことになった。

 結果は、2001年が372奪三振を記録したジョンソン投手がタイトルを獲得し、シリング投手が293奪三振でMLB2位。続く2002年も、334奪三振を記録したジョンソン投手がタイトルを獲得し、316奪三振のシリング投手が2位に甘んじている。とはいえ、2年連続でチームメイトの2人が、奪三振数の1、2位を独占しているのだ。

 しかも両シーズンのスケジュールをチェックしてみると、チームの先発二本柱だった2人が連続して登板する機会が相当に多かった。そんな状況で投げ続けていた彼らが、一度も2人続けて14奪三振以上を記録することができなかったというわけだ。

 とりあえず127年間ありそうでなかった初めての記録が達成されたことで、またかつてのジョンソン投手とシリング投手の功績を調べる機会を得た。果たしてコール投手とバーランダー投手のコンビは、彼らにどこまで近づくことができるのだろうか。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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