監視なしで主体性を生み出す!テレワークのコミュニケーション
このコロナ禍にあって、テレワークの利用も一気に進んできました。
現在テレワークを導入している、もしくは導入を検討しているが不安が残る経営者や管理職の方へ向け、テレワークへの大きな懸念の一つ「社内コミュニケーションの不安」を払拭すべく、株式会社スノーピークビジネスソリューションズ代表の村瀬亮さんにお話を伺いました。
株式会社スノーピークビジネスソリューションズは、テレワークの企業導入支援を行なっている企業であり、自社の社員は100%在宅勤務のこともあります。そんな村瀬社長だから知っている、すぐに実践可能なコミュニケーション法もお伝えします。
テレワークでも「社内コミュニケーションの不安」をなくす
1.「朝礼」「昼礼」「夕礼」でメリハリとコミュニケーション
ーどうやって仕事にけじめを付けていますか?
テレワークでは、常に隣りに社員がいるわけではありません。その分、出社時よりも、コミュニケーションの機会を増やしています。特にテレワークを始めたばかりの段階においては、他の社員とつながる機会の創出がとても大切です。
そのために、毎日「朝礼」「昼礼」「夕礼」をそれぞれ15分ずつ設けています。「朝礼」「夕礼」は仕事上の連絡や相談といった固めの内容ですが、お昼休み前の「昼礼」は、雑談も加えて柔らかめにし、メリハリをつけています。
実は、テレワークは、社員自身が主体的に考えて動くようになるチャンスでもあります。在宅の場合、「毎日の就業時間をどう使うか」という自由度が増えます。また、近くに上司や同僚がいないと、気軽に尋ねたり頼ったりできないので、ついつい甘えてしまうこともなくなります。その分、社員が自分たちで主体性を持って働くようになるのです。
2.「サボらないか」と監視するより、いかに主体性を引き出すか
ーサボる社員はいませんか?
「テレワークだからサボる」という人は、つまるところオフィスでもサボっているのです(笑)。それに、人間ですから、誰でもサボりたいと思っていて当然です。
だから、「サボらないよう管理する」ではなく、「適度に休んだり、仕事の合間に家事や子育てをしてください」と言っているんです。そう言った方が逆にサボらないものですし、そもそもテレワークには家族の協力が不可欠です。住宅や家族の状況もそれぞれ違うので、「会社にいる時と全く同じように」というのは無理があります。部下の人生に寄り添ったマネジメントをするのが上司の役目と考えています。
また、マネジメントでは、部下の主体性を引き出すことも大切にしています。「昼礼」では、仕事上で気づいたことを発表してもらい、聞いた方は話に応じて30秒でコメントを返すんです。発表した人も、コメントを言う人も、ポジティブな言葉を口にすることで、自然と行動もポジティブになっていきます。
さらに、これまでなかった新しいアイデアや行動、やってみてわかった考え方を他の社員に伝えると、評価がアップするようにしました。この改革で、社員ひとりひとりの行動に変化が見られ、会社全体の雰囲気も変化しましたね。
部下を監視して、管理しようとすると失敗します。そもそも監視しないと働かない社員ばかりの会社では、絶対にこれから生き残っていけないですよね。それよりも、「部下の主体性をどう引き出すか」を考えるべきです。
「管理されてやらされていた仕事」を、いかに「自分から進んでやっている仕事」に変えるか。もともと仕事は、待っていれば降ってくるものではありません。テレワークは、「仕事は自分で作るもの」という本来に立ち返る絶好の機会ですよ。
3.オンラインでも何気ない対話の場を用意
ー顔を合わせないと、人間関係が希薄になりませんか?
コミュニケーションの問題は、オンラインでもオフラインでも同じなんです。「オンラインだから希薄になる」ではなく、リアルな職場で希薄だった場合、オンラインでも当然希薄になるだけです。
ただ、お互いに顔が見えない分、気をつけて対話する時間を作るようにはしています。その際重要なことは、ただの挨拶や業務連絡ではなく、ざっくばらんな会話ができる場を用意することですね。オフラインと同じように、何気ないおしゃべりができるようにしています。たとえば、ZOOMでは、「好みのバーチャル背景を自由に設定して、会話の糸口にする」などもいいですね。
4.今後のために1週間に1日在宅からはじめてみる
―オンラインにシフトするのは大変ですか?
在宅勤務やオンラインでのコミュニケーションに迷いがあるのはわかります。しかし、コロナにより、世界中でイノベーションが進行しました。さらに、これからも同じような事態が突如起こらない保証はありません。そんな時に焦らずに済むリスクマネジメントとしても、今のうちにテレワークを推進しておく意味はあると思います。
テレワークの用意で気をつけたいことがあります。それは、社長や上層部が「在宅勤務を始めるぞ」と上から押し付けると反発を招く可能性があります。できれば社員と共に話し合い、「新しいチャレンジだ!」と巻き込んでいく方が良いでしょう。
最初から毎日テレワークにしてしまわなくてもいいのです。たとえば「1週間に1日だけ家で仕事」など、やってみて上手くいかなかったらやめればいい、くらいの気軽さで始めてみてはいかがでしょうか。
社員の主体性のなさを嘆いている経営者の方は、思い切ってオンラインに切り替えてみることが、主体性を磨くきっかけになるかもしれません。いつもと違う非常事態の時こそ、全社が一丸になれる時です。テレワークを、社員全員で話し合い、同じ方向に向かって一歩を踏み出す機会と捉えてみてはいかがでしょうか。
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太田 章代