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2014年阪神ファーム“5代目の四番”に指名された原口選手が2ラン! <17日>

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
公式戦初の4番で先制2ラン!バットを手にとっておきの笑顔を見せる原口選手です。

17日は鳴尾浜で初のファーム交流試合で、楽天とも公式戦では初顔合わせ。一塁側スタンドを彩る楽天カラーも新鮮でした。甲子園のナイター・日本ハム戦を見に行く前にと寄られたお客様も多かったのでしょう。平日にもかかわらず入場制限があったくらいの盛況です。私の隣に男子数人のグループがいて、聞けば福島の聖光学院野球部OBで歳内投手の同級生。1日ずれていたら歳内投手が先発だったのに残念でしたね。「あ、そうなんですか?でも明日は練習があるので…」とのこと。大学でも野球を続けていて関西在住とか。またぜひ遊びにきてください。

試合は延長の末に引き分けたんですが、ナイターの1軍戦も延長戦にもつれ込んでサヨナラ勝ち!決勝打のマートン選手にプロ初勝利をプレゼントされた金田投手は「僕、1アウト取っただけなのに…」と謙遜していましたが、その1死が生んだサヨナラだから大きな顔してください。なお試合後、スタッフの方がセンター付近で探していたウイニングボールは無事に見つかったそうですよ。「親に会ったら渡そうと思います」と言っていました。おめでとうございます!

それにしても4時間46分という試合で、昼間はファームの楽天戦を視察された和田監督にとっては長い長い1日だったでしょう。視察でどういう収穫があったのか、気になるところ。では、そんな鳴尾浜の試合を振り返ります。

公式戦では初めての4番

17日の先発オーダー表。公式戦では初めて4番目に原口選手の名前が書かれました。
17日の先発オーダー表。公式戦では初めて4番目に原口選手の名前が書かれました。

発表されたスターティングラインナップに、この日は変動がありました。『4番・原口』。試合後に筒井内野守備走塁コーチが「ダイゴダイ、ダイゴダイ」と言うので、何だろうと思ったら「第5代」のことだったんですね。つまり2014年5代目の“4番”というわけ。キャンプは何人かが務めていて、教育リーグのほとんどと公式戦開幕後1週間くらいは一二三選手、そのあと4月19日までが森田選手、4月20日から6月3日まで伊藤隼選手、6月4日から15日までは陽川選手で、それに続く今季5人目の4番打者というわけです。なお原口選手自身、公式戦はもちろん初。育成試合は2011年の4試合、2012年の1試合が4番での出場でした。

楽天の方は安部選手、小関選手、小斉選手という1軍登録選手がスタメン。ちょうど1軍は試合がなく、移動日を利用しての出場だったんですね。もとソフトバンクの小斉選手は「3、4年ぶりですねえ~鳴尾浜」と言い残して広島へ向かいました。

《ウエスタン公式戦》

ファーム交流試合6月17日

阪神-楽天 1回戦 (鳴尾浜)

楽天 000 210 010 0 = 4

阪神 201 000 100 0 = 4

※延長10回規定により引き分け

◆バッテリー

【阪神】岩本-榎田-渡辺-高宮-玉置-小嶋-山本-西村 / 鶴岡-岡崎(10回表)

【楽天】濱矢(5回)-相原(1回)-菊池(1回)-ファンミル(1回)-戸村(1回)-金刃(1回) / 小関

◆本塁打 原口3号2ラン(濱矢)、伊藤隼4号ソロ(菊池)、枡田1号ソロ(玉置)

◆二塁打 小関2、島内、一二三、北川

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率

1]指:西岡   (2-1-0 / 0-1 / 1 / 0) .375

〃打指:森田  (1-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .235

〃打指:北條  (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .219

2]二:黒瀬   (2-0-0 / 1-1 / 0 / 0) .179

〃打二:荒木  (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .313

〃打:小宮山  (1-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .145

3]中左:狩野  (3-2-1 / 0-1 / 0 / 0) .287

4]一:原口   (4-1-2 / 1-0 / 0 / 0) .359

〃一:阪口   (0-0-0 / 0-0 / 0 / 1) .245

5]右:福留   (4-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .227

6]三:陽川   (4-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .214

7]捕:鶴岡   (4-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .235

〃走:横田   (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .213

〃捕:岡崎   (0-0-0 / 0-0 / 0 / 1) .275

8]左:一二三  (1-1-0 / 0-1 / 0 / 0) .169

〃打中:伊藤隼 (2-1-1 / 0-0 / 0 / 0) .262

9]遊:西田   (2-0-0 / 1-1 / 0 / 0) .242

〃打:高山   (1-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .227

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ

岩本 4.1回 71球 (5-6-1 / 3-3 / 3.49) 137

榎田 1.2回 26球 (0-3-2 / 0-0 / 1.27) 144

渡辺 0.2回 18球 (0-1-2 / 0-0 / 0.50) 148

高宮 0.1回 1球 (0-0-0 / 0-0 / 0.87) ―

玉置  1回 15球 (3-0-0 / 1-1 / 3.68) 144

小嶋  1回 25球 (1-2-1 / 0-0 / 4.63) 147

山本 0.1回 9球 (0-0-0 / 0-0 / 2.16) 137

西村 0.2回 13球 (0-1-0 / 0-0 / 6.89) 137

「4番って…すごいポジション」

珍しく「きょうは疲れたなあ」という言葉から始まった平田監督の試合後コメント。まず「西岡はスチールも決めて順調。和田監督もいいところを見てよかったね。鶴岡は何の問題もない。福留もやることやってる。さすがだよ。ダブルプレー崩しとか。生きた教材だね」と3人について話し、新しい4番には「最初のホームランはさすが!ただ原口はこんなんで満足していないはずよ。ホームランより凡打の悔しさが大きいだろう、彼の性格からすると。だからこそ4番に据えたんだよ」と。これは本人にとって最高の賛辞でしょう。

原口選手は「(インコースの真っ直ぐに)うまく反応して打てました。まずバッティングに集中して結果を出せるようにしたい。しっかり振ること、自分のスイングができるようにならないと。まだまだです。これを続けていかなきゃいけないし、続けていきたいと思います」と、いつものように真摯な言葉でした。支配下登録への思いを聞かれ「先のことを考えてもしょうがないので、目の前の試合に集中していきたい。今はどこでも出られるということを必死でアピールするだけです」との答え。

そして4番の感想は平田監督の予想通り「2打席目がダメでした」と、3回に狩野選手のタイムリーで3点目が入り、なおも1死一、三塁のチャンスで併殺打だった場面を悔やみます。「4番ってすごいポジションだなあ!と思いました。あそこで打ったら試合の流れを持ってくることができたのに…最悪の結果。そういうところで回ってくるのが4番なんですね」。ちなみに原口選手、和田監督が視察に訪れていることをまったく知らなかったそうですよ。でも開始早々、一番の売りである打力で文句なしのアピールができましたね。

「憲、よかったぞ!」と平田監督

投手陣は10回に登板した2人のみ、話が聞けました。最初は島内選手を二邪飛にしとめて交代の山本投手。15日にシート打撃で投げたものの、試合は4日以来です。「シートと実戦は全然違います。自分のピッチングができていない。制球に関しても、コースにしっかり投げようと練習していてシートでもやっていたんですが、試合では力みが出てしまう。1球目に自分の球を放れるように、しっかりやっていかないと。アウトを取れたので最低限の仕事はできましたけど、もっと簡単にいかないとダメですね」。1人に9球を要した点にも反省しきりです。

そして西村投手は、まず仲澤選手を見逃し三振に!ここだけスピードが表示されなくて残念でした。ついでファースト阪口選手の捕球エラーと盗塁、そこに岡崎選手の送球エラーが重なって2死三塁としますが、最後は狩野選手のいい守備もあって左飛で終了。「真っすぐで空振りも取れたし、よかったですね。でも続けないと意味がないので。球速は気にしていません。セットポジションになってから球が高めに浮きました。そこが課題」

17日の楽天戦で最後を締めた西村投手。この日は頼もしい投げっぷりでした!
17日の楽天戦で最後を締めた西村投手。この日は頼もしい投げっぷりでした!

試合後に我々の取材を受けていた平田監督が、グラウンドから引き揚げてきた西村投手を見つけるなり、話を中断して叫びました。「憲、よかったぞ!続けんと」。あまりに大きな声だったのでびっくり。それを受けて西村投手は「ありがとうございます!」と、ほんの少しだけ笑顔。ことしはまだ思いきり笑ったところに会っていない気がします。早く白い歯をいっぱいくださいね。もちろん1軍のマウンドから戻る時に、です。

ベンチで勉強することは多い

7回に一時は勝ち越しの4号ソロを放った伊藤隼選手は「1軍でもこういうピンチヒッターでチャンスをもらえると思うので、いつもよりさらに積極性を出していきました。ストレートに合わせて何でも対応できるようにと。きょうは、たまたまいい結果が出ただけ。ずっと出られたら有難いけど、急に1打席ポンと行くことも。ベンチで見ていて準備しています。勉強することは多い」と話しています。

スタメンに復帰して2試合目の一二三選手。打球の追い方が昨年ケガする前の、いい時に戻ってきたような気がしますね。「でもバッティングが…。きょう、やっと1本出てよかったです」と心底ホッとしたような顔でした。やっぱり1本出ると違う?「はい!」。4番を取り返すぞという勢いで、これからドンドン打っていきましょう。

10回裏の攻撃で、先頭の代打・高山選手がショート内野安打で出塁。全力疾走、速かったですねえ!と言うと「僕、足速いんですよ」と高山選手。何か返そうとしたら「野球になったら速いんですよ」「僕、足速いんですよ」。何度も繰り返すので、爆笑。

そのあと、ベンチにはいるものの右手人差し指の突き指で1試合に代走出場しただけの北條選手が、5試合ぶりの打席に立ちました。サインはバント。「野手が前に来て、みんな“打て!打て!”と言うので」バスターを敢行するも併殺。「もうちょっと横に行ってたら抜けてたなあ」。サヨナラに貢献できず悔しそうでしたねえ。

おまけ★216センチのピッチャー

そうそう、8回に登板した楽天のファンミル投手は身長216センチ!NPB所属選手の中で最高だとか。対戦した荒木選手は「背高かった…」とひと言。原口選手は「メッチャでかかった。え、2メートル16センチもあるんですかっ!」と絶句したあと「でも思ったよりきれいな球を投げていましたよ。スライダーとかもよかったし」との感想です。

ただスタンドで見ていても、マウンドより1メートルくらい前から投げているんじゃないの~?と言いたくなるほど近く感じたので、バッターはなおのことでしょう。ちなみに、この日の最速は狩野選手が右前打した151キロでした。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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