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「これが人生さ」 2部からCL決勝の舞台へ!ユヴェントスで戦い続けるGKブッフォンの思い

斉藤健仁スポーツライター
ユヴェントスは1996年以来の欧州王者になることができるか?

5月13日、チャンピオンズリーグ(CL)の準決勝第2戦が行われ、ユヴェントス(イタリア)は、アウェイでレアル・マドリー(スペイン)と対戦し1-1で引き分け、2戦合計(アグリゲーションスコア)で3-2とし、2003年以来、12年ぶりの決勝に駒を進めた。決勝は6月6日にベルリン・オリンピアシュタディオンでバルセロナ(スペイン)と激突する。

◇レアルのホームで守備で粘りを見せて決勝進出

ホームの第1戦は2-1で勝利し、昨シーズンの欧州王者のホーム、サンチャゴ・ベルナベウに乗り込んだ「ビアンコネロ」。前半最初から「白い巨人」に攻勢を許し、23分にはPKを献上してしまい、クリスチャーノ・ロナウドがしっかり決めて0-1で先制される。

その後も得点を取らなければいけない状況になったユヴェントスだが調子は上がらず、前半はユヴェントスのシュート数は3、レアル・マドリードは13本。カピターノ(主将)でもあるGKジャンルイージ・ブッフォンを中心に何とか耐えたと言えよう。

そして迎えた後半12分、ついにチャンスがやってくる。かつてレアル・マドリードに在籍していたFWアルバロ・モラタが2試合連続の得点で1-1とし、2試合合計ではユヴェントスがリードした。その後、相手に攻められる時間も多かったがイタリア王者はしっかりと守り切り、2003年以来の12年ぶりの決勝進出を決めた。

◇決勝進出を決めて「これが人生さ」(ブッフォン)

喜びを爆発されるユヴェントスイレブン。決勝進出の立役者の一人となったブッフォンは、試合後、自身のツイッター(@gianluigibuffon)でこうつぶやいた。

「Da Berlino alla B.....dalla B a Berlino!!!!!.....questa e la vita!! 」

日本語訳するとこういうことだ。

「(2006年はワールドカップ決勝で優勝した)ベルリンから、(八百長事件の影響で)セリエBへ…..そして今日、セリエBから(セリエAに再昇格し、再びチャンピオンズリーグの決勝の舞台である)ベルリンへ!!!!!.....これが人生さ!!」

2006年、ユヴェントスは八百長事件が発覚し、イタリア代表メンバーは、試合に集中できるような状況ではなかった。それでも「アッズーリ」は見事にワールドカップで4度目の優勝を果たしたが、ユヴェントスはクラブ史上初めて、セリエB(2部)に降格する憂き目に遭った。

セリエBにチームが降格する中、FWズラタン・イブラヒモビッチ、DFリリアン・テュラム、DFジャンルカ・ザンブロッタ、そしてイタリア代表主将でもあったDFファビオ・カンナバーロはチームを去った。

その一方でFWアレッサンドロ・デル・ピエーロ、ダヴィド・トレゼゲ、MFパベル・ネドヴェド、そしてGKブッフォンらはチームに残留した。サッカー選手のキャリアとして、レベルの高い試合に出続けたい、プロとして年俸の高いチームに移籍したいという気持ちもわかる。ただ、「ビアンコネロ」への思いを貫いたこの4人を中心に、2007-08シーズン、ユヴェントスは1年でのセリエA復帰を果たした。

2001年にパルマからユヴェントスに移籍し、セリエB落ちも経験したが、それでもチームで戦い続けているのは今やGKブッフォンのみとなった。2011年には新しいスタジアムも建設され、今シーズン、セリエAの4連覇もすでに決めている。そして、今シーズン、再びワールドカップの決勝の舞台でもあったベルリン・オリンピアシュタディオンに戻ってくることを決めて、ブッフォンは上記のようにつぶやいたというわけだ。

◇CLで優勝すれば「バロン・ドール」の可能性も?

準決勝の対戦相手だったレアル・マドリード(スペイン)、マンチェスター・ユナイテッド、マンチェスター・シティー(ともにイングランド)など国外のビッククラブからの誘いを断り(環境を変えるのが面倒くさかったことも大きかったようだが……)、ユヴェントスに在籍し14年目を迎えている37歳のブッフォン。CLの準決勝を見ればわかるとおり、未だにそのパフォーマンスは落ちていない。

ユヴェントスが決勝で、リオネル・メッシ、ルイス・スアレス、ネイマール擁するバルセロナに勝利するのであれば、やはりブッフォンの活躍抜きでは考えられない。ユヴェントスが優勝すれば1996年以来の欧州王者のタイトル奪取となる。「個人タイトルには興味はない」とブッフォンは言い続けているが、愛する「ビアンコネロ」にタイトルをもたらせば、世界最優秀選手賞である「バロン・ドール」受賞の可能性も現実味を帯びてくる(もしGKとして受賞すれば1963年のレフ・ヤシン以来2人目となる)。

かつて、ユヴェントスだけでなく、2006年のワールドカップ優勝時のイタリア代表のGKコーチだったイヴァーノ・ボルドーン(元イタリア代表/インテルなど)は、インタビューした時、こうブッフォンを称していた。「体は硬い。スキルもあまりない。考えてプレーしているわけでもない。それでも止められるのがブッフォンだ。特別な存在であり、ブッフォンを目指すのは無駄さ」

サッカー選手として、再び世界最高の舞台に立とうとしているブッフォン。6月6日、ユヴェントスでの欧州王者のタイトルにこだわり続けてきた男の勇姿を見逃すな。

スポーツライター

ラグビーとサッカーを中心に新聞、雑誌、Web等で執筆。大学(西洋史学専攻)卒業後、印刷会社を経てスポーツライターに。サッカーは「ピッチ外」、ラグビーは「ピッチ内」を中心に取材(エディージャパン全57試合を現地取材)。「高校生スポーツ」「Rugby Japan 365」の記者も務める。「ラグビー『観戦力』が高まる」「ラグビーは頭脳が9割」「高校ラグビーは頭脳が9割」「日本ラグビーの戦術・システムを教えましょう」(4冊とも東邦出版)「世界のサッカー愛称のひみつ」(光文社)「世界最強のGK論」(出版芸術社)など著書多数。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。1975年生まれ。

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