【登山の歴史】山に惹かれた人々の歩みと、登山のはじまり!初期の登山史をひもといて
人類が山と共に歩んだ歴史は、遥か先史時代に遡ります。
紀元前4千年紀のエッツィという名の男性が、アルプス山中で永遠の眠りについた証拠も、その始まりを物語る一片と言えるでしょう。
しかし、当時の山々は単なる挑戦の場ではなく、神秘や超自然、あるいは宗教的な象徴と結びついていました。
そのため、登山と呼べる行為が頻繁に行われたわけではありません。
それでも、伝説や記録には、山を登ったとされる物語が多く残されています。
たとえば、詩人ペトラルカが1336年に登ったヴァントゥー山は、彼自身が書簡に記録したエピソードが有名です。
マケドニアの王フィリップ5世の冒険に触発され登頂したと言われていますが、どこか文学的な趣が漂います。
登山が象徴的な活動から実用的、さらには娯楽の域へと変化するのは時代の流れに沿ったものでした。
1492年、フランスのアントワーヌ・ド・ヴィルがモンエギーユを登った際には、ロープや梯子といった技術が駆使され、登山の黎明期を告げる出来事となりました。
一方、南米アンデスのインカ人たちは実用のためではなく儀式として、標高6739メートルのルリャイリャコ山を含む多くの高峰を登り、その伝統を今に伝えています。
山と向き合う人々の姿は、いつの時代もどこか詩的で、そして超越的なものでした。
それが現代の登山文化の礎となっていることは疑いありません。