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デビッド・オルティス氏銃撃は誤射だと判明! 犯行グループの真の狙いは隣にいた友人だった

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
オルティス氏銃撃事件について説明するドミニカのロドリゲス司法長官(写真:ロイター/アフロ)

【ドミニカ司法長官がオルティス氏事件で会見】

 現地時間の19日夜、衝撃的なニュースが全米中を駆け巡った。ESPNなど主要メディアが即座に報じたところによれば、ドミニカの司法長官が記者会見を開き、デビッド・オルティス氏襲撃事件の捜査状況を説明し、犯行グループの標的は実はオルティス氏ではなかったと明らかにした。

 彼らの本来の標的は、ナイトクラブでオルティス氏の隣に座っていたデビッド・ヘルナンデス氏であり、実行犯は間違ってオルティス氏を銃撃していたことが判明した。

【メキシコの麻薬カルテル構成員が殺人依頼】

 司法長官によれば、今回の襲撃事件はメキシコの麻薬カルテルのメンバーであるビクター・ヒューゴ・ゴメス氏が米国から依頼したもの。ゴメス氏は標的だったヘルナンデス氏と従兄弟なのだが、2011年のドミニカ国内で実施された麻薬捜査の際にヘルナンデス氏に裏切られたと恨みを持っていたようだ。

 ヘルナンデス氏はドミニカで車の修理ショップを経営し、オルティス氏とは友人関係にあった。そのため事件当日、ナイトクラブで一緒に過ごしていたわけだ。つまりオルティス氏は、犯行グループの勘違いで命を落としかけたのだ。

【判断ミスはオルティス氏が着用していた白いズボン】

 今回の事件を捜査しているドミニカの警察は、事件に関与した人物として11人の容疑者を逮捕し、取り調べを続けてきた。

 彼らの供述によると、犯行直前にグループの1人がナイトクラブにいる、標的のヘルナンデス氏の写真を撮影していたのだが、写真はピンぼけで下半身の部分は白いフリーザーで覆われていた状態だったという。

 この写真を見た実行犯はヘルナンデス氏が白いズボンを着用していると判断し、偶然白いズボンを着用していたオルティス氏を背後から銃撃してしまったのだ。

【非業の死は免れたオルティス氏】

 もし今回の事件でオルティス氏が命を落とし、その後にこの事実が判明していたとしたら、どれだけの人々を悲しみのどん底に突き落とすことになっていただろうか。せめてもの救いは、オルティス氏が順調に回復していることだ。

 だが事件後にドミニカで行われた1回目の手術で、オルティス氏は胆嚢すべてと直腸と腸の一部を摘出されているという。もう事件前の身体に戻ることはないだろう。これを“不運”の一言で片づけるには、余りにやるせない。

 とにかくオルティス氏が1日も早く、フェンウェーパークのグラウンドに笑顔で戻ってくる日を待ち侘びるだけだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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