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【NHLドラフト】フロリダが5巡目指名した日系人のイナモト! 祖父は第二次大戦で抑留された元日本兵

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
南国気分を味わえるフロリダのホームアリーナ(Photo:Jiro Kato)

シカゴ(イリノイ州)のユナイテッドセンターが会場となった今季の「NHLドラフト」は、初日の1巡目指名に続いて、昨日(現地時間)は2巡目から7巡目までの指名を行いました。

▼14か国の217人が指名される

二日間にわたって行われたNHLドラフトは終了しましたが、昨日配信した全体1位指名は史上初めてスイス人! スズキとヤマモトも揃って1巡目で指名で紹介したとおり、1巡目で指名された選手の出身国は、最も多いカナダの「12人」に対して、ロシアは「1人」と、例年に比べてロシア人選手の少なさが特筆されました。

では、全ての指名を終えて、どのようになったのか? 

7巡目までの指名を終了したあとの出身国別の選手数を見ると、

カナダ「77人」アメリカ「50人」スウェーデン「27人」フィンランド「23人」ロシア「18人」チェコ「9人」スイス「3人」ベラルーシ、デンマーク、スロバキア「各2人」フランス、ドイツ、ノルウェー、スロベニア「各1人」

このように2巡目以降は、例年どおりロシア人選手の指名も多く見られ、今季のドラフトでは「14か国」出身の「271選手」が31チームから指名を受けました。

▼スズキ、ヤマモトに続いて、イナモトも指名!

今季のドラフトの大きな話題になったのは、「日系人選手」の1巡目指名!

来季から参戦する新チームの ベガス ゴールデンナイツが、ニック・スズキ(FW・17歳)を!

また、強豪復活へ歩み始めた エドモントン オイラーズが、カイラー・ヤマモト(FW・18歳)を、それぞれ指名しました。

ところが、昨日も日系人選手の名前が、ユナイテッドセンターでアナウンスされました。

フロリダ パンサーズが5巡目で指名したタイラー・イナモト(DF・18歳)です!

▼スズキ、ヤマモトよりも低評価ながら・・・

イナモトは、4月にスロバキアで開催された「U18(18歳以下)世界選手権」で優勝したアメリカ代表のディフェンスマン。

ともに前日に1巡目指名を受けたスズキ(全体13番目)と、ヤマモト(全体22番目)よりも、ずっと遅れて、全体133番目の指名だった上、NHLの公式ドラフト候補選手のランキングでも、スズキとヤマモトよりも低い評価(北米のFW&DF部門68位)でした。

しかしながら、身長188 cm 体重89 kgのサイズを誇る選手の上、まだ伸びしろがあるとの評価も見られ、フロリダの指名に至った模様です。

▼スズキ、ヤマモトよりも “日本人顔” のイナモト

さらに加えて見逃せないのは、イナモトのルックスです!

今季のドラフトで指名された日系人選手を見比べると、まずベガスから指名されたスズキは、、、

続いて、エドモントンからの指名を受けたヤマモトは、、、

両選手に対して、イナモトは、、、

おもいっきり “日本人顔” です!

▼祖父は第二次大戦で戦った元日本軍兵士

もっとも、それもそのはずで、イナモトの祖父は日本人。

しかも、第二次大戦で抑留されてしまった経験もある元日本兵なのです。

ようやく抑留生活が終わったあとも、保有していた自らの土地を全て失い、家族を養うために必至になって働き続けた経験談を聞かされたイナモトは、小さいながらも、「勤勉」や「忍耐」の意味と大切さを学んだとのこと。

3年前に祖父は亡くなりましたが、生前に色々な話を聞かせてもらい影響を受け、「ホッケーは尊敬のスポーツ。全ての相手に対して尊敬の念を抱かなくてはいけない」との信念を抱きながら、氷上で戦っているそうです。

▼NHL最南端のアリーナに立つ日は?

ドラフト指名を受けたものの、イナモトはこの秋からウィスコンシン大学マディソン校へ進学(予定)。

NCAAのチャンピオンに6度も輝き、今季のドラフトでも4人が指名を受けた同校には、コロラド アバランチでヘッドコーチを務めたトニー・グラナト(53歳)がいるだけに、元NHLの指揮官の下で腕を磨いていきます。

大学に進学をしても、卒業を待たずにNHLチームとの契約に至る選手も多いことから、思いのほかイナモトのデビューは、早いかもしれません。

今季のドラフトで指名された日系人の中で、ただ一人のディフェンスマンが、NHL最南端のフロリダのアリーナに立つ日は、いつになるでしょうか?

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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