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昨年の開幕投手が、今年は「対戦相手の開幕投手」として元チームメイトを抑える!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
マックス・シャーザー(ニューヨーク・メッツ)Mar 21, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 過去3シーズンとも、ニューヨーク・メッツの開幕投手は、ジェイコブ・デグロームだった。けれども、今シーズンの開幕戦は、違う投手がマウンドに上がる。デグロームは右の肩甲骨を痛め、おそらく、2ヵ月は出遅れる。

 今のところ、デグロームに代わる開幕投手の筆頭候補は、マックス・シャーザーだ。こちらは、2015~16年と2018~21年に、ワシントン・ナショナルズで開幕投手を務めている。シャーザーも万全ではなく、太腿裏に軽い張りがあるものの、今のところ、大した問題ではないようだ。MLB.comのアンソニー・ディコモらが、そう報じている。

 メッツは、4月7日の開幕戦で、ナショナルズと対戦する。シャーザーが「予定どおり」に登板した場合、MLB.comのサラ・ラングスによると、チームAの開幕投手が、その翌年の開幕戦で先発してチームAに対して投げるのは、史上6人目だという。

 ラングスは、イライアス・スポーツ・ビューローからの情報として、これまでの5人を挙げている。1877年のトミー・ボンド(対ハートフォード・ダークブルース)、1899年のサイ・ヤング(対クリーブランド・スパイダース)、1940年のボボ・ニューサム(対セントルイス・ブラウンズ)、1953年のネッド・ガーバー(対ブラウンズ)、1993年のグレッグ・マダックス(対シカゴ・カブス)がそうだ。

 例えば、マダックスは、1992年にカブスの開幕投手を務め(相手はフィラデルフィア・フィリーズ)、そのオフにFAとなってアトランタ・ブレーブスへ移り、1993年はブレーブスの開幕投手としてカブスに対して投げた。シャーザーは、昨年の夏にトレードでナショナルズからロサンゼルス・ドジャースへ移籍し、こちらもFAとなり、メッツと契約を交わした(「37歳の投手が3年1億3000万ドルの契約を得る。「年4000万ドル以上」は史上初」)。

 ここに名を連ねるための条件は、2年続けて開幕投手を務めること、その1年目と2年目の在籍チームが違うこと、2年目の開幕戦の対戦相手が1年目の在籍チームであることだ。最後の対戦相手は、自身の力ではどうすることもできない。

 1年目の対戦相手はどこでも構わないが、4人目のガーバーは、両年とも同じカードだった。1952年の開幕戦は、ガーバーを擁するブラウンズがデトロイト・タイガースと対戦し、1953年の開幕戦は、ガーバーを擁するタイガースがブラウンズと対戦した。

 また、5人のうち、この両年とも白星を挙げているのは、1992~93年のマダックスしかいない。マダックスが2勝なので、カブスは1勝1敗だ。

 なお、昨年の開幕戦で、ナショナルズは勝利を収めたが、シャーザーに白星はつかなかった。シャーザーの開幕白星は、6登板中3度目の2018年だけ(チームは3勝3敗)。メッツと対戦した2015年と2019年の開幕戦は、7.2イニングずつを投げ、それぞれ3失点(自責点0)と2失点(自責点2)ながら、どちらも敗戦投手になっている。2015年はバートロ・コローン、2019年はデグロームと投げ合った。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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