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台風5号は12日朝~昼前に、岩手・宮城付近に上陸予想 今後も台風発生のおそれ

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
台風5号の予想進路図(8月11日午後3時現在)、ウェザーマップ作画

 台風5号は11日(日)午後3時現在、三陸沖を時速10キロの速さで北西に進んでいます。中心の気圧は980ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は25メートルで、勢力を保ったまま、12日(月)朝から昼前にかけて、岩手県から宮城県付近に上陸する可能性が高くなっています。

台風5号の特徴①「記録的な大雨」

 予想進路図にある黄色の円は風速15メートル以上の強風域です。台風5号の強風域は直径約780キロあり、東北地方がすっぽりと覆われるくらいの広さです。

 強風域内では風が強いのはもちろんのこと、台風を取り巻く雨雲が広範囲にあることを示しています。

 岩手県の沿岸では12日夕方にかけて、300ミリの大雨が予想されています。

 これは8月の平年降水量の約1.5倍の雨が一度に降ることを示しています。もともと8月は一年の中でも雨量が多い月なので、これを上回る雨がわずか一日程度で降る。川が氾濫したり、がけ崩れが起こったり、災害が極めて起こりやすくなる記録的な大雨です。

8月11日午後6時~12日午後6時までの24時間に予想される降水量:メソモデル(MSM)初期値11日00UTC、ウェザーマップ作画
8月11日午後6時~12日午後6時までの24時間に予想される降水量:メソモデル(MSM)初期値11日00UTC、ウェザーマップ作画

 また、11日夜~12日午前中は青森県、岩手県、宮城県で線状降水帯が発生しやすくなる見込みです。

 線状降水帯の発生を知らせる取り組み(顕著な大雨に関する気象情報)が始まって以降、2022年8月は青森県で、2023年8月は岩手県で、台風が関係して線状降水帯が発生しました。

台風5号の特徴②「影響が長引く」

 台風が東北地方の太平洋側に上陸するのは極めて珍しい。台風は通常、日本付近に達すると、西から東に進みますが、今回の台風5号は逆の動きをしています。

 これは偏西風の影響を受けていないことを示していて、台風5号は動きが遅く、熱帯低気圧に変わった後も北日本付近にとどまる可能性があります。東北地方では14日(水)頃にかけて、台風の影響が続く見込みです。

【東北地方】12日~18日の天気と最高気温の予報、ウェザーマップ作画
【東北地方】12日~18日の天気と最高気温の予報、ウェザーマップ作画

今後も台風発生のおそれ

 台風は5号だけで終わりそうにありません。こちらは13日(火)朝の予想天気図です。日本近海には複数の熱帯低気圧が予想されています。

8月13日午前9時の予想天気図、ウェザーマップ作画
8月13日午前9時の予想天気図、ウェザーマップ作画

 日本付近は太平洋高気圧の勢力が強いため、熱帯低気圧の発達や台風が発生した場合の行き先が予想しにくくなっています。

【西・東日本と沖縄】12日~18日の天気と最高気温の予報、ウェザーマップ作画
【西・東日本と沖縄】12日~18日の天気と最高気温の予報、ウェザーマップ作画

 15日(木)頃から、東京や名古屋などで天気が崩れやすくなる見込みです。この夏休みは天気予報をこまめに確認するようにしてください。

【参考資料】

気象庁:令和6年台風第5号に関する情報(第37号)、2024年8月11日

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは128冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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