釈由美子が母になって変わったこと 「不安から自分を追い詰めるのは子どもが待ってるのでやめました」
短大生時代からグラビアやバラエティで人気を博し、2000年代にはドラマ『スカイハイ』や『7人の女弁護士』に主演など女優として活躍した釈由美子。現在は一児の母となり、新たな出演作もまた増えてきた。日本の特撮が好きなオタク高校生が主人公のアメリカ映画『Ike Boys イケボーイズ』では、空手道場の先生の妻を演じている。超売れっ子だった頃に秘めていた想いから、現在の生活や仕事へのスタンスまで語ってくれた。
子どもとの旅行プランを立てるのが生きがい
――ゴールデンウィークにはお子さんとキャンプやハイキングをされた写真が、インスタに上がっていました。
釈 今は子どもの休みが最優先で、旅行や遊びのプランを立てるのが生きがいになっています。今回は竹芝桟橋からフェリーで伊豆大島の向こうの離島に行こうとしていたんですけど、ちょうど大雨だったので、急きょ予定を全部変更しました。
――お子さんは7歳で英検準2級に合格したそうですが、賢くて手が掛からない感じですか?
釈 違う意味で手が掛かるというか、やりたいことが多すぎるんです。好奇心が旺盛で、つき合うのが大変(笑)。でも、子どもが熱中しているものは、全力で応援したいと思っています。
――自分の血を引いていると感じるところもありますか?
釈 あるかもしれません。すごくタフなんです。「僕の体は疲れという言葉を知らない」なんて、生意気なことを言っていて(笑)。幼児の頃、疲れさせたくてスイミングスクールに入れたんですけど、プールで泳いだあと、公園で2時間くらい遊んでいました。今も習いごとに行って夜に勉強しても、全然寝なかったりします。
出産して仕事がなくなっても仕方ないなと
――37歳で結婚された時点では、仕事についてはどんなビジョンがあったんですか?
釈 特に何も考えていませんでした。30代前半では、まだ仕事をしたいと思っていましたけど、結婚した時点で妊娠も視野に入れて、出産したら子育て中心にするつもりでした。
――仕事はしばらくセーブして?
釈 お仕事に関しては、自分がやりたいと思っても、需要があっての世界なので。オファーをいただかなければできませんし、細々と終わっていったとしても、それが自分の賞味期限切れ。実力がないなら仕方ないと、いつでも受け止めるつもりでした。
――無理に抗おうとはせずに。
釈 しません。マンションの更新みたいに、毎年まだお仕事にご縁があって、ありがたいなという感じでいます。
――去年から、またドラマ出演も増えているようですね。
釈 時期によります。去年も子どもの課外活動が大変になると、付き添わないといけないので「半年はお仕事を入れないでください」とか。「今なら大丈夫」という時期には、いただいたお仕事をやって、メリハリが付いていました。
結婚前は自己顕示欲の固まりでした
――30代前半は仕事第一だったわけですか?
釈 ハングリーでしたね。もっと仕事をしたい、こんなことをやりたい……と夢があって。だから、仕事を取るか家庭を取るか、という選択は決め切れませんでした。
――女優さんは30代で壁があってハマる役が減る、という話も聞きます。
釈 それは感じました。20代での仕事のスタイルではなくなって、個人的にいろいろ重なったこともあって。30代前半は、自分がどこに向かっているのか、何をしたいのか、すごく葛藤していました。
――ハングリー精神の裏返しでしょうか?
釈 結婚する前の自分を客観的に分析すると、自己顕示欲や承認欲求の固まりでした(笑)。必要とされたい。認められたい。もっともっと私を見て! みたいな。だけど、結婚して出産して母になると、自分が本当に求めていたものは違うと気づいたんです。むしろ、私は無償の愛を捧げたいんだと。そこでやっと地に足が付いて、スタートラインに立てました。30代後半がターニングポイントになった感じがします。
やってもやっても自分自身は満たされなくて
――それにしても、釈さんは20代でたくさんの人に見られてきたと思いますが、30代前半では、さらに「見て見て」という気持ちだったんですね。
釈 仕事がなくなったらどうしよう……とか、何者でもない自分にずっと不安を感じていたんだと思います。私の代わりは誰にでもできる。自分がいなくても誰も困らない。私の存在意義って何だろうと、哲学的なことまで思い詰めたりもしました。
――傍から見ると、釈さんの代わりは誰にも務まらない感じでしたが。
釈 自分を納得させるために、いただいたお仕事に全力で応えて、ファンの方に喜んでもらえる表現をしたい。たぶん私の中では、お仕事が自分探しになっていたんです。だけど、やってもやっても、大きな作品に出させていただいても、自分自身はどこか満たされなくて。
――映画やドラマに主演しても?
釈 はい。自分の中では納得できていなくて、申し訳なさがありました。自信のなさの現れだったんでしょうね。
インパクトのある役にやり甲斐を感じます
――その自信のなさというのは、お芝居に関する話ですか?
釈 自分の存在すべてについてです。自己肯定感が低すぎたのか、「こんな私が……」といつも思っていました。私はたまたまバズったラーメン屋さんみたいに、行列はできているけど「おいしくなくてごめん」という気持ちだったんです。もっといいラーメンを作りたい。これじゃないんだよ、バシャーン! みたいな葛藤がありました。
――今はおいしいラーメンを作れる自信ができて?
釈 まったくありません。他のもっとおいしいお店で召し上がってください、という気持ちはあるままです。
――40代に入って、『フェルマーの料理』では小芝風花さんのお母さん役だったり、また違うフェイズに入った感じですか?
釈 母親役は等身大で演じられるので、やりやすいです。反面、今回の『Ike Boys』もそうですけど、『仮面ライダージオウ』のマンホールを投げる敵だったり(笑)、インパクトのある役もすごくやり甲斐を感じます。
全速力で走るばかりで現場で倒れたり
――20代の頃と、演技に対する考え方や準備の仕方は変わりました?
釈 ストイックさや自分の追い詰め方は、変わったと思います。昔が良かったのか今が良いのか、わかりませんけど。昔は本当に追い詰めて追い詰めて、全速力で走る感じでした。超剛速球を投げる。変化球は知らない。だから、しょっちゅう現場で倒れていました。
――現場に入るまでに、いろいろやっていたということですか?
釈 役作りをしたり、あれこれ考えたり。終わってカットが掛かっても、切り替えられなくて。重たい役や悪役を引きずったまま、家に帰ったりもしていました。
――『ゴジラ×メカゴジラ』のときなら、自衛官役で体から鍛えたり?
釈 アクションがあったので、すごく鍛えましたし、ストイックに食事制限もしました。
家に帰ったらオンとオフを切り替えるように
――今はそういうことをしなくなったと。
釈 まったくやらないわけではないですけど、家に帰ったら子どもが待っているのが現実で、ちゃんと切り替えます。それなら役作りはいつするか、プランニングして、子どもが学校に行っている間にやったり。オン・オフは分けられるようになったかなと思います。
――そうせざるを得ない状況でもあったわけですね。
釈 そうですね。よほど引きずってしまいそうな役は、最初からやらないかもしれません。でも、前にホラー映画に出たときは、撮影中は本当に怖かったんですけど、ちゃんと切り替えられたので、たぶん大丈夫な気がします。撮影所に全部置いていく感じで。
気負わず余裕しゃくしゃくで演じようと
――女優としてのポリシーみたいなものはできました?
釈 ないです。自分を女優だとも全然思っていないので。
――20年以上やってきて(笑)?
釈 ですけど、気負わず余裕しゃくしゃくで、というのはあります。私の場合、やろうとしたら、とことんやってしまうので。腹八分目くらいと自分に言い聞かせて、演じている感じです。
――監督か誰かに言われたことが、演技の指針になったりは?
釈 ゴジラ映画を撮っていたとき、照明部のチーフの方に「お前は直球すぎる」と言われました。肩を壊すから、変化球を覚えたほうがいいと。当時は「でも、これが私だし、手加減の仕方がわからない。手を抜きたくもない」と思っていたんです。今になって、おっしゃったことの深みや温かさが理解できて、感謝しています。
叱るときは「マンホールを投げるよ!」と(笑)
――力の抜き方は覚えたわけですね。
釈 ずっと力を入れっぱなしだと、疲れてしまいますから。特に私はナチュラルな役、いい人の役は少ないんです。『フェルマーの料理』で小芝風花ちゃんのお母さんをやったのが久しぶりで、それまでは悪女役とかが多くて「またこっちか」と(笑)。ずっとそういう役のままでいたら、やっぱりキツいですし、いつも怒っている役のテンションのままで家に帰ったら、子どもがビックリしちゃうので(笑)。
――『ブラックファミリア』のどギツい主婦役のままで、帰ってこられたら怖いかと(笑)。
釈 そうなんです。でも、『ジオウ』のときは子どもがテレビで私を観て「怖い」と言っていたので、叱るときは「マンホール投げるよ!」と脅したりしています(笑)。
――もう仕事を選べるキャリアではありつつ、タイミングさえ合えば、どんな役でもやる姿勢ですか?
釈 もちろんです。私の耳に入る前に事務所の判断があるかもしれませんけど、自分では何でもやりたいと思っています。
――初の海外作品となった『ロックダウン・ホテル 死・霊・感・染』は低予算で、マネージャーさんも帯同せずカナダまで行かれたとか。
釈 プライベートの旅行も自分で手配していますから。日本でも海外でも、自分にオファーをいただけて尽くせそうだったら、ちゃんと務めたいです。いろいろな経験ができる場だと思いますので。
クランクインが1ヵ月後だったら撮れませんでした
――『Ike Boys』の撮影は4年前だったとか。
釈 ちょうどコロナが広まった2020年の1月にオクラホマ、3月に日本で撮りました。クランクインが1~2ヵ月あとだったら、たぶんパンデミックでできなかったと思います。
――取材でいろいろ聞かれても、覚えてないことが多いですか?
釈 正直「あれはどうだっけ?」と思い出しながら、お話ししてます。あと、(7月公開の)『カミノフデ』も特撮だったから、「どっちがどっちだっけ?」となったりもしちゃいます(笑)。
――『Ike Boys』のエリック・マキーバー監督は、『ゴジラ×メカゴジラ』で主演した釈さんのファンでオファーしたそうですが、現場でもそういう話はしました?
釈 オファーをいただいたとき、監督が事務所に来てくださって、バッグから「高校生のときに買ったんです」と『ゴジラ×メカゴジラ』のDVDを出されました。家城茜を演じた私とお仕事するのが「夢だった」とおっしゃって、感無量でした。
――監督は家城茜の何に惹かれたと?
釈 孤独を背負って戦うところが、当時のエリック少年の心に響いたみたいです。今回のレイコも裏に秘めたものがある役でした。
面白かったからノリノリでやりました
――釈さん自身は『ゴジラ×メカゴジラ』に出演される前は、特撮に馴染みがあったわけではないんですよね?
釈 あまり観ていませんでした。『ゴジラ』シリーズは日本を代表する作品で知ってはいて、オファーをいただいてから、過去の作品を観て勉強させていただきました。私には最初の『ゴジラ』が一番インパクトがあって。今は7歳の息子がゴジラ大好きで、『ゴジラ-1.0』も『ゴジラ×コング(新たなる帝国)』も観に行きました。息子はビオランテやマニアックなジェットジャガーも大好きです。
――『仮面ライダー』シリーズも、『ジオウ』に出演が決まってから観たんですか?
釈 それまでは観たことがなかったです。息子も『仮面ライダー』は通ってなくて。『ジオウ』は幼稚園の子はみんな大好きでしたけど、うちの子は私が出演した回だけ観ていました。
――敵役とはいえ、まさかマンホールを投げたり、元カレの結婚式にマンホールを持って乗り込むとは思わなかったですよね(笑)?
釈 そうですね。打ち合わせのときに「マンホールを投げてもらえますか?」と言われたんです。「投げられるものですか?」と聞いたら、「大丈夫。作ります」と。面白かったから、ノリノリでやりました(笑)。
広大な牧場でコヨーテの遠吠えも聞こえて
――特撮ならではの演じ方はありますか?
釈 オーバーすぎてもダメですけど、特撮映画を観に来たファンの方のテンションというものはあると思うんです。ブルーバックで撮影現場では見えない怪獣に対して「ハッ!?」というリアクションとか、ナチュラルよりは立てたほうがいい。足し算や引き算がちょっと難しいところがある気がします。
――『Ike Boys』では、マキーバー監督からどんな演出がありました?
釈 レイコのキャラクターについては、メリハリですね。留学生のミキちゃんに対してやさしい部分と、クライマックスのシーンの裏の顔と。ミキちゃんにはお姉さんという感じで接しました。
――クライマックスでは狂気じみた顔ものぞかせて、見せ場になっていました。
釈 オクラホマの広大な牧場のロケーションで、日暮れから真夜中の陽が昇るくらいに掛けて撮ったんですね。スピリチュアルな要素が強いシーンで、神秘みたいなものを感じましたし、野生のコヨーテがオオオーッと遠吠えもしていて。そういうパワーをもらいながら、入りやすかったです。
――日本にはない環境ですね。
釈 アメリカのスケール感というか。オクラホマの空の高さ、広さ、奥行きは、日本では出せない画だなと思いました。
――釈さん自身はレイコを演じるうえで、他にこだわったことはありました?
釈 あのクライマックスは入り込んでやりました。あとは自分が作ってきたレイコをテストで監督に見せて、違う場合は修正してもらう感じでしたけど、夫役のビリー・ゼインさんはAパターン、Bパターン、Cパターン……と作ってきて。「全部撮って好きなのを使って」というスタイルがすごいなと思いました。
女性のアクションは美しさやキレを大切に
――釈さんはソードを振るのはお手のものですよね。
釈 『修羅雪姫』の頃を思い出しました。もっとやりたかったくらいです。
――古武道を学んでいた時期もあったそうですが、今も体はいつでも動くようにしているんですか?
釈 最近は運動不足なので、もしアクションのお話が来たら、何ヵ月か練習しないとダメだと思います。男性はパワフルでダイナミックなアクションができますけど、女性はどうしても線が細いので、美しさやキレが大切。パンチ力は弱くても、クッと行ってピッと止まる。そういうことにこだわりたいです。
――『Ike Boys』の撮影で、何かに悩んだ記憶はないですか?
釈 カジノのシーンはアメリカで撮るはずだったのが、撮りこぼしがあって、日本での撮影に回されたんですね。一度現場がバラシになって、さらに国も変わるから、「どうだったっけ?」と思い出しながら、繋がるようにやっていました。
ビザが取れたのが瀬戸際の最後の日でした
――オクラホマでは何日くらい撮っていたんですか?
釈 1週間くらいですかね。向こうに行っていたのは10日くらいでした。本当は2週間くらい滞在して余裕があるはずだったのが、当時はトランプ政権でビジネスビザ、特に俳優のビザがなかなか下りなくて。出発がどんどんズレて、レイコのシーンを最後に回してもらっても、あと1日遅れたら向こうの日本人女優さんを使うということになりました。その瀬戸際の最後の1日で、やっとビザが取れたんです。
――綱渡りだったんですね。
釈 コロナもビザの問題も、私の中で強烈なインパクトでした。あと、向こうに行ったら、キャストそれぞれに控え室が用意されていたんですけど、ビリーさんの「これじゃダメだ」というひと声で、個別の豪華なトレーラーになったんです。いわゆるハリウッド式の控え室を味わえたのは嬉しくて。無駄に備え付けのバスローブを着ちゃいました(笑)。
運は持っていると思い込んでます
――そういう状況だと、撮影スケジュール的にはだいぶタイトだったわけですね?
釈 私は本当に1日も観光せず、撮ってすぐ帰国する感じでした。
――オクラホマ名物的なものを堪能できたりもせず?
釈 なかったです。子どもが小さいかったから一緒に行って、夫も同行して子守りをしてもらったんですけど、2人はオクラホマを満喫していました(笑)。恐竜博物館に行ったり、バスケの試合を観たり。私は最後の日に、おいしいステーキを食べさせてもらったくらいです。ボリュームは日本と違いました。
――何はともあれ、パンデミック直前に結果的にはほぼ予定通りに撮れたと。
釈 本当に運が良かったです。
――人生だいたい運には恵まれている感じですか?
釈 わりとラッキーで、晴れ女だったりします。ロケ撮影で「お疲れさまでした」と言った瞬間、ザーッと雨が降り出したりすることは、今もよくあります。
――持っているんですね。
釈 そう思い込んでいます(笑)。
自分探しの旅ほど迷子になってました
――この映画では、インディアンの儀式の「ビジョン・クエスト」の話が出てきます。人生の目的を探す旅という意味だそうですが、釈さんはそういう旅をしたことはありますか?
釈 あります。1人で海外に行きました。でも、自分探しの旅をしているときほど、自分が迷子になっていたと、あとになって、よくわかります(笑)。
――どんな旅だったんですか?
釈 『英語でしゃべらナイト』の頃は単純に英語を勉強しようと、ロサンゼルスでホームステイをしました。一番後悔したのはグアムのひとり旅です。オーシャンビューでひとりでビールを飲む私、みたいのがカッコいいなと思っていたら、周りは家族連れかカップルばかりで、寂しすぎて(笑)。ひとり旅でグアムに行ったらダメです。自分の孤独を知る旅になって、それで早く結婚したいと思ったんです(笑)。
子離れしたら心にポッカリ穴が開きそう
――今は人生の目的は見つかったんですか?
釈 子どもですね。だから、逆に子どもが巣立っていったら、心にポッカリ穴が開きそうです。子離れしたあとの余生を、どう過ごせばいいのか(笑)。何か使命を見つけて、また仕事に没頭とかできたらいいんですけど。ずっと生きがいにしている山登りで、百名山は制覇したいです。あと、ダーツの旅も子どもとよくやっています。日本地図を広げて。
――本当にダーツを投げるんですか?
釈 そうです。「大分に当たったよ。何する?」となって、「じゃあ、ママは山を探すね」とか、行き当たりばったりの旅をしています。大分に行ったのはおととしのゴールデンウィークで、楽しかったです。
縁が次に繋がって新たな一面を出せれば
――やっぱり今は仕事をガツガツ行くモードではないんですね。
釈 お話をいただいたら全力で応えるだけ、というスタンスは変わりません。お話がなければ賞味期限切れで引退かなと、毎年思っています。
――達観されていますね。
釈 そんなことはないですけど、何もちゃんと勉強してこなかったのに、デビューからどんどんお仕事をいただいて、私は運が良すぎたと思うんです。そのまま来てしまったので、もしここで終わったとしても、もう十分というか。
――また海外の作品に出て、世界の釈由美子を目指そうとは?
釈 いやいや、英語もしゃべれませんから。でも、ありがたいことにエリック監督の次回作の台本はいただいています。自分の女優としての原点である『メカゴジラ』からのご縁で『Ike Boys』に出られて、それがまた次のご縁に繋がって、新たな一面を出せたらいいなと思っています。
年齢を重ねてダイエットをしたらいけないなと
――『Ike Boys』の公開前には誕生日を迎えますが、40代後半の人生的な展望はないですか?
釈 どんどん悲観的になってくるかと思いきや、意外と開き直ってきて、むしろ何も気にしなくなりました。具体的に言うと、20代の頃はダイエットのために、食事制限で炭水化物抜きとかやっていたんです。今は年を取って、絶対ダイエットをしたらいけないと思っています。
――健康に良くないと?
釈 それも含めて、ごはんを食べなくなると顔がコケたり、胸が落ちたりするので。それでガリガリになるより、ふくよかで笑いジワがあって、ポチャッとかわいらしいおばあちゃんになりたいです。
――おばあちゃんになるのは、だいぶ先ですが(笑)。
釈 自分を甘やかせて、食べたいものを食べて、ストレスは溜めない。それでいて運動をまったくしてないので、最近は土偶みたいな体型になってますけど(笑)、今までガチガチにストイックだったのが、鎧がいろいろ外れました。すごく楽で、生きやすくなったと思います。
毎晩一杯のお酌だけはやめられません(笑)
――そんなお話はありつつ、実際の釈さんはずっと変わらずおきれいですよね。
釈 いえ、変わりました。絶不調な状態が続くと、朝起きて「ああ、だるい……」みたいになります。
――アンチエイジング的なことはしていないんですか?
釈 アンチエイジングをしないことがアンチエイジングかなと、最近気づきました。年を取るのは仕方ないから、受け入れようと。でも、日焼け止めは塗っています。子どもと一緒にベーッと。
――たぶんメンタル的に良い状態なのが、外見にも出ているんでしょうね。
釈 そうかもしれません。20代の頃はずっと不安定だったのが、今は心身共に健やかに過ごせています。夜は10時か9時半くらいに寝て、朝は6時くらいに起きて、本当に健康的。ただ唯一、お酒はやめられません(笑)。毎晩ひとりで“釈お酌”だけはします。子どもに「ママ、一杯だけならいいよね?」と言って(笑)。手酌で「今日も終わったぜ」みたいな感じで飲んでいます。
Profile
釈由美子(しゃく・ゆみこ)
1978年6月12日生まれ、東京都出身。1997年にデビュー。2001年に『修羅雪姫』で映画に初主演。主な出演作は映画『ゴジラ×メカゴジラ』、『KIRI 「職業・殺し屋。」外伝』、ドラマ『スカイハイ』、『7人の弁護士』など。6月14日公開の映画『Ike Boys』、7月26日公開の映画『カミノフデ~怪獣たちのいる島~』に出演。
『Ike Boys イケボーイズ』
監督・脚本/エリック・マキーバー
出演/クイン・ロード、ローナック・ガンディー、比嘉クリスティーナ、釈由美子、ビリー・ゼイン他
6月14日よりTOHOシネマズ新宿ほか全国公開
オクラホマの片田舎に住む高校生、ショーン(クイン・ロード)とヴィクラム(ローナック・ガンディー)は日本の特撮やアニメが大好き。ある夜、日本からの留学生のミキ(比嘉クリスティーナ)を交えて、レアな日本のアニメDVDを鑑賞すると、3人は電撃を受けて気絶してしまう。目覚めて以降、ショーンとヴィクラムはスーパーパワーを身に着けていた。一方、世界の存亡がかかった陰謀が渦巻き、3 人は巻き込まれていく……。