ドラマ「正直不動産」を専門的視点から斬る ~実際の不動産売買とそれに関する税金等
筆者の記事はいつも、やや難しめな「不動産・税金関連」の記事ですが、けっして筆者そのものが難しい人間というわけではありません。
むしろ、柔らかい話も書きたいので、たまにはこんな記事を。
現在、NHKで「正直不動産」というドラマが放映されています。
NHKのサイトで概要を説明すると、以下の通り(以下、NHKのサイトからの引用)。
法的検証や不動産実務からの検証もなされている(ドラマのエンドロール)とのことで専門的見地から見ても実務的な面でのズレは
「あんなにイケメン・美人が揃う不動産屋なんかあるわけねーだろ!」と
思った点以外はほとんどないですが、実際に不動産を扱う場合には注意すべきいくつか気になった点を述べます。
■ 不動産の売買で気にしたいプラスアルファ
①実際の売買には不動産関連の税金がかかる
もともとは不動産屋ですので、個別具体的な税務相談等を行ったら税理士法違反となりますから(税理士法2条・52条)、登坂不動産が税務的なことを話題としないのはむしろ妥当です。
ただ、実際には、不動産の売買等には税金がかかります。
特に古くから所有の更地の売却時は、所得税等が売却価格の2割弱程度かかる場合もあります。
不動産の売買は、「売買だけで完結する」単純なものではなく、その後の税務や、登録免許税が課せられる登記についても税理士や司法書士が必要との話も宅建業者側で述べてあげるのもよいかなと思います。
読者の皆様にも、「不動産売買時は税金にも意識を」とご記憶いただければと思います。
②業者側も昔からの知り合いや、その紹介の方が安心して対応できる
筆者がいつも講演でも述べる話ですが、不動産屋その他の専門家から見ても「今日はじめて知り合った人」より「昔からの知り合い(もしくはその紹介)」の方が、どうしても信頼は高まりますし、より親身になるでしょう。
実際、登坂不動産の社長との古くからの知り合いという設定の不動産経営のマダムがでてきたりしますが、実はここは含蓄のある点で、不動産屋選びのポイントの一つになるのではないでしょうか。
③資金計画時にも細かい税金を忘れずに
家選びの話がでてきますが、実際の住宅ローンの購入想定時には資金計画を練る意味でファイナンシャルプランナーの活用が考えられる点も覚えておいてよいかもしれません。
つまり、その人の収入や生活上の出費をシミュレーションして、どの程度の資金をマイホームに投下できるかの分析です。
ただ、筆者も前にファイナンシャルプランナーさんの分析に同席した時に指摘したことがあるのですが、借家か持ち家かの検討に際して、持ち家想定時に固定資産税・都市計画税の負担を落として分析していたことがありました。
ファイナンシャルプランナーは通常は税理士ではないので仕方がない面はありますが、不動産取得時にも登録免許税や不動産取得税がかかるなど、案外と細かい税金がかかるとの点も覚えておいて損はないでしょう。
■ 最後に
NHKさんや民放のテレビ局さんに提案したいのは、今回は「正直不動産」であり、良質な作品と感じていますが、同じようなロジックで「正直税理士」「正直会計士」なんてのもありと思います。
あるいは、個人的にはもうすこし青春の時点の話として、「宅建受験生」「税理士・会計士受験生」が「合格を目指しつつ、受験生同士の恋愛模様を描くドラマ」なんてのもありと思っていますが、これは余談。
ここからドラマは佳境にかかるようで、おそらく山下智久さん演じる主人公と福原遥さん演じるヒロインが結ばれる(まあ、誰でも予想はするでしょうが)という結論を個人的には予想していますが、筆者自身も楽しみたいと思っています。