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非日常の温泉に浸る!「一生に一度は入浴したい秘湯」5選

高橋一喜温泉ライター/編集者

「秘湯」という言葉には、旅情を誘う魅惑の響きがある。

秘湯とは本来「ひっそり人知れず、秘境の地に湧出する温泉」のことを指すが、現代の情報社会では、マニアしか訪ねないような野湯を除けば、だいたいの温泉は世に知られている。また、交通網の発達によって、アクセスが難しい秘湯も山奥や離島の温泉に限られるようになった。そういう意味では、秘湯はぐっと身近になり、誰でも楽しめるようになったともえいえる。

それを踏まえて、筆者は現代における秘湯を広くとらえ、「非日常感を満喫できる温泉」と再定義している。

今回は、一生に一度は入浴してみたい秘湯を5カ所紹介したい。

奥鬼怒温泉郷(栃木県)

「関東最後の秘湯」と呼ばれる山深い温泉地。加仁湯、手白澤温泉、日光澤温泉、八丁の湯の4つの温泉宿で構成され、それぞれ異なる源泉がかけ流し。基本的に女夫渕から徒歩でアクセスすることになり、約1時間半の道のりである(加仁湯と八丁の湯は宿泊者のみ送迎あり)。アクセスはラクではないが、その分、野趣あふれる露天風呂と大自然に癒やされる。

加仁湯
加仁湯

祖谷温泉・ホテル祖谷温泉(徳島県)

祖谷渓谷の奥地にある秘湯の一軒宿「ホテル祖谷温泉」は、ケーブルカーで170メートル先の谷底まで下りていく露天風呂が名物。40度以上の傾斜を5分かけて下りていくが、ケーブルカーの中から望む渓谷美はほれぼれするほどの絶景で、異世界に迷い込んだかのよう。渓流に面した露天風呂は、四国では貴重な100%源泉かけ流し。

川原毛大湯滝(秋田県)

天然の川そのものが温泉という貴重なスポット。地獄地帯から湧き出した源泉が沢水と合流し、20メートルの高さから滝となって落ちてくる。その迫力に息をのむ。入浴に適した泉温になる夏場(7月~9月頃)は、天然の滝つぼが湯船となる。一般的な温泉とは異なる湯浴み体験ができる秘湯だ。大自然の中なので、入浴する際は水着を着用しよう。

乳頭温泉郷・鶴の湯(秋田県)

日本を代表する「秘湯」といえば、乳頭温泉郷が真っ先に思い浮かぶ。なかでも江戸時代にタイムスリップしたかのような風情が漂う「鶴の湯」は、乳白色の濁り湯が人気である。複数の源泉をもつが、最も絵になるのは混浴の露天風呂。足元から源泉がぷくぷくと湧き上がる貴重な源泉である。そのほか黒湯温泉や孫六温泉なども、非日常の雰囲気を味わえる。

姥湯温泉・桝形屋(山形県)

山形県と福島県の県境、標高1300メートルの山中に一軒宿が立つ。山形県最高所にある温泉だ。車でアクセスできるが、細くまがりくねった山道は、車を切り返さないと曲がれないカーブもあるほど。アクセスするだけでも骨が折れる。だが、苦労してたどり着いた先に、絶景の露天風呂が待っている。噴火口の谷間に湧く温泉は、乳白色の濁り湯。わざわざ訪ねる価値のある秘湯である。

温泉ライター/編集者

温泉好きが高じて、会社を辞めて日本一周3016湯をめぐる旅を敢行。これまで入浴した温泉は3800超。ぬる湯とモール泉をこよなく愛する。気軽なひとり温泉旅(ソロ温泉)と温泉地でのワーケーションを好む。著書に『日本一周3016湯』『絶景温泉100』(幻冬舎)、『ソロ温泉』(インプレス)などがある。『マツコの知らない世界』(紅葉温泉の世界)のほか、『有吉ゼミ』『ヒルナンデス!』『マツコ&有吉かりそめ天国』『ミヤネ屋』などメディア出演多数。2021年に東京から札幌に移住。

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