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ブッダと過ごすゴールデンウィーク    

にしゃんた社会学者・タレント・ダイバーシティスピーカー(多様性語り部)
(写真:アフロ)

例年ながら今年のゴールデンウィークも大変なことになっている。そんな5月のゴールデンウィークの真っ只中に、台湾のかつての学友から無料通信アプリのLINEを使って送られてきた一通のメッセージ。それは一枚のブッダの写真で、そこに「Happy Buddha’s Day 2017」と書かれている。「ブッダの誕生日の日は、楽しいものでありますように祈願します」という意味である。

日本では「ハッピー・ブッダーズ・デー」などと聞くことはない。もしもこのメールが手元に届いたら、間違いなくほとんどの日本人は、頭の中がハテナで一杯になるに違いない。極々一握りの日本人のみがブッダの誕生日、つまり日本でいうと花祭りであると理解するに違いない。そしてそのほとんどの人は、なぜゴールデンウィークの時期かと、今度次の疑問にぶつかるに違いない。それもそのはず、日本では一般的に花祭り、つまりブッダの生誕は4月と考えられている。

大正5年に東京で、僧侶安藤嶺丸によってブッダの誕生日を祝う花祭りが、日本ではじめられたと言われている。太陽太陰暦(天保暦)で祝っていた花祭りは、明治5年12月2日(1872年)に日本にグレゴリオ暦、つまり太陽暦を導入したことを受けて、桜が満開の4月8日にかわったされている。今ではほとんどの地域で太陽暦に合わせて4月に祝っている花祭りだが、現在でも太陽太陰暦で花祭りを祝う地域は日本に残っている。

例えば京都府亀岡市では、昔から変わらず太陽太陰暦に合わせて花祭りを5月に祝っている。3年前から花祭りウィークと題して地域のお寺が宗派を超えて協力し合ってイベントを行なっている。今年も4月29日から5月7日まで開催されている。

台湾の学友から送られてきたブッダの生誕を祝福するメッセージ
台湾の学友から送られてきたブッダの生誕を祝福するメッセージ

5月の満月の日に世界のあちこちで「ウェサック祭り」が盛大に開催される。「ウェサック祭」は、仏教行事としては最大であると言っても過言ではない。

スリランカやタイなどの国では、ブッダの誕生日に限らず、悟りと入滅も合わせた3つの出来事をこの5月のウェサック祭りに重ね合わせて記念する。この時期は街中が大きくて華やかな提灯で照らされ、お寺から流れてくるお経は街の隅々まで広まる。

1999年12月には、ウェサックは、国連の国際デーの一つにも定められた。5月に世界の仏教徒が一つになる中、極々一部の人びとを除いて日本だけは、なぜか例外であるという印象を抱いてしまう。

2013年の数字で日本の約8470万人が仏教徒であると言われている。しかしほとんどの場合、日本では仏教は、死後の世界のためだけのものになっている。世界のほとんどの仏教がそうであるように、生きている間から仏教を日常に取り入れてもらう良きキッかけとしても、ゴールデンウィークを有意義に、心穏やかに過ごす意味においても、アジアや世界の仏教徒と平和を意識する日としても、ゴールデンウイークの時期にブッダの生誕を意識してはどうだろうか。

日本の最大のおかしみは、キリスト教徒ではないのにキリストの誕生日を盛大に祝い、仏教徒なのにブッダの誕生日を祝わないことである。

「Happy Buddha’s Day!」

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社会学者・タレント・ダイバーシティスピーカー(多様性語り部)

羽衣国際大学 教授。博士(経済学)イギリス連邦の自治領セイロン生まれ。高校生の時に渡日、日本国籍を取得。スリランカ人、教授、タレント、随筆家、落語家、空手家、講演家、経営者、子育て父などの顔をもっており、多方面で活動中。「ミスターダイバーシティ」と言われることも。現在は主に、大学教授傍ら、メディア出演や講演活動を行う。テレビ•ラジオは情報番組のコメンテーターからバラエティまで幅広く、講演家として全国各地で「違いを楽しみ、力に変える」(多様性と包摂)をテーマとする ダイバーシティ スピーカー (多様性の語り部)として活躍。ボランティアで献血推進活動に積極的である。

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